東大には男子寮も女子寮も存在しない?
……はいはい、またお得意の日本式に歪んだ affirmative action ですか……と、かつての男子苦学生としてはむかっ腹が立つわけなんだが、この話に関しての世間の風評を探ってみて驚いたのは、世間には東大に男子寮だけが存在している、と思っている人が実に多いようなのだ。今朝のフジテレビ系列の『とくダネ!』でも、コメンテーターの深澤真紀氏が訳知り顔で「東大は白金に女子寮があったんですけどなくなって、今は男子寮だけなんです」みたいなことを仰っていたが、いやそれは明らかに事実誤認ですよ。東京大は14日、来春入学する地方出身の女子学生らを対象に、大学近くにマンションなど約100室を確保して貸し出す取り組みを新たに始めると発表した。対象者には毎月3万円の家賃支援を最大2年間行う。
教養課程を過ごす駒場キャンパス(東京・目黒)まで通うのに自宅から90分以上かかる女子学生も含む。保護者の所得制限は設けない。東大は女子学生の割合が全体の約20%で一層の受け入れ拡大に取り組んでいる。
また、来年3月の一般入試の合格発表時、本郷キャンパス(東京・文京)で受験番号の掲示板への張り出しを再開すると明らかにした。張り出しは工事のため2013年春を最後に見送っていた。
一方、17年度春の入学者を対象にした推薦入試の出願者数(受取数)が前年度と同じ173人だったと発表した。全10学部で計100人程度を募集し、前年度から出願者が増えたのは法、経済、文、教養の4学部。理系学部で出願者の減少が目立った。
推薦入試は多様な学生の獲得を目指して始まり、学部別に書類選考と面接やディスカッションをし、1月の大学入試センター試験の結果も踏まえて合否を決める。河合塾教育情報部の富沢弘和部長は「条件の厳しさに加え、最近は京都大や大阪大なども推薦入試を新設、拡充しており、競合相手の増加も伸び悩みの要因では」と指摘する。
2016/11/14 21:54 日本経済新聞
そもそも、今の東京大学には男子寮も女子寮も存在しない。あの有名な駒場寮は2001年に潰され、残っていた豊島寮(男子寮)と白金寮(女子寮)も2010年9月で閉寮になっている(参考:東大の web サイトから「豊島・白金学寮について」)。
じゃあその後はどうなっているのか、というと、追分・・豊島・三鷹の三つの国際学生宿舎なるものがそれに代わっている(参考:東大の web サイトから「学生宿舎・アパート インデックス」)。ちなみにこれらの定員を調べてみると、
- 追分:150 名(男性 114 名、女性 36 名)
- 豊島:200 名(男性 160 名、女性 40 名)
- 三鷹:605戸・入居者の約25%を女子
この状況下で、女子だけ殊更に優遇されるというのは、これは明確な affirmative action であろう。それも、あまり賢くない、あまり実情に沿っていない代物だろうと思う。東大側の事情として、女子学生が増えないという問題に対して何かしたい、というのがあるのだろうけれど、居住環境問題というのは全ての学生に対して最大の経済的問題として重くのしかかっているわけだ。このような affirmative action は、優秀な男子学生を遠ざけるだけの結果しか生まないと思う。
まあ、個人的には、私は東大があまり好きではないので、どうぞ男子苦学生諸君には、京大や私の母校である阪大に来ていただきたいと思う。こんな東大に拘る必要なんて、何もないと思うしね。