無原罪の御宿り
例の原稿の校正をやっているのだけど、ケン・スミスの本の記述に間違いを何箇所か発見してしまったので、その箇所のリストアップとチェックも並行して行っている。原著が手元に来るのを待っているのだけど、イギリスの古本屋からまだ送られてこない。あと一週間近くかかる可能性があるのだけど、ケン・スミスのミスなのか、山形浩生氏の間違い(って、あの山形氏がそうそう間違うとも思えないんだよな)なのか、未だ見極めができない状態だ。
そんな間違いのひとつっぽいんだけど、このケン・スミスの本には、いわゆる「無原罪の宿り」(神の子キリストの母であるマリアは、生まれながらに原罪から解放された存在であるとする見方で、カトリック特有のもの)はクレアヴォーの聖ベルナールがでっちあげたものだ、と書いてある……うーん。僕の知る限り、この考え方は後期スコラ派のヨハネス・ドゥンス・スコトゥスがはじめて大々的に主張し始めたもの(公式には、1854年12月8日の教皇ピウス9世の回勅において、はじめて信仰箇条(キリスト者が信じるべき教え)として宣言された)のはずなんだが……と、調べてみると、やはりどの文献にもそう書いてある。しかもベルナールって反スコラ派なんだよな。
あーちなみに書き添えておきますけれど、こういうことはあくまで余技であって、信仰の本質的な部分とはあまり関係ありません。僕も、自分で書きもので必要になったから色々文献を漁っているだけでね。