Golden Lady
僕はここに今まで Stevie Wonder の話を書いたことがないんじゃないか、と思う。というのも、あそこまで楽曲と歌の独自性が強い人の音楽に浸ってしまうと、そのフォロワーから脱せなくなりそうな気がして、聴くにしても結構距離を取ってきた、という経緯があるためである。
とは言っても、さすがに僕でも、"Talking Book" とか "Innervisions" 辺りはマストアイテムにしている。特に "Innervision" の "Golden Lady" は、ちょっと特別な思いのある曲である。この曲を YouTube で聞いていたら、その音源のコメントに「この曲のベースは誰が弾いているんだ」と書かれていて、Wikipedia で調べたらしき人が、これは Stevie のシンセベースだ、とフォローしていたけれど、このベース、ベーシストが聴くとニヤリとさせられる。導入部のフレージングなんか、明らかに James Jamerson の影響が見て取れるのだ……さすがは Little Stevie Wonder 時代からの Motown の秘蔵っ子である。そして J.J. はこんなところにまで、エレキベースの先駆者としての影を残しているのだ。
さて、そんな "Golden Lady" のライブテイクをあれこれ聴いてみたけれど、実のところ、出来のいいものはほとんどない。やはりこのちょっと難解なコード進行が、他のプレイヤーのフレージングを縛ってしまっているところがあるようだ(これは Stevie のこういう曲全般に言えることなのだが)。うーん……とあれこれ探していたところに、絶妙のカヴァーを発見した。いや、さすがに The Doors やジミヘンからストーンズまで、何でもプレイしてしまうだけのことはありますね、José Feliciano さん。