同じ過ち
先日、中国の民主活動家である劉暁波氏にノーベル平和賞が授与されたときに、中国は色々とやらかしてくれた。他国の受賞記念式典への参加に干渉するのみならず、「孔子平和賞」なるものをでっちあげるということまでしてくれた。まったく、あの国のやることは、我々の想像を超えているなあ、と思われた方も多いのではないだろうか。
1935年のこと。ドイツがナチス政権の下にあったとき、ドイツのジャーナリスト・平和運動家であったカール・フォン・オシエツキー氏がノーベル平和賞を受賞することになった。氏は当時投獄されていたのだが、ノルウェー・ノーベル委員会は、ベルサイユ条約に反して軍備拡張を行うドイツを告発した氏に、平和賞を授与した。そして、ナチスはそれ以後、ドイツ人にノーベル賞を受けることを禁止した。
興味深いのはこの後日譚である。アドルフ・ヒトラーは、1937年に「ドイツ芸術科学国家賞 Deutscher Nationalpreis für Kunst und Wissenschaft」なるものを創設した。この賞はドイツ人にとってのノーベル賞の代替物であったわけだけど、そういう話を、最近、皆さんは耳にしなかったろうか?独裁国家の意に沿わない顕彰に対して、国家が何をしでかすのか、ということは、これこの通り、歴史が証明しているのである。そして彼らはどうやら、そんな歴史を学ぶことも、同じ轍を踏むのを避けることも、どうもできない……そういうことのようだ。