呆れてものが言えない

東電の関連企業の作業員3人が被曝、うち2人はβ線熱傷の疑いで放医研に送られた、というニュースは、まさに呆れてものが言えないようなものだった。

作業員にガラスバッジを着けさせないことに関しては、僕は前々から問題を指摘していた。いわゆる線量管理の場で、ごまかしようのない手段で被曝線量を把握するというのが重要だ……というのは、これは放射線絡みの基礎教育を受けた者なら皆知っているはずのことだ。今回は、案の定、あまりに早くポケット線量計のアラームが鳴り始めたので、作業員は「壊れたのかと思い」それを無視したのだ、という。着用していたら誤魔化しようのないガラスバッジでも、究極チート「着け忘れる」というのがあるのだから、ポケット線量計「だけ」で現場の線量管理をしよう、などというそのオツムをまずは疑う。

いや、そもそも、作業員達は、心の底から線量計が「壊れている」と思い込んで無視したのだろうか?彼らには当然、

「この事故の深刻さはよく分かってるよね?」
「現場のことをよく知ってるのは君達しかいないんだよね?」

という、暗黙のプレッシャーがかかっていたのだ。だから、あまりに呆気なくピーピー鳴り始めたポケット線量計よりも、重大事に対して一刻も早く対処しなければならない、という意志の方が勝ってしまって、線量計のアラームを無視したのではないか。作業員にこの点きつく確認している様子は、どうやら全くないようだけど、おそらくこの問題に関しては、暗黙のプレッシャーがかかっていた状況について、東電に厳しい責めが向いて然るべきだ。なぜって、東電側は、そういうプレッシャーを黙認することで、作業員に危険な作業をやらせ易い雰囲気を醸成していたのだから。これはあまりに罪深い。

そして、線量計の値から作業員の被曝線量を簡単に出しているけれど、それじゃ駄目だろう?水中には、β線熱傷を負う程に放射性物質が流出していたんでしょう?水面での計測で毎時400 mSv ってことは、その水に浸っていた箇所の局所的な被曝量が、ポケット線量計の積算値だけではとうてい計り得ないものであることは自明だろう。β線熱傷の程度と範囲を見極めずに、今回の作業員の健康に大きく関わる「実効被曝線量」を明らかにすることはできないはずなのだ。

……なんか、もう、書いていて厭になってくる。この期に及んでまーだ小学生みたいな愚行に終始している東電も、それを諫めることすらできない政府も、もう、本当に、馬鹿ばっかりだとしか言いようがない。馬鹿はさっさと消えてくれや。

2011/03/25(Fri) 17:22:45 | 社会・政治
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T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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