嫌な予感
ここ最近、この blog でも言及している、いわゆる「メルトダウン問題」だが、どうも考えれば考える程、嫌な予感がしてならない。いや、まさかそんなことが……と思うのだけど、でも、そんなことが現実になっている今日この頃だからである。
始まりは、あの CH-47 にバケツを提げて海水を汲んでかける……という、あのときである。僕は、あまりのことに、しばし言葉が出なかったのだ。だって、冷やすべき対象は、格納容器の中にある圧力容器の、そのまた中にあるのだから。マトリョーシカに水をかけて、一番中の人形を濡らそうとする人がいるだろうか?それを大真面目にやって、挙句の果てには、細野豪志首相補佐官などは「これのおかげで『日本は本気で事態を収拾しようとしている』とアメリカに分かってもらえた」などと言っていたのである。
僕はあのとき、ああこの政府は愚か者の集合体なんだ、と思っていたのだ。しかし、この何日間の状況、そしてそういう状況を示す情報が五月雨式に出てくることなどを考えると、ひとつの恐ろしい考えが頭に浮かんできてしまうのだ:「あのとき、ヘリがあんな風に水を撒いて、炉内に水が入るような状況だったとしたら?そして、そういう状況であることが、今に至るまで隠蔽されているのだとしたら?」そして、こう考えると、原発敷地内にある瓦礫の一部が、あれ程高い線量を発している理由も説明がついてしまうのである。
炉心溶融に関して、東電や政府は比較的早い時期に認識していたに違いない。まあ、そういうことが起きていなければ、あの汚染水の説明もつかないし、それ以前に、あれだけ水を突っ込んでも水位が上がらないということの説明がつかない。今まで彼らがその事実を認めていなかったのは、おそらくは「認めたくなかったから」だろう。その程度の予測は僕もしていて、たとえば2011年4月6日の blog にそういうことを書いている。
しかし、もしも炉心が大気開放なんていう状態になっていたとしたら、これはとんでもない話である。まあ、僕の杞憂であると信じたいのだが、あいつらはもう背任行為だろうが何だろうがやりかねない、ということがこれではっきりしてしまったからなあ……