SKKIME――使ってみる――
そんなわけで、SKKIME の使い方を書いておくことにする。
まず、どんな人が SKKIME を使うとより恩恵を受けるか、というのを書いておくけれど、まず、結構な量の日本語をコンピュータ上で書く人だろう(僕はこれだ)。特に、漢字の送り仮名に関して自分の感覚を持っていて、IME 任せにすることに強い抵抗感のある人(僕はこれでもある)にはお薦めしたい。
次に、フリーの IME を使いたい人。特に 64 bit native の IME を使いたい人には、SKKIME はお薦めである。ちなみに現在、Microsoft Windows 上で使用できるフリーの IME は、概ね以下の通りであろう。
- Social IME (http://www.social-ime.com/)
- Google 日本語入力 (http://www.google.com/intl/ja/ime/)
- Baidu IME (http://ime.baidu.jp/type/)
- SKKIME (http://homepage3.nifty.com/monjya/skkime.jis.html)
最初の Social IME は、慶應の理工で修士の院生が開発したものなのだそうだが、IPA のバックアップを受けて、2009年から公開されているらしい。いわゆるクラウド型で、変換辞書はユーザが皆で共有するかたちになっている。実は、これの開発においては SKKIME も参考資料の一部となっているらしいが、使い方は従来通りの、形態素解析を任せるかたちの変換である。また、今のところは 32bit binary しか公開されていないようだ。
「Google 日本語入力」は、ここを読まれている方で実際に使われている方が多いのではなかろうか。これも Google のリソースを利用したもので、クラウド型と言えないこともない。これは 32 bit、64 bit 双方の binary が公開されている。また、開発成果は open に公開されていて、Mozc: http://code.google.com/p/mozc/ で入手できるし、Debian GNU/Linux などでは既にパッケージが公開されているようだ。
Baidu IME は、2009年末に Windows Vista / 7 向けの公開が始まり、今年3月には 64bit binary の公開も始まっている。個人的には、これの使用を薦める気もないし、自分が使う気もない。これ以上言及する必要も感じない。
そして SKKIME だが、まず上記リンク先を見てみよう:
このページには、更新情報と各 binary に関する必要情報しか掲載されていないので、最初は面喰らうかもしれないが、まずはこのページの下方を見てみると、こういう箇所がある:
ここで、現時点での最新の binary を公開している。最新の日付の、個々のシステムに合致した binary をダウンロードする。僕の場合は Vista 64bit の binary をダウンロードすればいいわけだ。
binary は tar と gzip で圧縮されている。Windows 上で展開するためには、たとえば Lhaz:
http://www.chitora.jp/lhaz.html
のようなソフトを使えばよろしい。展開したフォルダ内にある .msi ファイルでインストールを行えば、システムのインストールは完了である。先に書いた Microsoft C++ の再頒布可能パッケージに関しては、現行最新の binary では static link されているはずなので、もう特に何も考える必要はないと思うが、万が一何かトラブルがある場合は、ここが疑うべき箇所のひとつである。
設定を行う前に、辞書ファイルを用意しておく。SKK の辞書ファイルはテキスト形式で、最新のものは SKK Openlab から辿れる:
http://openlab.ring.gr.jp/skk/dic/
にある。色々ファイルが並んでいるけれど、必要なのは SKK-JISYO.L.unannotated.gz である。もともと SKK の辞書内には、annotation と呼ばれる項目語の注釈が入っているのだが、SKKIME は基本的にはこの annotation に対応していない。よって、annotation を除去した辞書ファイルを取る必要がある。この gzip 圧縮ファイルを解凍すると、SKK-JISYO.L.unannotated というファイルが生成されるので、これをどこかに置く。置き場所はユーザーフォルダ内に、たとえば dic というフォルダを作って入れるなどすればいいのだが、僕の場合は C:\usr\share\dic に置いている。あまり変な path でなければ問題は生じないと思う。
さて、インストールが終了した後、画面右下の IME のアイコン(もしくは IME パッドのアイコン)をクリックすると、
(順位は逆になっていると思うけれど)のように SKKIME を選択できるようになっているはずである。
IME のアイコンを右クリックして:
「設定」を選択すると、このようなパネルが出る。
このパネルの上のフィールドで default の IME を設定できる。また、下のフィールドで IME の優先順位を設定できる。ここでは双方共、SKKIME を優先するような設定になっている。
設定は、下のフィールドで SKKIME を選択した状態で、「プロパティ」を押す。
ここで必ずチェックしなければならないのは、この「辞書設定」のタブの中身である。注意することとしては、
- ユーザ辞書の path が実在しない path になっていないかどうか確認すること
- 「ソート済みファイル辞書」として、先にダウンロード・格納した SKK-JISYO.L.unannotated を指定する。
- 下のフィールドでの各辞書の優先順位を確認する(ユーザ辞書を上位にしておくこと)。
……と、こんな感じで設定していただいて、あとは SKK 方式に慣れていただければ、快適な日本語入力環境を使っていただけることと思う。