喉が……
いがらっぽい。昨夜毛布をかけずに寝て、明け方に寒くてかけ直した記憶があるので、そのせいかもしれない。
で、そのことを blog に書こうとして、ふと思ったのだ:「いがらっぽい」ってどういう意味か、と。いや、辞書に書いてあるような意味……たとえば「喉が刺激に弱くなっている」とか「不快な刺激を感ずる」とか……は分かるのだが、そもそも「いがらっぽい」という言葉の由来は何なのだろうか。存外、人はこうして日本語を知らないものである。
で、辞書をひいてみると……いやあ、今日僕は不明にして初めて知りましたよ。「いがらっぽい」は「えがらっぽい」の慣用表現だったのだ。漢字で書くと「蘞辛っぽい」である。もともとは「蘞辛い」(えがらい)という言葉があって、ここから派生して「蘞辛っぽい」と言うようになったようだ。辞書には漱石の『虞美人草』の一節が文例として引用してあった。
黒い影は折れて故(もと)のごとく低くなる。えがらっぽい咳が二つ三つ出る。
「咳が出ますか」
「から――からっ咳が出て……」と云い懸(か)ける途端(とたん)にまた二つ三つ込み上げる。小野さんは憮然(ぶぜん)として咳の終るを待つ。
「横になって温(あった)まっていらしったら好いでしょう。冷えると毒です」
「いえ、もう大丈夫。出だすと一時(いちじ)いけないんだがね。――年を取ると意気地がなくなって――何でも若いうちの事だよ」
2011/05/30(Mon) 11:06:27 | 日記