論理的思考力を試す問題

……というふれこみで、ネット上に掲載されていた問題を以下に示す。

ここに四枚のカードがあります。

「I」 「5」 「J」 「4」

どのカードも、片面にはアルファベット、もう片面には数字が書かれています。

カードには「片面に母音(A,E,I,O,U)が書いてあれば、もう片面には偶数が書いてある」というルールがあります。

このルールが正しいことを証明するためには、四枚のうち、最低どのカードを裏返せば良い? (裏返す必要のないカードを裏返してはいけません。)

この問題の正答率は数 % だ、とこのサイトには書かれている。僕はさくっと解けた(解くと言う程でもないのだけど)けれど、皆さんはどうだろうか。

提示されている「このカードのルール」というのは、

片面が母音(A,E,I,O,U)→もう片面は偶数
というものである。これが何を言っているのか、論理学的視点で理解できるかどうか……まあ、それが全てであって、それ以上は何も必要ない。

もしこのルールが正しいならば、母音が書かれたカードの裏には必ず偶数が書かれていなければならない。では、母音でない文字が書かれたカードの裏にはどのような数が書かれているのか? ここで「母音でない文字の裏には奇数」と考えてしまっているとしたら、そこで終わりである。

たとえば、以下のようなカードがあったとする:

A 3 C 6
2 B 4 D
これらのカードは、先のルールに抵触していない。

どういうことかというと、

片面が母音(A,E,I,O,U)→もう片面は偶数
片面が偶数→もう片面は母音
は違う、ということである。もし、
片面が母音(A,E,I,O,U)←→もう片面は偶数
であるならば、
片面が母音以外←→もう片面は奇数
が成り立つけれど、矢印が片方だったらそうじゃないですよ、ということだ。これは「必要条件」「十分条件」「必要十分条件」の三者の区別ができていないと、ちょっと分からないかもしれない。

ただし、

片面が母音→もう片面は偶数
が成り立つとき、これだけは成立する:
片面が奇数→もう片面は母音以外
これはいわゆる「対偶」というやつだ。つまり、先のルールが成り立つときに言えることは、このふたつだけなのである。各々の逆、つまり、
片面が偶数→もう片面は母音
片面が母音以外→もう片面は奇数
を満たしているかどうか、ということは、分からないのである。

先の問題に戻ると、

「I」 「5」 「J」 「4」

のように表に出ているわけで、この中で「表が母音」のものと、「表が奇数」のものに注目して、その裏面をチェックしてやればよろしい。「表が母音以外」のものと、「表が偶数」のものは、裏に何がくるか、先のルールでは規定されない。だから「I」と「5」の2枚を裏返して、各々裏面が「偶数」、「母音以外」であれば、少なくともこの4枚のカード全てが、先のルールを満たしている、ということになる。

……うーん、しかし、これって中学か高校1年位でやりますよね?

2011/08/07(Sun) 18:02:52 | 日記
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Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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