シャツを買うのは憂鬱

この歳になると、さすがに人前に出るときにすり切れたシャツにジーンズ、というわけにもいかないことがあるので、カタギな勤め人程ではないにせよ、タイを締められるシャツを着ることが多い。で、主戦力だったシャツがちょっと傷んできたこともあって、何枚か買うことにしたのだけど、これが僕にはどうしようもなく憂鬱なのだ。

いわゆる紳士服店に行ったとしよう。エビス顔で寄ってきた店員に挨拶されて、シャツを買いたいんだけど、と言うと、当店は数多く揃えておりますので、と胸を張られる。何言ってるんだかなあ、と思いつつ、採寸を頼むと、エビス顔のままでメジャーを取り出し、首、肩、腕と当てて……そしてエビス顔が消える。眉間に皺を寄せて、うーん、と唸りながら、運が良くてもセール品と遠いところにある棚、運が悪ければバックヤードに店員は消え、何分か待たされた後に、済まなさそうな顔をしながら、包装のビニールがやや埃っぽい、最近あまり光が当たっていないような品を手にして返ってくる。すみませんが、当店の在庫ではこれだけでして……最初の自信はどこへやら、だ。

どういうことかと言うと、僕は首回りに対して腕がかなり長いのだ。だから、いわゆるワゴンセールの品を買おうとすると、腕がつんつるてんか、首がガバガバか……のどちらかになってしまう。当然、サイズを合わせると高くつく。だから、シャツを買うというのは僕にとって憂鬱なイベントなのだ。

最近は、たとえばユニクロでも僕のような「特殊サイズ」に対応しているのだけど、店頭では当然そういう商品にアクセスできない。だから通販ということになるのだけど、今回はシャツの製造元の運営するサイトをいくつか覗いてみて、一番安そうなものを探してみる……結論として、一番安いのはユニクロなのであった。 なんだかなあ。どうして僕は、何もかもこう世間の標準とずれているんだろう。まあ、何から何まで平均で、それが当然保証されていることだと信じて疑わずに、傲慢に生きていく位だったら、今の自分の方がナンボもましだと思うけどね。

2013/11/24(Sun) 16:39:04 | 日記
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T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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