二日遅れで当たった予言

連れの U は、時々僕のことを「予言者」と呼ぶ。U の言によると、「Thomas が言う嫌なことはよく当たる」のだそうだ。勿論、超自然的な力でどうのこうの、みたいな話ではない。一応学者の端くれとして、データを収集し、論理的に現象を把握し、その行く末を予測することは、僕にとってごくごく当たり前の行為であって、そこから導き出される予想が現実の行く末と合ったとしたら、そういう行為が適切に行われた結果だというだけの話である。

今日、二日遅れで、また僕のそういう予想が当たってしまった。この件に関しては、2010年に入ってからずっと口にしていたのだけど、公の場に書いたのは「鳩山切腹論」(2010年5月17日の日記)である。厳密には、この前日の5月16日にフジテレビ系列の『Mr. サンデー』が鳩山辞任の可能性に言及しているのだけど、僕がこれを言い出したのはそのはるか前のことである。

いや、鳩山氏は「政治とカネの問題の責任をとる」って言ってるんじゃないの?と思われる方が多いかもしれない。ここで声を大にしておくけれど、この時期に鳩山氏の口から出てくる「理由」というのは、来る参院選に少しでも貢献するようなことを第一に出すに決まっているので、本当の意味での「理由」ではない。今回の鳩山氏辞任の本当の「理由」は、普天間問題を軟着陸させることができずに、福島瑞穂氏の罷免、社民党の政権離脱という事態を招き、(実はここが彼らにとって最も重要なのだが)ひいては参院選に向けての社会の信頼を大きく失ったためだ。ではなぜ今日まで引きずったのか……というと、これが実に呆れた理由で、鳩山氏はサミットに行きたくてこの結論を先延ばしにしていたのだという。サミットの重要性を把握しているならば、むしろ速やかに首相の座を交代すべきなのに、こんな結末に至ったことは、もはや国賊の謗りを免れない大罪である。

まあとにかく、こういう予想をしていたので、今回の件に関しては僕は全く驚いていない。むしろ今後のこと(に関する不安というか不信というか)が、目下の関心事である。今後の政治がどう転がっていくか、考えてみることにしようか。

まず、鳩山氏の後任が誰になるか、という問題だが、これは4日に民主党代表選挙というのが行われて、そこで決まることになる。各メディアは、おそらく菅・仙石・原口の三氏の名前を出してくるだろう。これがどうなるかを、まずは考えてみよう。

実は、民主党には、あれ程旧来の自民党の構造を批判しているのにも関わらず、派閥が存在している。いやそんなことはない、単に政治問題研究のグループがあるだけだ、などと、民主党関係者は否定するだろうが、政権政党の内部に人が集まって集団を為し、集団行動を行うならば、それは誰が何と言おうが派閥なのだ。ありがたいことに、Wikipedia には現在の民主党内に存在する派閥がまとめられているのでリンクしておく。ただし、民主党の派閥は自民党政権時代のそれと比べて帰属性が薄いところがあって、一例を挙げると、事業仕分けの中心人物であった枝野幸男氏は、前原誠司氏と共に「凌雲会」(いわゆる前原・枝野グループ)を立ち上げているが、「国のかたち研究会」(いわゆる菅グループ)との関係も深いとされている。だから派閥のしがらみが弱いのか、というと、そんなこともなくて、むしろ複数のしがらみの中で政治判断がなされる分、それはしばしば不明瞭だし、また迷走することも珍しくないのである。

さて、そんなしがらみとして、まず今回問題になるのは、小沢との距離感ということである。この点において、菅直人氏は小沢氏と友好関係にないという見方もあるが、実は菅氏は小沢氏とは長年の碁敵で、藤井裕久氏の辞任に伴い財務大臣に就任した経緯なども含めると、決して関係は悪くないと思われる。対照的に、仙石氏は、大連立問題や西松建設問題で小沢氏に昂然と食ってかかった「党内反小沢勢力の旗頭」である。原口氏の場合、小沢グループと連携することの多い政権戦略研究会(いわゆる羽田グループ)に属しており、総務大臣への登用も小沢氏の後ろ盾によるものだとの話があり、小沢氏との関係は良好だと思われる。

また、新しい民主党代表に対外的視点から要求されるのは、一も二もなく「クリーンさ」であることは言うまでもない。そしてイギリスの連立内閣の例を挙げるまでもなく、混迷する現在から未来への可能性に大衆の目を向けさせる「若さ」が要求されるであろうことも想像に難くない。これらの要件に関しては、原口氏が圧倒的に有利であろう。

新しい代表に関して、僕は「予言」として明言することを避けたい。さすがに僕でも読めない不確定要素があるからだ。諸々の要素からは、菅直人氏が最もカタいだろう、しかしダークホースとして原口氏の芽もまだ残っている……そういうところであろうか。個人的には、総務大臣になってからの原口氏の政治実績の負の面があまりに深刻なので、こんな人物には総理大臣にはなってもらいたくないのだけど。

2010/06/02(Wed) 14:27:24 | 社会・政治
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Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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