馬鹿の一つ覚え
夕食後、PHS が鳴り出した。着メロはキリエ……この着メロを割り当てている人は一人しかいない。この方が僕に電話をかけてくるのは、(多くの場合他者のエゴに起因する)何かしらかのコンピュータのトラブルがあったときなのだ。出てみると、果たせるかな、まさにそういう要件だった。
「あのね、メールが受信できなくなっちゃった」
聞いてみると、どうやら一通のメールが容量オーバーで受信できず、そのメールがメールサーバのスプールに「詰まって」しまったために、それ以後のメールもサーバ上から消えないままになっているらしい。
この方(以下 K と記する)は、EdMax というメーラを使っている。この EdMax というのは、結構評判のいい MUA で、いわゆる半角カナも全角に変換してくれたり、と、その振る舞いはたしかに非常にお行儀がよろしい。
この EdMax、実はメールの受信容量制限が結構キツいことでも知られている。シェアウェア版で 20 MB、フリー版では 10 MB 以上の大きさのメールを受信しようとすると、EdMax は受信を拒絶するのだ。僕自身の認識としては、このようなソフトの振る舞いは好ましいものなのだけど、いつの世にも、残念なことに非常識な人というのが存在して、そういう輩は際限もなく馬鹿の一つ覚えで非常識なことをしでかしてくれるので、K さんのようにその犠牲になる人がでてくるわけだ。
K さんの近所に PC 関係に結構詳しい方がおられるということで、.ini ファイル中の受信容量制限設定の部分のイジリ方を文書化して、今回のメールアドレスとは別のアドレス宛送信して、先程無事に該当メールを消すことに成功したそうだ。
で、さっき S に電話したときに、この件に関してひとしきり愚痴っていたのだが、
「そう言えば、うちのプロバイダはあまり大きなメールはサーバが弾くよ」
と言われて、あーそうだよな、どうして今回みたいな事態になるんだろう、という話をしていたのだった。Sendmail でも postfix でも、僕みたいに qmail を使っている場合でも、MTA というのは受信メールの容量上限値を設定できるようになっていて、サーバで弾くことは難しくも何ともない。もちろんどこを上限にするかは admin の常識とユーザの常識によって決まるわけだけど……
「そうだね。あれ…… K さんの使ってるプロバイダって……えーと」
あー、思い出した。なるほど、あるいはここは日本一非常識なプロバイダかもしれませんね、ええ。