驚愕の事実
僕が大学院生の頃、先にブログで書いた某国立研究所からお誘い頂いて、そこに就職することになったのだが、教授に呼ばれて、
「Thomas 君なあ、君、阪大辞めてもらわなあかんのや」
「へ?どういうことですか?」
就職を控えているときにとんでもないことを言い出す教授に、僕は全身粟立つ思いで聞き返すと、
「そらそうや。大学院生しながら研究員はでけへんやろ」
「はあ……しかし、そうなると、学位は?」
「アホやな君は。君はもう単位とか問題ないから、2年の猶予期間内に学位を取れればオッケーなんや。もう公聴会も済んだしな」
「なるほど。ということは、どうすればいいんでしょうかね」
「まあ、退学届を出してもらう、ということになるんかな」
ということで、学生課に相談に行ったのだが、
「……なるほど。では、来月末日付の退学届を出していただくということになります」
「わかりました」
「つきましては」
と言うと、その事務方の人はこう続けたのだった。
「学費をお払いいただけますか」
「?僕は学費免除なんですが」
「ええ。でも前期の途中で退学ということですから、この期の学費はお支払いいただくことになるんですよ」
「……ひょっとして、学費を納入しないと退学できない、と?」
「そういうことです」
えーそんなー、と思いつつも、泣く泣く金を都合して学費を払い、領収書のコピーを添付して退学届を出し、この年の6月末に阪大院を退学、7月の頭から就職、そして9月の末に学位を授与されたのだった。
で……それ以来、僕は最終学歴には「単位取得退学」と書くことにしていた。それで今まで何も問題は起こらなかったのだ。しかし、今回、前の blog に書いた経歴の書類と一緒に、院の修了証明書が必要になって、僕の場合は「単位取得退学証明」だろう、ということで、その旨阪大に書状を出して、証明書の発行をお願いしていたのだが、先程阪大学生部から電話がかかってきた。
「あのー、Thomas さんは課程博士を授与されていますよねえ」
「ええ」
「ということはですね、博士課程の単位取得退学証明はできないんですよ」
「……え?ということは、どうすれば?」
「Thomas さんの場合はですねえ、博士課程修了ということになるんですよぉ」
「……え?では、単位取得退学じゃない?」
「ええ、修了です」
驚愕の事実!僕の最終学歴は、実は「博士課程修了」だったのだ!今まで散々、
「いやー僕の最終学歴は『退学』でしてねえ……ヘヘヘ」
とネタにしてきたのに!もうネタにはできないのか?いやそれ以前に、修了だったら学費返してよぉ!あれ納めるの大変だったんだからさぁ!……しかし、学位を授与されて、今迄何をしていたのやら……