程度が低過ぎる
民主党の代表選の話題で、ここ何日かのニュースは賑やかである。あの菅直人の後だから、誰に決まっても今以上に悪くなることはないだろう、という話がそこここで聞かれる。しかし、本当にそうなのだろうか。
民主党代表選出馬を目指す小沢鋭仁元環境相は22日、時事通信のインタビューに応じ、原発からの段階的撤退を目指す立場を改めて示した上で、代替エネルギーに関し「海外から電力の直接輸入を行う」と語った。ドイツなどは電力を輸入しているため「脱原発」への転換が可能だったとの指摘があることから、日本も原発依存度を減らすため、電力輸入に踏み切るべきだとの考えを示したものだ。僕は、このニュースを聞いて、正直言って我が耳を疑った。はぁ?という感じである。小沢氏は「(輸入先は)韓国、中国などいろんな国の可能性があっていい。国と国の間に海底ケーブルを1本引けば全て解決する」と語った。同氏は代表選の目玉公約として訴えていく考えだ。(2011/08/22-19:08, 時事ドットコム)
おそらく、小沢氏はヨーロッパにおける売買電の現状から安易にこういうことを言ったのではないか、と思う。しかし、ヨーロッパでの国際間の売買電は、そのほとんどが EU 圏内の話である。では日本はどうなのか。中国から電気を買う?では、先日のレアメタルのような「売り惜しみ」が起きた場合にどうするというのか。こんなことは小学生でも気がつきそうな話である。
政治家のちょっとした間違いだ、などと片付けてはならない。この小沢鋭仁という人は元環境相である。環境政策というのは、常にエネルギー政策と表裏一体の如くあるものだ。しかるに、エネルギー政策においてこのような不見識を平気で露呈する輩が、果たしてまともな環境政策を進めていたのだろうか?僕にはとてもじゃないが、そうは思えないのだ。そしてこういう不見識を平気で露呈してはばからない輩が総理大臣になったとしたら、この国の行く末は限りなく暗いと、言わざるを得ないのである。
とにかく、(民主党に限定した話ではないのかもしれないが)最近の政治家のこの手の発言は、あまりに程度が低過ぎる。あまりに程度が低過ぎるから、メディアも呆れてあまり批判しないのかもしれないが、こういうことはちゃんと指摘されなければならない。馬鹿は放置しておけば良いのではない。ちゃんと「こいつは馬鹿だ」と指摘しなければならない。そうせずに、それが周知されている保証は何一つないのだから。