それは……だからダメ

先日、食材を買いに某スーパーに行ったときのことである。このところの陽気からか、冷たいものでも食べたいなあ、と思い、アイスをあれこれ眺めていた。

以前に書いたとおり、僕は昨今の人工甘味料が使われた食品を好まない。しかし、最近はありとあらゆるものにこれらの人工甘味料が使用されていて、たとえばモナカアイスなどにすら入っている。このときも、確認がてら、いくつかのモナカアイスを確認してみたのだが、たとえば「ロッテ モナ王」にはアセスルファムカリウムが使用されている。菓子メーカーでは、ロッテよりもむしろ森永の方が人工甘味料の使用には積極的なようなのだが、「森永 チョコモナカジャンボ」には人工甘味料は使用されていない……などということを確認して、今日はアイスはやめてゼリーでも買おうか(ゼリーだって人工甘味料を使用したものは少なくないのだが)……などと考え始めた、そのときだった。後ろの方から、カートに小さな子供を乗せた、30歳前後と思しき女性が近付いてきた。

この女性は、本当に、どこにでもいるようなごくごく普通の女性だった。今思い出そうとしても、ウェリントンの眼鏡をかけていたことと、声が少し低かったこと位しか思い出せない(声を覚えている理由はこの後分かると思う)のだが、この女性はカートをアイスの棚に近付けながら、

「好きなものを買うから、どれが欲しいか言って」

と、子供に話しかけていた。へー、丁寧な買い物の仕方をするもんだなあ、と思いながら目をやると、子供が、さっきまで僕が手にしていた「ロッテ モナ王」を指差して「あれ」と言った。女性は子供と同じ向きを見ていたのだが、その子の言うのを聞くや、声を荒らげ、こう言ったのだ。

「あれはロッテだからダメっ!」

子供は母親の態度に怯えたような顔で、棚に視線を動かして、「じゃああれ」と、他の商品を指差した。女性はそれをひょい、と籠に入れると、不快さをあらわにしつつ、棚の端を曲がり、僕の視線から消えたのだった。

ロッテだから駄目……と、僕は、ついさっき耳にした言葉を反芻した。僕の場合と違って、原材料がどうだ、という話ではないらしい。じゃあ、ロッテだと何が駄目なんだ……と、1、2秒考えて、あーそういうことか、と納得したのだった。

この日は丁度、ナゴヤドームで中日戦のデーゲームがあって、それが終わった直後の時間帯だった。だから最初僕は、この女性が熱心なドラゴンズファンなのか、と思ったのだが、中日はセリーグ、ロッテはパリーグだし、オープン戦の時期はとうに過ぎている。だから、そういうわけでもなさそうだった。ということは……理由はひとつしか考えられない。ロッテという会社が、韓国と縁がある企業だから、ということだ。

ロッテが web で公開している「ロッテの歩み」などを見ても、ロッテがなぜ韓国と縁が深いのかは分からないかもしれないが、まあ、単純な話で、創業者にして現会長である重光武雄氏の名前がいわゆる通名で、本名が辛格浩という在日韓国人一世なのである。ただし、ロッテはもともと日本で創業された企業だし、韓国ロッテグループも、日本から韓国に進出した結果形成されたものであり、現在の韓国ロッテグループの会長は重光氏の次男の昭夫氏(本名:辛東彬)である。余談だが、重光武雄氏の弟である辛春浩氏が韓国で創業した「農心(ノンシム)」という会社が、最近日本でもよく見かける「辛ラーメン」を作っている。あれはいからああいう名前なのかと思っていたが、どうやらさんの会社が作っているから、ああいう名前だということらしい。

余談ついでに書くけれど、この農心という会社は何かと問題のある会社である。カルビーの「かっぱえびせん」や江崎グリコの「ポッキー」のコピー商品を売り続けている(韓国人の中には、これらが日本の菓子のデッドコピーだと知らない人も少なからずいるようだ)し、主力商品のラーメンに関しては、ネズミの頭部、クロゴキブリ、ハエなどの混入事故を何度も起こしている。こういうことは韓国人の不利益につながっているのだから、彼らはもっと怒るべきなのだけど、どうもそういうことにはならないらしい。まあ、東アジア諸国に共通する文化傾向……一言で言うならば「恥を恐れる」ということになるだろうか……もあって、なかなか現状を認め難いのかもしれないけれど。

おそらく日本の自称愛国者達がロッテに敵意を向けるのは、韓国のロッテグループがいわゆる独島ビジネスに参画しているからだろう。しかしなあ……それに対する憎しみを、日本のスーパーで売っているモナカアイスと、こともあろうに我が子とに向けなくてもいいだろうに。国を愛するなら、そんな小っちゃなことの前に、すべきことがいくらでもあるんじゃないの?

2012/05/02(Wed) 19:16:57 | 日記
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T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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