スウェーデンは遠い
スウェーデンには一度だけ行ったことがある。それも2時間だけ。
ある国際会議がフィンランドで開催されたのに参加したのだが、この国際会議が、一日目と二日目がヘルシンキ工科大、三日目と四日目が、ヘルシンキとストックホルムを結ぶ船上、つまりバルト海上で行われたのだ(なんでも、その船上で会議をするのが北欧では流行っているとか何とか、そんな話だったが)。で、セッションの合間にストックホルムで2時間だけ時間ができて、上陸したのだった。
正直言うと、ストックホルムの印象はあまりいいものではなかった。カフェの店員に間違えてフィンランドの札(嗚呼、あの頃はぎりぎりユーロ前だったのだ)を出したら、うんざりしたような顔で "This is not Swedish money." という言葉と共に投げ返されたりしたせいかもしれない。天気はまさに霧咽ぶ中、という感じで、でもあの店員の応対が良かったら、この印象は全然違ったものになっていたのかもしれない。
しかし、スウェーデンはオンラインでは結構縁のある場所だった。僕が熱力学計算に使っていたあるデータベースが、スウェーデン王立アカデミーにサーバーがあったり、他にもいくつかのソフトでスウェーデンにはお世話になった。当時(いや、そんな大昔じゃないんだけど)も、ネットワークはそんなに重く感じなかった記憶があるのだが……
実は、今丁度、Debian GNU/Linux の sid(いわゆる不安定版……僕はこれを常用している)のインストーラーをダウンロードしているのだが、これの最新版(いわゆる daily-build image)が、1か所のサーバでしか供給されていない。しかもそのサーバがあるのはスウェーデンらしい……いや、それはそれで全然構わないのだが、このサーバの回線がとにかく細いのだ。数十 MB のファイルを落とすのに数十分かかる……毎分 1 MB って、今時そんな回線なんてあるのだろうか? 個人で xDSL(いや、今メタルの回線で xDSL を使っている方はかなり少ないと思うけれど)で接続していたって、こんなに遅くはないだろうに……しかもスウェーデンって言ったら、フィンランドと並んで、北欧の IT 先進国なんじゃないの? どうしてこんなに細いのか。
ftp や http だから遅いのか、と思って、BitTorrent や jigdo を試してみたけれど、一向にダウンロードできない(だから供給がここ1か所だけだ、と言えるわけだが)。今は ftp で落としているのだが、これは本当になんとかならないものだろうか…… Ubuntu ユーザが増えたと言っても、あの老舗にしてカタいことで著名な Debian なんだから。まあ、でも、とにかく今は待つしか術がないのだった。