ORS

少し前のことになるけれど、大塚食品が OS-1 という商品を出した。これは、医学的に体内に水分が取り込まれ易いように調製されたいわゆる経口補水液といわれるものである。

もともとこれは ORS (Oral Rehydration Solution) と呼ばれるもので、コレラや赤痢などで乳幼児が命を落とすことの多い地域で、簡単に吸収効率の高い飲料が作れるように工夫されたものである。ということは……そう、作ろうと思えば自宅でも作ることが可能なのだ。

標準的なレシピは:

  • 水 1リットル
  • 砂糖 40グラム
  • 食塩 3グラム
と書かれていることが多いのだけど、ORS の普及をすすめている rehydrate.orgレシピを見ると、
  • 水 1リットル
  • 砂糖 30 cc(24 グラム)
  • 食塩 2.5 cc(2.5 グラム)
とある。僕の経験だと、日本で流布されているレシピだと少々飲みにくいので、こちらの方がいいかもしれない。もしあれば、これにレモン果汁かクエン酸を適宜加えるか、水を 700 cc にして、残り 300 cc をトマトジュースやグレープフルーツジュースに置き換えると、かなり(というか、劇的に)飲みやすくなる。

このレシピにある通り、ORS のミソは、水だけではなく(水+塩分+糖分)という配合になっているところだ。水だけ、あるいは、水と塩だけの場合と比較して、糖分が加わる方が吸収効率は高くなるのである。

恥を忍んで告白するが、昨日、風呂に入っていたときに軽い熱中症になってしまった。一般に、熱中症の自覚症状としては、

  • めまい
  • 頭痛
  • 吐き気
  • 気分が悪くなる
が知られているけれど、特に電解質が欠乏したときには末端(特に手指)の痺れが出ることが多い。今回の僕の場合も、手首の辺りから先が痺れてきて、あ、こりゃヤバいぞ……と自覚したのだった。

慌てて風呂を出て、うろ覚えのレシピで ORS を調合して、ガブリと飲むと……ま、不味い……塩の量を間違えて倍にしていたのだった。せっかく棚の中からクエン酸を探し出して、震える手でキッチンメーターを使って秤量したのに……

とりあえず「水1リットル、塩小匙半分、砂糖大匙2」と覚えておけば、ご家族や御自身のもしものときに役立つので、この機会に覚えておきましょう……誰かさんみたいに塩を倍入れないためにも。あと、本当はブドウ糖の方が吸収がいいと思うので、先の OS-1 を買い置きされた方がよりいいと思う。

それはわざとやっているんですか?

今日は広島に原爆が投下された日である。僕自身は広島や長崎の出身というわけではないけれど、僕の郷里の水戸も、焼夷弾による絨毯爆撃で一面の焼け野原にされた土地で、幼い頃からそのときの話を聞いて育った。そして、自然科学を学んだ者として、あの日の広島や長崎で何が起きたのかが、様々な視点から定量的に見える目を養ったので、この日の意味はますます重いものになっている。

さて、今日の平和祈念式典だが、僕は映像を見て、一瞬「え?」と我が目を疑った。しばし画面の周囲を見回し、やはり自分の見たものが間違っていないことを認識したときに独り言ちたのが、標記の「それはわざとやっているんですか?」という言葉であった。皆さん、僕が何を言いたいのか、お分かりになるでしょうか。

まあ、せっかく首相官邸が写真を公開しているので、それをここにリンクしておこう。

注目していただきたいのは、ネクタイである。野田首相とそれ以外の来賓のネクタイを比べると……お分かりだろうか。他の来賓は皆黒ネクタイをしているのだが、野田首相はブルーのストライプのネクタイを着用しているのである。

僕は別に枝葉末節をつつきたいわけではない。しかし、言ってみれば、原爆で亡くなられた人達の法事に来ているような状況で、黒ネクタイを着けないというのは、これは一体どういうことなのだろうか。

僕はこのことが気になって、他の人達の服装も一通りチェックした。その結果、来賓で黒ネクタイを着用していなかったのは、野田首相と、同じく民主党の馬淵澄夫議員だけだったようだ。各政党の代表者や、話題になった馬場たもつ浪江町長、そして海外からの参列者も、皆黒いネクタイを着用していた。あれだけ並んだ来賓の中で、色の入ったネクタイをしているのは、野田首相と馬淵議員、そしてその周囲の関係者(おそらく秘書や SP だと思うが)だけであったのだ。

そもそも、政治家というのは、冠婚葬祭に行くのが仕事の一部のようなものである。だから必ず、白と黒のネクタイ、そして、そういう場に出向いても差し支えない色のスーツを準備している……はずなのだ。もし本人が呆けて忘れていたとしても、秘書や側近が手配していて然るべきだろう。朝早くて買えなかった、などという言い訳は通用しない。広島の民主党支部に電話して、誰でもいいから式典の間だけ黒ネクタイ貸してくれ……とでも頼めばいい。それで済む話のはずなのである。しかし、野田氏も馬淵氏も、そしてその周囲の人達も、それをしなかった。

この日の来賓の一例を挙げると、自民党の谷垣総裁は、本人は勿論、秘書も、ちゃんと黒ネクタイを着用していた。やはり、どう考えても常識はこちらの方なのだろうと思うのだが……そうなると、やはり標題の問に戻らざるを得ないのである。野田さん、それはわざとやっているんですか? と。

ultradefrag for linux

Linux 関連のコミュニティで defragmentation に関する質問をすると、脊髄反射としか思えない程のスピードで「Linux では defrag なんて不要なんですが何か?」という答が返ってくるものだった。しかしこれは嘘である。たとえ ext4 であっても、巨大なファイルを頻繁に読み書きしていたり、ディスクスペースが逼迫してきたりすれば、当然 fragmentation が生ずる。これは Microsoft が Windows NT 4 で defrag を外していたのが、Windows 2000 以降で復活させていたり、Mac OS X でもバックグラウンドで低負荷時に defragmentation を行っていたりすることからも容易に推測できることである。

少なくとも Debian GNU/Linux においては、distro はそんな脊髄反射的な思想に汚染されてはいない。最近は ext4 を defragmentate できる e4defrag というソフトがちゃんと /usr/sbin に入っている(もっとも、僕はこれを診断モード以外で使ったことがない……ディスクスペースに余裕がある限りにおいて、Linux と ext4 の組み合わせでは defrag が問題になることがないのは事実である)。僕のように Windows・Mac OS X・Linux の間を行ったり来たりしながら日常を過ごしている者としては、NTFS の defragmentation を Linux 上でできると便利なのだが、一時期出ると噂のあった ntfsck も話を聞かなくなったしなあ……と思っていたところに、興味深い記述を発見したのだった。

Advanced NTFS-3G Features というページを見ていたら……:

UltraDefrag for Linux

UltraDefrag is a powerful Open Source Defragmentation tool for the Windows Platform. It can defragment any system files including registry hives and paging file. Also one of the main goals of UltraDefrag is doing the job as fast and reliable as possible.

It is being ported to Linux and NTFS-3G for defragmenting NTFS partitions. Currently only a test version in console mode is available. Please read the included file README.linux for compiling and testing.

そしてページの下の方には、ultradefrag-5.0.0AB.7.zip……beta 版だが、Linux 版 ultradefrag のソースへのリンクがあるではないか!

ultradefrag は、フリーの defrag ツールとしては Piriform Defraggler と並んでよく知られている。sourceforge で開発・公開がなされているというのもあるだろうけれど、この二つのツールはどちらも、パーティション全体だけでなく、ファイル単位での defrag にも対応していることが、その原因かもしれない。

とりあえず、上のリンクからソースの archive を取得してみる。展開して中の document を読むと……はぁはぁ、まだ configure とか使える段階ではないので、自分で Makefile を書き直してくれ、と。当たりをつけるために、ある程度書き換えてから make を走らせ、エラーメッセージを読みながら直して……を行うことにする。

まず、このソースをコンパイルするためには、ntfs-3g と ntfs-3g-dev をインストールしておく必要がある。僕の場合は既に入れてあるので、archive を展開してできる "ultradefrag-5.0.0AB.7" 内のディレクトリ src に入って、Makefile を書き換える。Makefile の修正箇所だけを抜き書きすると:

GCC=gcc
LD=ld
AR=ar
INCL=-I/usr/include/ntfs-3g -Iinclude
COPT=-DPPGC=1 -O2
GCCOPT=-DPPGC=1 -O2
LIB1=/usr/lib/x86_64-linux-gnu
LIB2=/usr/lib/gcc/x86_64-linux-gnu/4.7.1
NTFSLIB=/lib/x86_64-linux-gnu/libntfs-3g.so.*.0.0

……と、こんなところか。distro の違う人は適宜読み換えていただければよろしいだろう。このように Makefile を修正すると、make 一発で、udefrag というバイナリが生成される。このバイナリを /usr/local/sbin に移してから、/usr/local/man/man8 というディレクトリを切って、ultradefrag-5.0.0AB.7/src/man/udefrag.man を /usr/local/man/man8/udefrag.8 という名前でコピーしておけばよろしい。詳細は udefrag に何もオプション・引数を付けずに実行するか、man udefrag で参照していただきたい。

最後に強調しておくけれど、現時点ではこの Linux 版 ultradefrag はあくまでも beta version である。使用にはくれぐれも注意していただき、壊すわけにはいかないパーティションに適用するのは控えられることをお薦めしておく。

そういう季節になったので……

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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