シェルに対して、TeX Live のシステムの実行形式ファイルの在処を示す必要があります。~/.profile などの、自分のホームディレクトリ内で PATH を規定しているファイルに対して、
PATH="/usr/local/texlive/2021/bin/x86_64-linux:$PATH"のように、TeX Live の実行形式ファイルと man ファイルの在処を追加します。この記述後は、シェルを開き直すか、
MANPATH="/usr/local/texlive/2021/texmf/doc/man:$MANPATH"
$ . ~/.profileのようにして再読み込みを行うことで、設定が反映されます。
TeX Live を /usr/local/texlive/ 以下にインストールした場合、周辺のユーティリティと texlive との依存性の問題から、システムのアップデート時に、ディストリビューションの提供する texlive 関連パッケージがインストールされてしまうことがあります。これを避けるために、ディストリビューション側から見ると texlive 関連がインストールされているように見せるための dummy パッケージをインストールしておく必要があります。
dummy パッケージに関しては、TeX Wiki の説明が網羅的かつ詳しいので、そちらをまずは御参照下さい。Debian 系のパッケージに関しては TUG の説明も読まれることをお薦めします。
あと、pretest 版をインストールされた場合は、debian-equivs-yyyy-ex.txt の中身の年号を次年度に書き換えたもので、次年度版の dummy パッケージを作成・インストールする必要がありますのでご注意下さい。
Linux に関しては Adobe が Adobe Reader を出していた時期もありましたが、2013年以降アップデートは行われていません。無理矢理インストールすることは不可能ではありませんが、正直言って実用に耐えない状況です。mac OS や Windows のユーザの方は普通に Adobe Acrobat Reader DC をお使いの方がほとんどだと思いますので、そちらを使用されれば問題はありませんが……ちと重いなあ、とお思いの方には、もう少し軽いソフトの選択の余地もあります。
僕はビューアとしては zathura を常用しています。印刷には使えないですが、動作は極めて軽く、また SyncTeX に対応していますので、PDF を更新すると表示もそのまま更新されます。ただし、vim のキーバインドに慣れていないと使い辛いかもしれません。
印刷も含めて使い易いビューアとして、ここでは Evince を挙げておきます。動作も軽いですし、マトモな TeX で作成した「マトモな」PDF ならば、印刷で困ることはまずありません。
Linux ユーザの方は、pdftkをインストールされることをお薦めします。pdftk は、PDF 使用時の様々な問題(抽出・合成・回転・パスワード付与……等々)をコマンドラインで処理できる強力なユーティリティです。
UNIX 系システムでは、ある文字列を含む名前のファイルの在処を探すのに "locate" というコマンドがあります。もともとは GNU findutils で実装された slocate が使われていましたが、最近は mlocate を使われている方が多いかもしれません。
ほとんどの UNIX 系システムの場合、この locate コマンドが参照するデータベースは、1日に1回程度更新されるような設定になっています。しかし、今回のように大量のファイルをインストールして、そのファイルの在処をすぐ探す必要がある場合には、手動でこのデータベースを更新することもできます。Linux の場合は:
$ sudo updatedbで更新できると思います。詳細は "man locate" を参照して下さい。
データベースの更新が終了したら、システムのほぼ全ての領域で、ある文字列を含む名前のファイルがどこにあるのか、locate コマンドで検索することができます。たとえば、プレゼンテーションに用いられる beamer というパッケージがどこにあるかを調べてみましょう。
$ locate beamerと入力すると、"beamer" という文字列を path に含むファイルの名称がフルパスで全て表示されます。多くの場合、locate コマンドは大量の出力を返してきますし、直接関係ないファイルでたまたま "beamer" という文字列を含むファイルも表示されます。このような場合には、パイプや grep、less 等のコマンドを併用して、
$ locate beamer | grep texmf | lessなどのように入力することで、更にフィルタリングした出力を効率よく閲覧できるでしょう。