で、そのことを blog に書こうとして、ふと思ったのだ:「いがらっぽい」ってどういう意味か、と。いや、辞書に書いてあるような意味……たとえば「喉が刺激に弱くなっている」とか「不快な刺激を感ずる」とか……は分かるのだが、そもそも「いがらっぽい」という言葉の由来は何なのだろうか。存外、人はこうして日本語を知らないものである。
携挙というのは何か、と言われると、僕としては少々困ってしまう。これはキリスト教の言葉ではあるのだが、カトリックで用いられることのない言葉だからだ。「携挙」とはプロテスタント、特に終末思想を強く主張する福音派の人々や、いわゆる fundamentalism(聖書根本主義)を信奉する人々が主張する概念である。ざっくりした話は、上にリンクしておいた Wikipedia のエントリーにコンパクトに書かれているけれど、この世の終わりが来たときに、人が天に上げられることをこう呼んでいて、この言葉を使う人々は、以下の聖書の記述が実現されることだ、としている。
これが、現代の人々、特にアメリカのプロテスタントにどれ位リアリティのある話なのか、おそらく日本の普通の方々には分からないと思う。アメリカで、この「携挙」に与れずに「取り残された」人々の姿を描いた『レフトビハインド』(Left Behind)という本が、全米でなんと650万部以上を売り上げるベストセラーとなり、映画化もされ、シリーズは現在第12弾が発売中、という状態であることは、この国で暮していると耳目に触れることはまずない。映画の方は、一応『人間消失』という題名で日本でも DVD 等が販売されているのだが、まあ日本人には受けないだろうし、実際受けていない。
しかし、この blog でも何度か触れている通り、アメリカ人の大体3割程度が福音派のプロテスタントであり、程度の差こそあれ、このような世界観を現実のものとして信じている。こう書いても信じてもらえないかもしれないが、これは厳然たる事実である。
今回の 5/21 世界滅亡説に関しては、さすがにアメリカ国内でも「何だかなぁ」という感じで受け止められているようだが、とにかくこういう話は今回が初めてではない。かつて、1970年にハル・リンゼイが発表した "The Late, Great Planet Earth" という本が、同じように熱狂的に受容されたという経緯もあるし、今後も同じような話は散発するだろう。そのときには是非注意して、頭に留めておいていただきたいのだ。信じ難いかもしれないが、彼らは、そして多くのアメリカ人は、実は結構本気なのだということを。