ちょっと私用で、音声メモをする必要があったので、IC レコーダの購入を考えていた。実はすでに手元には TASCAM DR-5 というブツがあるのだが、これは見た目がゴツいので、今回の目的にはちょっと合わない。低価格の IC レコーダは皆圧縮フォーマットしか扱えないし、どうしようかなあ、と思っていたところに、amazon で USB メモリスティック型の IC レコーダなるものが出ているのに気付き、スパイ心が刺激され、購入することにしたのだった。
届いた包みを開けて、まずはマニュアルを……と見ると、
ん? 中文簡体字しかないのか? ということで、"ur-08 4gb digital voice recorder manual" でググってみると、
英文マニュアルを入手できた。まあ、中国語でも推測できないことはないのだけど。
充電はすぐに終わり、録音してみるとそこそこの音質で録音できている。しかし、この録音で生成されるファイルがクセモノだった。4 bit の ADPCM (Adaptive Differential Pulse Code Modulation、適応的差分パルス符号変調)、ビットレートが 128 kbps である。128 kbps というと聞こえがいいかもしれないが、MP3 や AAC より低い圧縮率でこのビットレートなんだから、音質的には知れたものである。
とは言え、音声を判読する上では問題はあまりなさそうである。マイクがポップノイズを拾い易いので、手持ちや風のあるところでの録音は無理そうだが、室内での会話の記録等には十分使えそうである。
最後に書き添えておくけれど、もしこの品に興味を持たれた方は、あくまでも on one's own risk で御購入されるよう。こういう言い方はあまりしたくないのだけど、中華品質なのは否定しようがないと思うので。
某修道会のシスターから依頼されていた件で、今日時間ができたのでようやく対応に伺えた。
依頼内容は単純で、あるシスターの使っている端末で CD ドライブが使えなくなってしまったので何とかしてほしい、というものだった。昨日の夕方、近所の家電量販店で湿式のレンズクリーナーを購入し、机の奥の方から代替フロンのブロワーを引っ張り出し、カバンに詰めて、午前中に修道院に伺った。
CD / DVD のレンズクリーナーというのを使われた経験のない方もおられるかもしれないが、モノとしては単純な代物で、 CD の記録面に小さなブラシが付いている。このブラシで読取用のレンズを掃いて、読取エラーの原因になるレンズの汚れを除去するわけだ。
CD / DVD のピックアップレンズには、ガラスのものとプラスチックのものがあるのだが、一部のものを除いて現在はほとんどがプラスチックを用いている。光学系を単純にするために非球面レンズを使い、なおかつ研磨の工数を減らすためには、プレスで大量生産が容易なプラスチックを用いる方が圧倒的に有利だからだけど、プラスチックということは、ガラスにましてレンズの取扱いには注意する必要があるわけだ。光学ドライブの説明書に必ず「レンズには絶対に触れないように。拭くのもダメ」と書かれているのは、こういうことも関係している。
しかし、たとえどれ程注意して使っていたとしても、汚れるときには汚れる。そしてこういうときには、どうしてもレンズを物理的に拭ってやる必要が生ずる。この際の摩擦の影響を最小限に抑えるために、通常光学ドライブのレンズクリーナーは、クリーニングのための液体を使わない、いわゆる乾式のものが「普段の」メンテナンスでは推奨されるのだけど、時々これではどうしようもない状況になることがある。そういうときは、今回のように、湿式のクリーナーを用いなければならない。それも、一度や二度では回復せず、リピートをかけて何度も繰り返さなければならないこともある。
今回のケースはまさにそれだった。Windows Media Player をリピート再生モードにして、何度も何度も再生を繰り返してから、その辺にあった CDROM を突っ込んでみると……よしよし、読めるようになりましたね。シスター達に回復した状況を確認してもらい、乾式のクリーナーを購入してもらうようにコメントして、今日の作業は終了である。
丁度昼食の時間で、食べていって下さいな、ということだったので、有り難くカレーライスをご馳走になる。近所に住み着いている猫の話などをしながら食事をいただき、食後に後片付けをしてから、帰途についた。
ふと、嫌なことを思い出した。僕の所属教会にも何人かいるのだが、司祭やシスターと親しくしていることをやっかむ人、というのがいるのだ。たとえば、今回のようなことがそういう類の人の耳に入ると、「Thomas さんだけそんなことで修道院に親しげに出入りするなんてズルい」とか言うのだそうな。ズルい? 何が? どうもそういう人達は、自分が聖職者(厳密に言うとシスターは聖職者ではないのだが)と親しくなることで徳が高くなるとでも勘違いしているのかもしれないが、そういうことを考えている人、そういうことが垣間見える人とは、聖職者の方から距離を取るものである。何故って、そんなまやかしの権威を、どこでどう振り回されるか分かったものではないし、そのような権威の濫用に対して責任を負うことなどできないからである。
僕が修道院で PC のメンテや芝刈りをしたり、過越の食卓に乗るラムチョップを焼いたりしているからといって、僕が修道会の権威や徳など纏えるはずがない。そりゃ、広い意味での奉仕をしているわけだけど、別に修道会でも、宗教色の全くない老人介護施設みたいなところでも、その行為に関わる徳には何の違いもない。たまたま僕が、その修道会の人達と面識があって、先方が頼みやすく、僕が引き受けやすいポイントがあった、というだけのことだし、僕が自分で入っているわけでも何でもないんだから、僕にはあの修道会に関わる事々を「纏う」資格など何もないのだ。それを僕が分かっているから、あちらとしても僕にこういうことを頼みやすいのだろう。
聖職者と近しくあることで、まるでその威光を我が物のように勘違いしている手合いを見ると、小学校のいじめっ子が、好きな子のことを「アイツは俺のことが気になってるんだよ」とか吹聴しているのと同じように見えてならない。アンタらがやっているのは、その好きな子に目を向けてもらいたいがために、意地悪をしたり、その子が嫌がるようなことをあちらこちらで吹聴したりするのと、何も違いがない低次元な行為ではないか。そんなアンタらのせいで、その子にどんな迷惑がかかっているか。どんな嫌な思いをさせているのか。そういうことを考えられない時点で、ある意味終わっているようなものなのだけどねえ。ああ、下らねえ。やってることも、やってる奴もね。
いつものように shannon で書きものをしようとして、ふと違和感を感じる。ん? と挙動を調べてみると、どうもタッチパッドの挙動が変である。
shannon は Dell Inspiron 1501 という機種なのだけど、X Window を使う場合、Synaptics 社製品用のドライバを使用すると快適に使用できる。僕はタッチパッドで色々やる方ではないのだけど、設定できる項目の数と幅が、synaptics の方が圧倒的に多く、かつ広いし、位置検出も synaptics の方が圧倒的に高精度なので、僕も synaptics ドライバを常用している。
しかし、Debian GNU/Linux のデフォルトは PS/2 互換マウス用ドライバで、ちょっと設定をしてやらないと synaptics ドライバは使えない。そこで local な設定をしていたのだけど、X のアップデートに伴ってのことなのか、この設定が効力を発揮していない状態になっているらしい。
まず、
$ sudo Xorg :1 -configure
で /root/xorg.conf.new を生成して、これを /etc/X11/xorg.conf に mv しておく。また、
$ cp /usr/share/X11/xorg.conf.d/50-synaptics.conf /etc/X11/xorg.conf.d/
としておく。しかる後に、/etc/X11/xorg.conf の Mouse0 に関わる記述を以下のように変更する。
Section "InputDevice"
Identifier "Mouse0"
Driver "synaptics"
Option "Protocol" "auto-dev"
Option "Device" "/dev/input/mice"
Option "MaxTapTime" "0"
Option "MaxDoubleTapTime" "0"
Option "VertEdgeScroll" "yes"
Option "HorizEdgeScroll" "no"
Option "Emulate3Buttons" "yes"
EndSection
Option は、man synaptics を参照の上、好みで設定すればいいだろう。
ちょっと前のことになるが、いきなり blog へのアクセスが10倍近くになって仰天したことがある。このサイトは(当然のことではあるのだが)アクセスログを採取して、定期的に解析するためのスクリプトを走らせてあるので、その解析結果を見てみると……ん。2ちゃんねるからリンクされているのか?
『探偵!ナイトスクープ』で登場したセキセイインコの話が2ちゃんねるで話題になった際に、誰かが僕の以前書いた『レイテ島からのハガキ』に関する聞き書きにリンクしたらしい。そこから飛んできた人々によるアクセスの急増だったわけだが、アクセス元のリンク URL を解析すると、ちょっと面白いことが分かった。
以前は、今回のような2ちゃんねるからのアクセスというと、referer には *.2ch.net、つまり2ちゃんねるのサーバーのアドレスがちゃんと残っていたものだったのだが、今回のアクセス結果を解析してみると、実はその大多数が、いわゆるまとめサイトからのものだったのだ。つまり、今回その2ちゃんねるのスレッドを読んでいる人々のかなりの割合が、直接2ちゃんねるを読んでいるのではなく、まとめサイトの内容でそれを読んでいる、ということらしい。
いつだったか、この間まで衆議院議員だった片山さつき氏が、あるまとめサイトがなくなるかもしれない、というので存続を Twitter でうったえて話題になったことがあった。このときにも、あー国会議員センセイはお忙しいのかしらん……と思ったのだが、そもそもこの手のサイトの情報は二次情報に過ぎない。一次情報に至るためのインデクスに使用するならまだしも、二次情報にそんなに皆が依存するというのは、どう考えても健全な状況だとは思われない。だって、そこに書いてあることは本当に書いてあったと、一体何処の誰が保証してくれるというのか? primary な情報に触れることなくその二次情報を使用して、後からそれがいい加減な代物だったら、結局は使用者が責任を負わざるを得ない。二次情報というのは所詮はその程度の代物なのである。
しかも、一次情報だと言ったって2ちゃんねるは2ちゃんねるである。いや、だから、その前の primary source に触れるならいいんですよ。しかしねえ。ハム速がどうこう、って、そんな人が国会に携わってるってなぁ、あまり気持ちのいいものじゃないんですけどねえ。
……と、話がそれたけれど、それにしても、存続の危機とか言われながらも、2ちゃんやその周辺の情報を日常的に触れている人というのがこれ程多いものなのだなあ、と思わされたのであった。いや、それだけなんですけれどね、本当に。