『TeX Live を使おう ―― Linux ユーザと Mac OS X ユーザのために ――』だが、公開してまだそう経っていないのに、もう改訂が必要かもしれない状態である。
これはある意味、嬉しい誤算と言えるかもしれない。僕がこの文書で言っていること…… OTF パッケージと日本語フォントの問題が解決すれば TeX Live で快適に日本語が扱えるのに……が、この何週間かの間に実現したのである。具体的には、IPA / IPA ex フォント、babel の japanese パッケージ、それに OTF パッケージが、いずれも TeX Live 2011 にマージされたのだ。
もちろん、まだ問題は残っている。DVI ビューアが日本語化していないこと(ちなみに Windows 版の TeX Live には、既に dviout までマージされている!のだが)、そして ipaex パッケージのフォントマップが不完全(/AJ16 オプションが適切に設定されていない)こと、等である。しかし、何から何まで一から日本語環境を構築するのに比べたら、この進歩は革新的と言ってもいい位だ。
現在、pxdvi に関しては、ptexlive 等でお馴染の北川氏が、フォントマップのポリシー等に関して決めているところらしい。その辺が固まれば、やがて TeX Live にマージされるときも来るかもしれない。LuaTeX-ja の発展前の、嬉しい誤算としての進展である。それらがある程度まとまったところで、件の文書の改訂を行うことにしようと思う。
【後記】ということで、改訂を行った。OTF パッケージと babel に関して言及している文書は index から消したが、文書自体は消していないので、一応これでリンク等の問題もないのではないかと思う。
TeX Live 2011 に、ついに OTF パッケージがマージされた……いや、正確には、何日か前から、Babel の japanese パッケージと一緒に登場していたようなのだけど、最初のうちはどうも使えるような状態ではなかったのだが、現時点での OTF パッケージ "japanese-otf" は、もう安定供給されているようだ。
TeX Live で日本語を使う上で、OTF パッケージのインストールが大きな壁になっていたのだが、これでいよいよその壁もなくなったわけだ。僕の書いたドキュメントの必要性も、どんどん希薄になっているような気がするが、これはむしろ喜ぶべきことだと言うべきなのだろう。
……ということで喜んでいたのだが、どうも動作がおかしい。僕のコンテンツの OTF パッケージのインストールに関する箇所に、一度は obsolete と書いたのだが、とりあえず元に戻しておくことにする。手元の OTF パッケージを消すのにはまだ早い模様。
【後記】先程のアップデートでついに安定使用可能になったことを確認。ついに、本当の意味でマージ完了、である。
一昨日の深夜から動きがあったのだけど、とうとう TeX Live 2011 に IPA フォントと IPA フォントを使うためのフォントマップがマージされた。とりあえず、いつも使っている Linux、Mac OS X、そして確認のために Microsoft Windows 上でもチェックしたのだが:
- ipam.ttf
- ipeg.ttf
- ipaexm.ttf
- ipaexg.ttf
と、それらを使用するためのフォントマップがインストールされる。今迄の TeX Live にバンドルされていた日本語用フォントはたしか和田研フォントだったはずだから、まさにこの進展は画期的である。
ごくたまにだが、Windows 上で TeX / LaTeX を使う必要があるので、今までは W32TeX を入れていたのだが、今日、ついに、これも TeX Live 2011 に replace した。こんな日が来るとは思っていなかったのだが。
北川弘典氏が「TeX Live 2011 への追加日本語パッチについて」というページで公開されている TeX Live 2011 日本語拡張パッチに関して、どうも不可解な現象が起きている。
実は、これまで、このパッチを使いたいと思いつつも使えない、という状態が続いていた。正確には、
と今まで公開されているうちの、tl11supp-110726.tar.xz から tl11supp-110825.tar.xz に関して、日本語拡張版のバイナリ生成がうまくいかない状態だった。
幸いなことに、TeX Live 2011 の pTeX / pLaTeX はちゃんと動作するので、『TeX Live を使おう ―― Linux ユーザと Mac OS X ユーザのために ――』で公開しているようなことをして、今まで使っていたわけだ。
で、先日、tl11supp-111023.tar.xz が公開されていることに気付いた。まあ今回もダメなのかなあ……と、駄目元でビルドを試みたら、何と、さっくり成功するではないか?
こうなってくると、「じゃあ何故駄目だったんだ?」ということが気になってくる。poppler 周辺とか dbus 周辺とか、何か所か(このビルドの直近に改変したシステムの箇所)に当たりをつけてみたけれど、未だに原因は判然としない。今、tl11supp-110825.tar.xz のビルド(中断することは既に確認済)の各プロセスの標準エラー出力をリダイレクトして、詳細に問題箇所を特定する作業を始めているけれど……それにしても分からない。何が問題だったのだろうか?