開いた口が塞がらない

先日、このブログの記事『金姸兒選手は五輪憲章に違反しているらしい』に関連した話で、聞いて開いた口が塞がらないような思いのする話を聞いた。この問題に関して、韓国のネットユーザーから、完全に屁理屈としか言いようのない反論が盛り上がっているのだ、という。

これが……何だか書くのも面倒なのだけど、「浅田選手がリンクで使っていたティッシュペーパーが、浅田選手が宣伝に参加している製品なので、金姸兒が違反しているなら浅田選手も違反だ」という話らしい……いやはや。本当に、開いた口が塞がらない。

僕がこの話を「開いた口が……」と断じることができるのには理由がある。日本の各メーカーは、オリンピックの絡んだ宣伝に関してはちゃんと配慮をしていて、オリンピック開催中は、選手個人を宣伝に起用しているメーカーは選手を宣伝から外すようにしているのだ(IOC / JOC の公認宣伝を除く)。今回韓国ネットユーザーとやらが問題視しているティッシュペーパーの広告サイトにおいても、五輪期間中は、浅田選手の肖像を「出張中」と書かれた画像に差し替えていた。今のそのティッシュペーパーの広告サイト(←ブラウザ強制リサイズ + 音が鳴りますのでご注意を)で公開されている画像を、わざわざニュースサイトで公開している東亞日報のサイトからリンクしておくけれど、

この画像には「出張、おつかれさまでした。」と書かれている。ここに痕跡が確認できる通り、オリンピック期間中は、この画像は「出張中」ということで差し替えられていたわけだ。だから、このティッシュペーパーと浅田選手の直接のリンケージは、少なくともオリンピック会期中は断たれていたわけだ。

翻って、金姸兒の方はどうだろうか。僕がこの件に関して書いたのが3月4日で、そのときに宝飾製品の販売元では、「これが金姸兒選手の着用していたアクセサリーです」とメディアに嬉々として出演してすらいるわけだ。まあ、お話にならない。

正直、こんなことを書くのすら時間の無駄に思えるのだけど、まあ一応書いておく方がいいだろう。発言をしないと、考えてすらいないと断じられそうで怖いからね……

金姸兒選手は五輪憲章に違反しているらしい

これ、前から引っかかっていたのだが、金姸兒選手の付けたアクセサリーがオリンピック憲章に違反しているという可能性が指摘されているのだ。

今回問題になっているオリンピック憲章というのは、http://www.joc.or.jp/olympism/charter/pdf/olympiccharter2007.pdf の pp.88 に規定されている以下の条項である。

規則 51 付属細目
1. いかなる形の広告や宣伝活動、コマーシャル等も、人、スポーツウェア、付属品(より一般的には、選手もしくはその他のオリンピック競技大会の参加者が着用する衣類、使用する用具)に表示してはならない。ただし、下記細目8で規定される用品や用具のメーカー識別表示を例外とするが、かかる識別表示が広告目的で著しく目立たないことを条件とする。
(中略)
この規定に違反した場合は、かかる関係者の失格または資格認定の取り消し処分となることがある。本件に関わる IOC 理事会の決定を最終とする。

さて、では、以下の動画をご覧いただきたい。

これは先のオリンピック憲章に明確に抵触している。ただし、ここでのポイントは、最終判断が IOC の理事会でなされるということだ。IOC の現会長である、ジャック・ロゲ伯爵 Le comte Jacques Rogge は、腐敗と薬物汚染に関しては容赦しない、と明言しているけれど、サマランチ時代から、IOC は金で判断が変わるという一面を持っている。今回問題になっているJ.ESTINAが IOC に寄付でもしたら、この件がうやむやになってしまう可能性だってゼロではあるまい。それ以前に、日本の JOC や IOC、そしてスケート連盟の関係者から、この件に関する声が上がっている気配は皆無だ。世間の人々は、あーまたか、と諦め顔のようだし。

気象庁も大変である

オリンピックの選手のインタビューなどでも感じたことがあるけれど、自分に責任のないことを謝る必要はないのに、人は何故謝ってしまうことがあるのだろうか。

今日はチリの地震に伴う津波が来ていて、気象庁もその情報に関する記者会見で大変だったようだけど、記者の

「この津波の影響はいつ頃まで続くのでしょうか」

という質問に対して、担当官がこんな回答をしていた。

「えー皆様に多大なご迷惑をおかけしまして誠に申し訳ありません」

いやそれ謝る必要ないでしょう、気象庁悪くないですから!

どうも、人は差し迫ったところにいるとおかしくなるもののようだ……

アートとエンターテインメント、どちらが歴史に残るのか

浅田真央選手と金姸兒選手のフィギュアの演技を観たのだが、僕の率直な感想は、この標題に記した通りだ。勿論、僕は歴史に残るのはアートの方だと信じているわけだけど。

僕はいわゆる自称民族派の連中のお先棒担ぎをしたくはないのだけど、特に韓国における金姸兒選手と、それ以外の女子フィギュアスケート選手に対する報道・風評は「あまりにひどい」の一語に尽きる。どうひどいのか、は、以下をご覧いただければお分かりかと思う。

勿論、これはあくまで二次資料ではあるのだけど、朝鮮日報等の日本語サイトを見ていても、金姸兒選手に関しては偏向的なコメントが散見されるのが現状である。

自国の選手を讃えることは一向に構わない。しかし、その行為と、他国の選手を貶める言動は明らかに別次元の代物であって、後者は唾棄されるべきものなのだ。これは僕が右だろうが左だろうが、おそらく何の変わりもなく主張し得ることであろう。

まあこの手の話は書き出したらキリがない。男女差がない ISU のジャッジングシステムにおいて、あのプルシェンコよりも金姸兒選手の方が演技構成点が高いのは何故なのか?とか、どうして ISU の審判講習会が韓国で行われたのか?とか、そんなことだらけなのだ。ただし……点を取るための演技、エンターテインメントのための演技が、アートとしての存在意義を問う演技を超えられる筈はないし、たとえオリンピックのメダルがそれを証明しなくとも、歴史がそれを証明することだろう。物言えば唇寒し……の心境なので、これ以上書かないけれど。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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