コルクアウト
ワインを買うときなど、常にちょっとだけ注意しておいた方がいいことがある。それはコルクの状態だ。
そもそもコルクで完全な密閉を期待することは無理があるわけだけど、買うワインのコルクの状況をチェックして買うことは、外れを引かないようにするためにも必要なことだ。出来ることなら、陳列用の瓶以外は寝かせてある店で買う方が望ましいし、定温コンテナで運ばれたワインを買う方が望ましい。その辺りを注意しても、一説によると、10本に1本位は、コルクに起因する中身が劣化した瓶を引いてしまう可能性がある、という。
コルクの上端がどの辺りに位置しているのかチェックするのも良いかもしれない。コルクの状態は、ワインの温度管理の履歴が反映される。温度が上がれば、コルクは瓶から押し出される。温度が下がれば、中に引き込まれる。あまり頭が引っこんだ瓶は、やはり引かない方が安全だろう。
こういうことに普段から注意しているおかげで、この何年か、ワインの外れを引くことはなかった。しかし……今日はやってしまった。いや、ワインではないのだけど。
スコットランドはハイランド……と言っても、ローランドとの境界線のそばなのだが……に Loch Lomond 蒸留所というのがある。その名の通りの Loch Lomond というシングルモルトや、ブレンデッドスコッチの High Commissioner などを生産している蒸留所なのだけど、ここで Inchmurrin というモルトを作っている。最近よく行く酒屋で、このモルトが「独特な香りで飲みにくい」というような紹介をされていたのが気になっていて、今日12年のボトルを購入したのだった。
帰宅して、さあ開けてみましょう、とコルク(シングルモルトはほとんどの場合コルク栓である)を捻ったら「ぼそっ」という手応え。あー、しまったー、コルク切っちまった! モルトの場合は、コルクの匂いで酒が台無しになる程酒が弱くないので、まあ最初が飲みにくい位で済むのだけど、それにしてもあまり気持ちの良いものではない。長く店に置かれているようなモルトを開栓するときには注意しなければならないのだけど、今日はうっかりやってしまった……
しかしこの Inchmurrin、何が「独特な香りで飲みにくい」なんだ? これはむしろ、初めてモルトを飲む人にでも薦められそうな香りだと思うけれど。うーん。