Starbucks, あるいはそういう名前のタコ部屋について
スタバを使うようになったのは、当然大阪に住んでいる頃だった。当時は出張で空港を通ることがとにかく多くて、その度に伊丹や関空のスタバには世話になったものである。当時はまだ、メニューにエスプレッソ・コンパナも掲載されていて、朝の出発で眠たいときには重宝していたものだ。
しかし時代は、そして社会は変容するものである。当時はちょっと「イケてる感」があった(僕がそれを希求していたわけではないんだが)スタバが、いつの間にか若者の為の場所、みたいな扱いになって、気付いてみたら、高校生や大学生の勉強スペース、ということになっているらしい。
そういう状況に違和感を感じまくっている Thomas が、どんな風にスタバを利用しているか、というとだ……
- 入店。大概メニューを持った店員が「メニューをどうぞ」と来るのだが「いらん」と突っ返す。キャリアの長そうな店員だと「ああ、この人はそういう人なのね」と放っといてくれるんだが、そうでないと「ひぃ」と声でも上げんばかりの怯えた目を向けられることになる。
- 「ご、ご注文は……」まあいつも大体決まっている。面倒なので「ダブルトールカプチーノ」と言う。キャリアの長そうな店員だと「ああ、この人はそういう人なのね」と放っといてくれるんだが、そうでないと「何この人、店員でもないのに符丁を使うんだ」と言わんばかりの当惑した目を向けられることになる。阿呆。「エスプレッソのショットをひとつ追加した、トールサイズのカプチーノを下さい」なんて長ぇんだよ。
- もっと面倒なのは「エスプレッソ・コンパナ」と言ったときだ。新人相手だと通じないことがある。まあ、目端の利くベテラン店員がすっと来て引き継いでくれることが多いんだが、そうでないと面倒この上ない。
- で、この一連のやりとりをしているとき、何が一番うざったいって周囲の連中だ。えースタバで甘くないもの頼む人なんかいるんだー、みたいな顔をしやがる奴。もう面倒で面倒で。
- さあ、それで、ようやく品を持って席を探しに入ると……阿呆面した奴が勉強のポーズを決めてやがる。気合入れてレポート書くのに、友達と談笑しながらとか、ヘッドフォンで何か聴きながら出来る、なんて、僕にはとてもじゃないが信じられない。ポーズだったらもういいじゃん。出てくれよ。席空けてくれ。ああ。邪魔邪魔。
まああと、スタバには無料の(けれど unsecured だってことは皆意識しないものらしい)Wi-Fi があるので、これを使うために来る、というのもあるわけだ。でも、僕が普段使っているのは Debian GNU/Linux に XFce4 だから、得体の知れないデスクトップを開いて、bash にガシガシ何か打ち込んでいると、これまた気味悪がられてしまうわけだ。
嗚呼、どうしてこの国は、いや、この地はこうも横並びを求めるんだろう。他人が自分と同じだと安心する、なら分かるけれど、他人が自分と違うと、どうしてそうも異邦人扱いするんだろう。意識していないのかな。いいじゃん、僕があなたと違っていたって。興味があるなら、へーそれ何使ってるんですか、とか訊けばいいじゃん。訊きもせず、放置もせずに、異物扱いするのだけは、どうかやめてもらいたいんだけどなあ。ほら、この辺りには、異物扱いされない異物がそこら中に転がっているじゃない。勉強するフリしてる学生とか、スタバに来たら甘いもの頼まなきゃならない、って強迫観念に酔ってる奴とかさ。