上海総領事館員自殺事件
中井洽(ひろし)国家公安委員会委員長の女性問題に関して、「ハニートラップだったらどうするのか」という声が上がっているという。この指摘は、北朝鮮の工作員だった場合の危険性などを懸念したものだ、というのだけど、いやそこで警戒するのは北朝鮮じゃないでしょう、と思ったのは僕だけだろうか。
ハニートラップを警戒するのであれば、誰が何と言ったって怖いのは中国である。何せ、中国には前科があるのだから。その名も「上海総領事館員自殺事件」という。
2005年末、この事件が明るみにでたときに、僕は戦慄したのを覚えている。事件そのものに、と言うよりは、世間のあまりの無関心さと、日本政府のあまりの静かな対応に戦慄したのだけど、外交特権を以てしても尚、この自殺した職員に「国を売る以外に生きて出国できないだろう」と思わせたあの国は一体何なのだろう。ネットワークに関しても、彼の国は「金盾(ジンドゥン)」と呼ばれる巨大な情報統制システムを既に稼動させている。今、ネットワークフィルタリングの技術で世界のトップを走っているのは中国だ、というのは、この手の知識を持つ人々の間ではもはや常識である。
僕達が日頃つい忘れかけていることなのだけど、彼の国は、どれだけ経済的に開放しているように見えても、政治レベルにおいては、この21世紀において尚一党独裁国家なのである。どれだけ開放的に見えても、どれだけバブルに酔おうと、このことだけは忘れてはならない。某国家公安委員会委員長は、こういうことはすぱっと頭の中から抜け落ちているようだけれども。