難問奇問
某所にて、中学三年の子に、どうしても分からない問題があるので教えてもらえないか、と言われた。見せてもらうと、大体こんな感じの問題だった。
「Thomas さん、答を見ると eight って書いてあるんですけど、どうしてこれが eight になるのか、僕には全く分かりません」以下の英文を読み、カッコ内に入る語を答えよ。
A Japanese tourist stood in front of the ticket counter at Santa Clara station. He wanted to move to San Francisco by Caltrain. He thought carefully, and said to clerk "To San Francisco." The clerk received money, and exchanged for two tickets.
The tourist thought that's the result of his poor English, and then said to clerk "For San Francisco." The clerk received money, and exchanged for four tickets.
The tourist was surprised by those unexpected results. He tried to calm down himself, and said "Well..." At that moment, he gave ( ) tickets from the clerk.
……いや、分かりますよ。英語の問題に少しは面白さを加味したいんだ、という、その思いはね。でもね、これは分からないでしょう。
「……これは、分からないだろうなあ」
「はい。全く分かりません」
「……あのさあ、サンフランシスコ行きの切符を買うとき、カウンターで何と言ったらいいと思う?」
「え? ここに書いてあるみたいに To ... とかですか?」
「ああ、いや、単純に行き先だけ言えばいいのさ。だから、前置詞がどうとか考える必要はないんだ」
「はあ」
「だけど、この話に出てくる日本人旅行者は、考えないでもいいことを考えて to をつけてしまった。だから to を two と聞き取られて、切符が2枚出てきたわけだよ」
「はあ」
「で、I need only one. か何か言やいいところを、ああこれは自分の英語がマズかったんだなあ、と要らぬ知恵を巡らせて、彼は For San Francisco. と言う。で、For を Four と聞き取られて、切符が4枚出てきた。ここまではいいよな?」
「はい」
「で、この "Well..." ってのがあるよな。これは本当は彼は日本語で呟いてるんだよ。『えーっと……』ってね」
「はあ……」
「うーん、分からんかな。『えーっと』って、何に聞こえる? Eight に聞こえないか?」
「はあ」
「だから、『えーっと』で出てくるのは八枚だろう? だからここは eight になるんだよ」
悔しさに満ちた声をあげる中三の子に僕は言った。
「まあ、"Well..." から『えーっと』はさすがに出てこないよなあ。それに、これは英語の問題じゃなくて、トンチの問題だよ。だから、問題の方に問題がある。出来なくてもメゲることなんかないからな」
出題者は、少しでも解く者に面白いようにと作ったのかもしれないが、いくら何でもこれじゃあ答には辿りつけないだろう。僕だってこの話を知ってるから分かるのであって、元ネタを知らずにこれがテストに出たら、そりゃあ出題者を恨むよな。いやはや、中学生稼業も楽ではないことよ、と思わされたのだった。
Re:難問奇問
こういうのありましたねぇ〜。懐かしいなぁ〜って思いながら読みました。