メディアへの苦言(『北海道の夏山遭難に関して思うこと』補遺、追記あり)
まず下記リンク先を読んでからお読み下さい。
- TOKACHI WEB: 【緊急企画 夏山遭難】トムラウシ山の惨事(上)
http://www.tokachi.co.jp/feature/200907/20090718-0002104.php - TOKACHI WEB: 【緊急企画 夏山遭難】トムラウシ山の惨事(下)
http://www.tokachi.co.jp/feature/200907/20090719-0002116.php - 北海道警察: 『夏山(7月から8月)遭難事故の防止』
http://www.police.pref.hokkaido.jp/info/chiiki/natuyama/natuyama.html
Date: Mon, 20 Jul 2009 08:47:53 +0900
From: Tamotsu Thomas UEDA
To: center@kachimai.co.jp
Subject: 『【緊急企画 夏山遭難】トムラウシ山の惨事』内容に関して
十勝毎日新聞社 読者センター 御中:
上田と申します。御社の web サイトにて標記記事を読ませていただき
ましたが、少々お伝えしたいことがありまして、メール差し上げます。
御社記事:
【緊急企画 夏山遭難】トムラウシ山の惨事(上)
http://www.tokachi.co.jp/feature/200907/20090718-0002104.php
中、
> トムラウシ山に年7、8回は登るという、十勝山岳連盟の太田紘文会長
> (69)は「20−25メートルの風では、ツェルト(非常用テント)は
> もたない。テントもはじめから立てていないと無理」と語る。
とありますが、北海道警察が公開しているページ:
『夏山(7月から8月)遭難事故の防止』
http://www.police.pref.hokkaido.jp/info/chiiki/natuyama/natuyama.html
中には、このような記述があります。
> 山岳遭難事故を防ぐため、次の点に注意してください。
>
> ★ 計画した時間に無理に合わせるのではなく、天候、自分の体力や体調に
> 合わせた登山をしましょう。
> ★ 夏の雪渓は、固く滑りやすいので、急斜面では簡易アイゼンを使用しま
> しょう。
> ★ 天候の急変などに備え、日帰り登山でも、雨具、ツエルト、ヘッドランプ、
^^^^^^^^
> 携帯電話の乾電池式充電器、アマチュア無線機などを携行しましょう。
> ★ ヒグマの出没情報に気をつけるとともに、熊除け用の鈴など、音の出るもの
> を携行しましょう。
> ★ 登山計画は、家族や職場に知らせるとともに、登山計画書を最寄りの警察署、
> 交番・駐在所に提出しましょう。
(傍線は筆者)
このように、ちゃんと装備にツェルトを持つように、と明記されているのですが、
十勝山岳連盟の太田紘文会長なる方も含めて、風に対する認識が甘すぎるのでは
ないでしょうか?
# 私は今回、このツェルトの件に関してメディアが明確な指摘をしないことに
# 大きな疑問と憤りを感じております。現在の一人用ツェルトは、ビールの
# 350 ml 缶と同じ程度の大きさで、重さも 200 g 前後です。これと、樹脂に
# アルミ蒸着したコンパクトな防熱シートを装備していたら、おそらくひとつの
# ツアーで8人も死ぬなどということはなかったはずですから。
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Tamotsu Thomas UEDA
[後記]なんと、十勝毎日新聞社から返事を頂いた。この手のメールは黙殺されることが多いのだけど、まずはちゃんと読んでご返事いただけただけでも感謝している。そのご返事と、それに対する返事をここに引用しておく
上田様
本紙の記事につきまして、ご指摘をありがとうございました。今後とも、お気
づきの点がありましたら、よろしくお願い申し上げます。
なお、ご指摘がありました太田会長の談話の件ですが、太田会長が「もたない」
とお話しになったのは、「持って行かない」の意味ではなくて、「耐えられない」
の意味です。あるいは誤解されましたでしょうか。談話とはいえ、まぎらわしい
場合は言い換えなど、表現に留意していきたいと思います。
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勝毎読者センター
勝毎読者センター 御中:
上田です。まず……ほとんどのメディアはこの手のメールを出しても
無視されてしまうのですが、まずはご返事いただいたことに感謝します。
On 2009/07/21 9:15, 勝毎読者センター wrote:
> なお、ご指摘がありました太田会長の談話の件ですが、太田会長が「もたない」
> とお話しになったのは、「持って行かない」の意味ではなくて、「耐えられない」
> の意味です。あるいは誤解されましたでしょうか。談話とはいえ、まぎらわしい
> 場合は言い換えなど、表現に留意していきたいと思います。
なるほど。「携行」の意味でないので、あえて平仮名表記で「もたない」
と書かれていたわけですね。私のように誤解する人は多いかと思いますが、
この場合は表現自体を変えるしかなく、しかもインタビューでご本人が
しゃべられた内容ということでしょうから、それがし難かったというのも
分かります。字数制限等おありでしょうが、もたない(耐えられない、の意)、
などのように併記して下さると有難いですね。
で、本当に「もたない」のか……という話ですが、ツェルトというのはそもそも
「袋」ですから、ポールなどを立てた本来の設営形態での使用は困難かもしれ
ませんが、飛ばされないように広げて、中に潜り込めれば、少なくとも風雨に
よって体温を奪われることはかなり抑制できたのではないかと思われます。
現在のツェルトでしたら、風速 30 m 位でも、風だけの為に生地が裂ける
等のアクシデントは起きないと思います。あくまで私の意見ですが、ご参考まで。
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Tamotsu Thomas UEDA
2009/07/20(Mon) 10:06:40 | 社会・政治
Re:メディアへの苦言(『北海道の夏山遭難に関して思うこと』補遺、追記あり)
久しぶりに書き込みがあったので書き込んでおきますが、「もたない」の意味がどうかということに関しては、メールの返事をそのまま追記として掲載しているところから読んでいただければそれで十分でしょう。私の方としては、いちいち「私はこう思う」と書かれても「はぁそうですか」以上のことは何も申せません。ちなみにそれとは関係なく、リンク先が消えている一番下の報道で、ツェルトを「持っていなかった」ことは判明しています。