こっそり進んでいること
今、厚労省でこっそり進んでいることがある。いわゆる「3年ルール」の撤廃である。
小泉政権下で、特殊な業種に限定されていた派遣社員の制度が大幅に緩和された。しかし、ある職場、ある分野で安定に働くことが最低限保証されるように、この「3年ルール」というものがあった。具体的には、3年以上、ある職場で同一の人を派遣で雇うことはできず、使い続けたいならば正社員雇用をしなければならない、というものである。
しかし、現在、厚労省を中心として、この「3年ルール」を撤廃する方向で進行中だ、ということが、先日こっそりと報道された。つまり、使える人材を派遣のままで使い続け、会社の都合で一方的に派遣切りすることができるようになる、ということである。
思えば、民主党政権下でも、あの愚者のシンボルのような管直人が「1に雇用、2に雇用」と吠えながらも、結局は何もマトモな雇用政策を進めてこなかったわけだが、これに続いて、アベノミクスを標榜する自民党政権下においても、むしろ逆に、雇用者の都合の良い雇用形態による、雇用者の利益拡大というものがしれーっとなされているわけである。これがアベノミクスの内実だというならば、到底この国を再浮上させることなどできないだろう。だって、派遣で働いている人が、自分が職場で欠くべからざる存在になるべく努力精進する、その理由を奪おうってんだぜ? もうお話にもならない、そういう話なのである。