新年早々もう飽きたもの
年末年始は仕事も長引いた上に、年末にはなんとノロウイルスを拾ってしまっていたので、正直あまり休めなかったのだけど、それでも家でテレビなど観ていたわけだ。しかし……なんだかもう飽きてしまった。
良質なドキュメンタリーでもやってくれればよかったのだけど、そういうものもあまり多くなかった(オリバー・ストーンのあの番組は前に観てしまっていたし)。いや、それ以前に、実は CM を観る度に「もういいよ、飽きたって」とうんざりしていたものがある。それは内容や音声ではなく、その色調なのだ。
最近の CM をちょっと注意して観ていただけるとお分かりになると思うのだが、色調が褪せて、妙に緑っぽい、ざらっとした質感の映像が多い。僕は写真をやるのでよく分かるのだけど、これは明らかにカラーフィルムで撮影した画像の色調を真似しているのだ。
こういう色調の映像がひとつやふたつなら、ハイビジョン全盛の昨今、妙に新鮮な感じを得られるかもしれない。しかし、これ程までに、あちらこちらでこの色調を使っているのを見ると、いい加減勘弁してくれないかな……という心境になってくるわけだ。いや、きっと、僕をうんざりさせているのは、その画像そのものというよりは、「今はこの色調にしておけばオッケー」というこの風潮の方なんだろう。
この風潮のココロは何かというと、「この色調にしておけば、とりあえずクライアントは丸め込める」「この色調にしておけば、とりあえず視聴者のクレームに言い訳できる」……もっとはっきり言うならば、「この色調にしておけば、その色調を選択したことの責任を『これが最近のトレンドなので』という一言で回避できる」ということなのだろう。しかし、実際のところ、本当の最近のトレンドは「こうすれば責任を回避できる」っていう方なんだよな。まあ業界の方々は便利な言葉を知っていて、これをもっともらしく「コンプライアンス」と称するんでしょうけれど。でもねえ、こんなものに付き合わされる一視聴者としては、いい加減苦痛なんですけれど。いや本当、もう飽きましたよ、あれは。