山形氏にメールするも……
なしのつぶて。9年前に出した訳を今更どうのこうの言われてもアレなのかもしれないけれど。ちなみにamazon に書評として書いたものは以下の通り:
本書の存在は数年前から知っていた。私はカトリックの信者で、一カトリックとして、旧約聖書の「憤怒する神」の暴力的かつ理不尽な記述や、共観福音書の不一致に関しては知っているつもりだったが、微に入り細に入り挑発的なこの本の筆致を追いかければ追いかける程、一般の人があるいは「神聖にして侵すべからざる」ものだと思っているかもしれない聖書が、実は極めて人間臭い一面を持つものであることが露わになってくる。それは記者が各文書を書いたときから、そして何千年もの間、主に筆写というかたちで伝承されてきた過程において、聖書というものに携わった人達の文化・宗教観・倫理観が反映された結果に他ならない。本書をガイドブックにして聖書を辿れば、今まで近付き難かった聖書という書物を、ぐっと身近な、血沸き肉躍る(比喩ではなく)読み物として実感していただけると思うし、その合間に「そんなアホな!」とかツッコミを入れられる読み物でもあることも実感していただけるだろう。
ただし、本書には、私が数えただけでも21か所の間違いがある。その多くは、記述に対応する聖書の引用章節番号の写し間違いなのだが、非常に問題があると思われるのが、原著にあるのに訳本に反映されていない記述6か所、そして原著にないのに訳本に記述のある聖書の引用箇所(つまり、山形氏が勝手に記述を付け加えたのである……訳者追記の断り書きもないのだが)2か所の存在である。これはどうにもいただけない。訳者の山形氏は英語使いとしては非常に評価が高い人であるだけに、これは残念なことだと思う。時間のある方は、NY の Blast Books から刊行されている原著を入手・並読されることをお薦めする。
ちなみに僕が知っている山形氏のメールアドレスって MIT のなんですが、これって今生きてるのかしらん。