原稿用紙モード
とある事情により、原稿用紙に LaTeX で文章を組版することになった。こういうのは本当に勘弁してもらいたい……何故って、TeX / LaTeX が一番苦手としている処理だからだ。
でも、まあブツクサ言っていても何も進まないので、昔の記憶を掘り返しながら、まずは NIFTY の FTEX 辺りで流れていたマクロを探してみる……なかなか発見できなかったが、 Google The Big Brother によって以下の URL を発見:
ftp://masui.med.osaka-u.ac.jp/pub/public/latex/style/ここから fgenko10.lzh を頂戴してくる。
こういうヤクザな代物をシステムに入れるのは躊躇われるので、今回は ~/texmf 以下に入れることにする。まず
のようにディレクトリを作成しておく。~ / texmf / tex / latex / fgenko
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/ fonts / map / fgenko
/ pk
/ sources / fgenko
/ tfm / fgenko
/ vf / fgenko
~/texmf/tex/latex/fgenko には、
- binsen.clo
- genkin.tex
- genkomac.sty
- genkou.cls
- genkouid.tex
- ribon.clo
- tgenkou.clo
- ygenkou.clo
~/texmf/fonts/tfm/fgenko には *.tfm をコピー。このディレクトリ内で、
として生成した vf ファイルを ~/texmf/fonts/vf/fgenko に移動しておく。~/texmf/fonts/sources/fgenko には gerib10.mf を入れておく。$ makejvf gmin10 rml
$ makejvf gtmin10 rmlv
~/texmf/fonts/sources/fgenko 内で、
とすると、~/texmf/fonts/pk/ljfour/fgenko/gerib10.1290pk が生成される。ここまで終わったら、$ mktexpk --mfmode / --bdpi 600 --mag 2+90/600 --dpi 1290 gerib10
として ls-R データベースを更新しておく。$ cd ~
$ mktexlsr ./texmf
さて、これで、
\documentclass[縦,A4]{genkou}のような文書 genkoutest.tex を作成し、
\begin{document}
原稿用紙テスト
何之 某
これから、原稿用紙でのTeXによる組版の問題についてみていこうと思います。そもそも、TeXで均等割りの版組みを行うというのは、その思想に反した行為だと思うのですが、日本の場合はそれに反することを強制されることがままあり、それに対応する必要がある、というわけです。
現在の状況に関して書いておくと、ホームディレクトリ以下に「原稿用紙パッケージ」をセットアップしてあります。フォントは小塚フォントを用いるようにしてみたのですが、ずれるので埋め込まずに使っています。
\end{document}
と処理すると、かなり綺麗に原稿用紙に割り付けられた文書が出来上がる。現時点での問題点は、$ platex genkoutest.tex
$ dvipdfmx -l genkoutest.dvi
フォントを埋め込むとずれる。(後述:埋め込みは問題なく可能)ルビをふったときもずれる。(後述:これも問題なく可能)- リボン(原稿用紙中央にある飾り)を付けるオプションを付与すると割付けが無茶苦茶になる。(後述:これはどうやら B4 サイズ決め打ちらしい…… dvipdfmx で "-p b4 -l " を明示的に指定することで版組が可能である)
【後記】この原稿用紙モードのアーカイブが阪大から落とせなくなっている(というよりも、よくもまあこの時代まで ftp server を生かしておいていただいたと、逆に感謝の念しきりなのであるが)。再配布自由らしいのでこちらから取れるようにしておくことにする。
tar.xz の方は、テキストを UTF-8、改行コード LF に変換し、余った EOF コードの除去を行ってある。.lzh の方が私の持っているオリジナルである。
あと余談ながら書き添えておくけれど、オリジナルのアーカイブを使用される場合、アーカイブ中のテキストのコード変換の際に tfm ファイルまで変換に通さないように(tfm ファイルはバイナリです)。これが原因で「動かない」と言われることがしばしばありましたよ。