足し算・引き算
中国で大騒ぎになっているのは、勿論皆さんご存知のことと思う。ニュースなどでも報道されている通り、日本から中国に進出している小売業、製造業において、デモ……もとい、暴動による破壊行為のために、とんでもない被害を既に被ってしまっている。
青島のイオンは、表のガラスが全て割られ、店内も甚大な被害を受けた。また、平和堂も大きな被害を受けている。僕は彦根の某大学と一緒に仕事をしていたことがあるので、彦根駅前の平和堂を頻繁に利用していたのだけど、いわゆる近江商人の典型で、極めて良心的な営業活動を行っている会社である。こういう会社の店舗が、何故あんなことにならなければならないのか。とにかく理解不能だとしか言いようがない。
この暴動で、イオングループは青島だけで20数億の被害を受けたといわれている。平和堂に関しても、数十億の被害を受けたといわれている。これらを誰が賠償してくれるのか。平和堂は、保険に望みをつないているようだけれど、このような暴動は免責事項に入っている可能性もあるので、やはり中国側の公が賠償しなければ、このまま彼等は泣き寝入りすることになりかねない。
しかも、こういうときはとかく責任の所在がいいかげんにされるものだ。中国政府も地方行政の方も、おそらくは不可抗力だ、と、責任を負わずに逃げるであろうことは想像に難くない。ではどうしたらいいのだろうか。
僕は、今回の被害額を耳にしたときにピンときたのだが、来年度の ODA で中国に振り向けられた予算を、そのままこの賠償に充当したらどうだろうか。2010年の実績で、中国向けの ODA の無償供与額は1300万ドル、現行レート換算で約10億円である。これでもまだ弁済分には程遠いが、政府貸付の6億3000万ドル(いわゆる円借款の返済残高?)、あるいは技術供与分の3億4700万ドルから残りを充当する手がある。特に、政府貸付に関しては、問答無用で今回の弁済分を貸付額に上乗せするという手だってあり得る。当然中国側は猛烈に反発するだろうけれど、だったら貸した金をすぐに返せ、と迫るのも一法である。
まあ、今回のポイントは、踏み倒しようのないところを活用して、踏み倒すことが容易に想像される相手にどのように弁済させるか、ということになるだろう。こういう方策を早いところちゃんと決めておかないと、この問題は日本国内でもうやむやにされかねない。僕は、平和堂のような会社がそんなメに遭わされるのは、正直見るに耐えないのだが。