勝谷クン、オイタもそこそこにね

よみうりテレビ制作の土曜の情報番組『あさパラ!』を観ていたら、出演していた勝谷誠彦が尖閣諸島問題に関してコメントしていたのだが、レアアースの輸出停止に関しての話題が出たときに、

「俺は地学出身だから」
いい加減にしろよゴルァ。あんた早稲田一文だろが。灘高時代に地学研究会に入ってただけで何をほざくかボケが。

で、あんなものは微量入れるだけだし、中国以外にも鉱脈があるから、中国から輸入する必要なんてないんだ、ネオジムなんかはカナダに鉱脈が見つかってるから……などと言っていたのだが、こういうことを無責任に民にばらまくのも、たいがいにしていただきたい。

希土類金属の生産量は、中国が世界生産量の9割を占めている。工業的に成立する値段で日本が希土類を入手するためには、中国を抜きに考えることは非常に難しい。今鉱脈が発見されているところで、安定して必要量を入手できる状態になるのに、どれだけ時間がかかるか考えているのだろうか。鉱山が供給元として成立するまでの投資、そして安定に操業がなされるまでの時間……そうしたものが、勝谷には全く分かっていない。

それに、微量を使うだけ、だぁ?じゃあ、例えば酸化セリウムはどうなるわけよ?光関連デバイス……一番問題になるのは、おそらくテレビ用大型ガラス液晶基板だろう……の精密研磨には、これなしではどうにもならない。しかも、研磨剤だから、その使用量は決して微量などというレベルではない。そういうものの存在は、きっと高校の地学研究会では教えて貰わなかっただろうけど。

いずれにしても、だ。本当に、半可通は死んで欲しい。いや、本当に、さ。

実は冷静だった辻元氏

『朝まで生テレビ』をちらっと観ていたら、辻元清美氏が今回の中国漁船船長逮捕の件に関してコメントしていた。大体こういう論旨だった:

そもそも逮捕をしたことに問題がある。領海侵犯を確認した時点で即刻国外退去させるのが双方にとって一番圧力を感じさせない対処だった。以前尖閣諸島に上陸した者に対しても、自民党は国外退去で対応している。逮捕するからには相応の覚悟が必要であって、今回のように逮捕してから態度が変わるというのは問題である。

これに場内皆首肯していたのが実に面白かった。そうなんだよな。逮捕する上での覚悟が足りなかった、というのはまさに今回のケースにおいて問題だったし、実際それでこんな結果に至ってしまったのだから。

Roger Nichols & The Small Circle of Friends

こういう日は、本当に音楽がないと生きていけそうにない心地になるけれど、今日は久々に "Roger Nichols & The Small Circle of Friends" なぞを聴いている。

Roger Nichols & The Small Circle of Friends

このアルバム、いわゆる渋谷系のミュージシャンが聴いていることで一躍有名になってしまったけれど、もともとは僕にとっては密やかな感じの……丁度 Nick DeCaro and Orchestra の "Happy Heart" みたいな存在だ。どの曲も、今も尚心地良い。

そう言えば、Swing Out Sister の "Where Our Love Glows" を買ったときに、収録曲の "When The Laughter Is Over" のイントロに、このアルバムの "I Can See Only You" がそのままサンプリングされていて仰天したことがある。日本人とイギリス人は、どちらもアメリカの音楽が本当に好きで好きで、だからこういうところで「ウマが合う」のかもしれない。

中国人船長釈放へ:何が問題なのか

こうも呆気無い展開になるとは思わなかったのだが、今日昼過ぎ、那覇地検は記者会見を開き、鈴木次席検事が、尖閣諸島沖で海上保安庁の船舶に体当たりした中国籍漁船の船長を、処分保留で釈放する方針を明らかにした。僕はあまり右傾化したことを言う気はないのだけど、この判断は外交上非常によろしくないと考える。尖閣諸島に関しては、旧中華民国が日本国領土と認めていたことが石垣市役所で発見された感謝状の文面等からも明白なのだから、今回の一件も、それらの証拠の存在を国際的に発信した上で国内問題として処理すべき問題なのだ。今回の処分保留という措置は、どう考えても、国際的に「日本が中国の圧力に屈した」と取られて仕方のないものだと思う。

で、先の那覇地検の記者会見を振り返ってみると、そのコメントの中に注目すべき点があることに気づく。次席検事は、今回の方針決定における判断基準として「今後の日中関係に悪影響を与える」ことを挙げているにも関わらず、この方針は「検察当局が決めたことだ」とコメントしているのである。

そもそも「処分保留」とは何なのだろうか。仙石官房長官は、記者会見において今回の件に関してこのようにコメントしている:

刑事訴訟法248条の意を体してそういう判断に到達したと報告を受けた。それはそれとして了としている」
会見映像:http://www.nikkei.com/video/?bclid=67421386001&bctid=616534505001

……仙谷由人という人は最終学歴が東大中退、である。というのも、在学中に司法試験に合格したからなのだが、まあ要するに仙石氏は弁護士資格を持っているわけだ。そんな人がこんな事言っていいんですかね?

いや、僕は別に逆ギレして仙石氏に噛み付いているわけではない。問題の条文:

第二百四十八条  犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。
に規定されているのは、これは処分保留じゃなくて起訴猶予処分じゃないの?と言いたいわけだ。起訴猶予というのは、被疑事実が明白な場合において、上の条文にあるような理由から検察が「今回は公訴を提起しない」と判断した場合を指す。なぜ「被疑事実が明白な場合」なのかというと、これは先の刑事訴訟法第248条に「犯罪の軽重」「犯罪後」とあって、この条文が犯罪行為が有ったことを前提としているからなのだけど、このような「起訴猶予」にまで到達していない事案が「処分保留」の範疇に入るわけだ。つまり、罪の有無を認定することなく処分を保留することは、刑事訴訟法248条に規定された「処分」ではない。

処分保留ということは、罪の有無を問う以前の段階で処分を保留したことなのに、仙石氏はどういうわけかそれを「刑事訴訟法248条の意を体して」なされた処分だと言っている。これはどういうことなのだろうか。罪の有無はこの場合非常に重要な問題だ。そこをこんな風に、しかも弁護士資格を有する人がいい加減に権威を以てコメントするって、どういうことなんでしょうかね?

しかも、日中問題に関わる事案であるならば、これを検察庁が判断し、その結果を内閣が唯々諾々として受け入れる、なんて、てんで話がおかしい。だって、検察庁に外交問題や政治問題の責任は取れないじゃないの?結局、責任を負いたくない人がいるのだろう、としか、僕には思えないのだ。

そして、それにも増して僕が恐ろしく感じることがある。メディアの報道を見聞きしていただければお分かりかと思うけれど、僕が明記した「248条」の部分を、どういうわけかどこのメディアも皆削って報道しているのだ。これはどうしてなのだろうか?248条というのが仙石氏の言い間違いだ、と好意的に解釈した結果なのだろうか?しかし、248条の条文を読む限りでは、仙石氏はこの条文を知った上で(まあ弁護士だし、刑事訴訟においてこの条文は非常に重要な意味を持つので当然知ってるはずなんだけど)発言しているのだから、この条文番号を削るということが、僕にはどうにも理解ができないのだ。これはあれですか。報道管制なんですか?

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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