このページでは、僕の好きな店を書いておこうと思います。depression のせ いか、他人に煩わされることが大嫌いなので、居心地のいい店というのを探す のですが、なかなか見つかりません。他人との距離感を考えず、複数人数の塊 になるととたんに暴虐無人になる人達が、僕は大嫌いなのですが……街にも郊 外にも、どうしてそういう連中が溢れているのでしょうね。
あと最初に書いておいた方がいいんでしょうけど、僕はいわゆるグルマンでは ありません。旨いものを知っていることを以て何事かを主張したり、変な方法 論で凝り固まったりするような方々には、下に挙げる店には来ていただきたく もないし、お目にもかかりたくありません。旨いものを落ち着いて食べたい、 その時間を持ちたい……僕の望むものはただただそれだけなので。その邪魔を するような方は、家で味噌でも舐めてて下さいな。
大阪だとあちこちにあるフランチャイズの蕎麦屋。どこにでもある割にはとり
あえず食える蕎麦を出すので、ハンバーガー屋に入るような感覚で入ることが
多い。よく入るのは梅田の阪急地下の店とホワイティ梅田の店。
家族庵
大阪府箕面市桜ケ丘4-11-18
0727-20-2987
池田市から箕面市役所に至る府道、箕面市に入って少し行った道沿いにある。
もともと家族亭で修行した人が作った店らしいのだが、僕が温かい蕎麦を食べ
る数少ない店。いつも混んでいて、しかも多くの客がここの鍋焼饂飩を食べて
いる（これもこの店の名物なのだが）のだけど、ここでは僕は、冬は鴨なんば
の大、夏はざる系と決めている。週に1度位の割で夕食を食べに行っていたも
のだから、入ると「いつもので？」「いつもので」で通じるようになってしまっ
た。若おかみの気遣いで、独りでも心を落ち着かせて過ごせる。
そば処三佳
兵庫県宝塚市逆瀬川1-11-27
0797-74-4778
阪急宝塚駅から今津線に乗り換えて二駅目の逆瀬川駅で降りる。この駅の駅ビ
ルは二つに分かれていて、間に道が通っているのだけど、その道に沿って1、2
分歩いたところ。見た目は何の変哲もない街の蕎麦屋なのだけど、十割、二八、
共に非常に美味しい。蕎麦粉の香りを活かした作り方で、田舎の蕎麦を彷彿と
させる。関西エリアで僕の知っている蕎麦屋の中では文句なしにトップクラス
だ。金曜が休みなので、金曜の夜に食べに行けないのが残念だが……
中川
兵庫県宝塚市南口2-3-35 コートハイツ1階
0797-77-0084
かつてあまりに有名であった「植田」が代がわりした店らしい。前述の今津線
で宝塚の隣の宝塚南口駅で降り、宝塚ホテルと反対側に歩いていく。ボーリン
グ場の前を過ぎ、ガソリンスタンドのあるＹ字の角を右側に入り数十メートル
の位置にあるマンションの一階。店主はまだ若い。値段を以前の「植田」の頃
より大分下げているが、味の方はなかなか。二八と十割がある。店の作りが上
品な小料理屋風で、粉もおそらくクルミでないものを使った上品なもの。酒は
剣菱だったと思うが……蕎麦屋の酒、ですな。初めて入ったときに天ざるを頼
んだら、そのときの揚げ玉を帰りに土産にくれた。こういうのを貧乏臭いなど
と言う方は絶対に来ないでいただきたい……これは実に嬉しい気遣いなのだか
ら。
そば處とき
大阪市北区堂島1-3-4谷安ビル1階
06-6348-5558
北新地の南寄り、大きなパーキングの南側の入口近くにある。以前は「そば紀
行」という名前であった。十割をメインにしているが、陶板のような厚手の皿
に載った蕎麦は細身で上品である。二八も置いている。ここは蕎麦以外には巻
き寿司が有名で、特に天ぷらを巻き込んだ天巻きは人気があるらしい。僕はい
つも十割のもり大を頼み、気分で日本酒とアテにコノワタを頼む。酒は色々置
いているのだけど、僕はいつも久保田。蕎麦屋の酒ってのはそんなにキリリと
してなくてもいいんじゃないのかね。酒を頼むと数々の猪口を持ってきてくれ
るので、それを選ぶのもまた楽しい。土曜の夜は八時まで（実際には七時台に
暖簾を引込めてしまうことも多い）なので、これが少しだけ残念。
喜庵
大阪市北区堂島1-3-37
06-6341-1882
店名は、よろこびあん、と読む。場所は前述の「とき」から東に歩き、最初の
角を北に折れて2、30メートル先。ここは神田やぶの息子が修行した店として
蕎麦マニアの間では非常に有名な店である。前述の「とき」と共に北新地の中に
ある店なので、時々吐き気のするような客に出喰わすこともあって、金曜の夜
などに行くと、同伴出勤のホステスとニヤケたオヤジのカップルがゴロゴロ転
がっている。そういう連中を見慣れたおかみさんには、どうも僕は汚ない服の
若僧に見えるのか、（この方応対がいいという評判なのだけど）いつも優しく
扱っていただけたことがない。蕎麦はピンピンのゴリゴリ……スノッブがよく
言うところの江戸前蕎麦の理想形ってやつ。太い麺と細い麺を選べるが、これ
はお好みで。半可通スノッブは「太いのを喰わないと」とか言うに違いないん
だが、そんな奴は所詮は見た目や評判以外で物を評価できない奴だから放って
おけばよろしい。あとこの店、酒のアテに出す品を厳選しているので、とりあ
えず酒とアテを頼んでみても楽しめるであろう。
瓢亭
大阪市北区曽根崎2-2-7 大阪梅田新道お初天神東入ル
06-6311-5041
お初天神の裏にある店。切蕎麦、特に夕霧という名前で出される柚切で有名な 店。他に梅切もあるし普通の蕎麦もあるが、基本的には上品で、やや柔らかめ の蕎麦を出す。夕霧そばは、蒸籠に載せて蒸し上げたものを熱々の生卵入りの 汁で食べるものと、通常の冷たいものとを選べる。半可通スノッブは「熱い方 を生卵抜きでなきゃぁ」と言うに決まっているのだが、そんなものは無視して よろしい。蒸し上げるというやり方は、おそらくは江戸時代からの old style を踏襲しているだけのことで、それ以外の理由としては柚の香りを立たせると いうことなのであろう。しかし食べるときの蕎麦の捌きがイマイチだし、麺は 柔らかくもなるので、それが厭な人は冷たいものを頼めばよろしい。生卵は香 りを消してしまいがちなので僕は入れないよう頼むことが多いが、これもお好 みである。自分で旨いと思うかたちは、味わう方が選べばいいのだから。
大阪市北区曽根崎新地1-3-3 好陽ビルB1
06-6343-1167
ジュンク堂大阪本店のある堂島アバンサというビルの北サイドの道を東に入っ て2、30メートル、角の手前のビルの地下にあるショットバー。北新地の飲み 屋というと腰が引けるかもしれないが、まともな飲み方をしている限りは数千 円でいけるので心配はいらない。ここのマスターの松葉氏はカクテルの名手と して有名である。その所作を見ていると実に面白い……素材として、可能な限 りフレッシュなフルーツを絞るところから始めて、無駄の無い手順で作られた カクテルは、最後に必ず味をチェックした上でサーブされる。
松葉氏はシングルモルトにも詳しい方で、僕はいつもここでモルトを飲んでい る。勿論ブレンデッドスコッチやバーボン、スピリッツ等も豊富で、高い酒ば かりでなく角などもちゃんとある。北新地の店の例に漏れず、ウィークデイは 同伴出勤のカップル等で混んでいるのだけど、土曜日は空いていて、バーテン ダーの面々（普段は3人なのだが土曜は2人）もややゆったりとした雰囲気で接 客してくれる。男女問わず一人でゆっくりと、そして二人で静かに話しつつ飲 める店である。
そして、接客において一番きっちりしているなと思うのは、客の出入りのとき は他の客と話をしていたとしても必ず客のもとに行き、直接応対をするのであ る。忘れもののチェック、ちょっとしたサービス、そういったものにも常に気 を配っている。外の世界から店に入るときのときほぐし、そして外へ再び戻っ ていくためのケア……これをきっちりしている店だからこそ、安心してこの店 の雰囲気に身も心もたゆとうことができるのである。
とりあえず現時点では、出すものも店の応対も、北大阪エリアではベストの店
だと思う。
Bar Artemis
大阪市北区茶屋町1-5 茶屋町茶ビン堂ビルB1
06-6377-0707
阪急イングスとエスト1の間（JR の高架橋の北側）を高架橋に沿って直進200m、 左のビル。カラオケ屋と同じビルで、手前には焼き鳥屋。
ここの噂は前から聞いていたのだが、K にヘルプに来ていたバーテンダーの方 がこの Artemis 出身とのことで、噂を聞いて行ってみた。ここの特色ははっ きりしていて、
無論、バーとしての基本用件を満たした上での話である。現在のマスターの萬 川氏はシェリーに詳しく、スペイン・アンダルシアでベネンシアーレの資格を 取っている。30種類程のシェリーが置いてあり、ベネチア（もともとはシェリー を樽から汲み出すのに使われていた、しなる長い柄のついた柄杓）を使ったベ ネンシアと呼ばれるサーブもしてもらえる。僕の知る限り、近畿でこれだけの 数のシェリーを置いていて、こちらの要求に合わせて見たててくれるのはここ しかないと思う。
また、カクテルやモルト、リキュール類に関しても実によく研究されている。 薬草系リキュールとして「養命酒」を置いている店には初めてお目にかかった のだが、これは嬉しかった。一度養命酒を飲んでみると分かると思うが、ベル モット等のような薬酒のひとつとして考えると、養命酒は世界のそれらの酒の 中でも決してひけをとらない。変な先入観なしにそういう酒、あるいはスピリッ ツの一つとして焼酎や泡盛を並べている（更にはちゃんとそういう酒のセレク トをしてくれる）ところに、僕は好感を感じているのだ。
うれしいことに、この店にはスペインの生ハム（有名なイタリアのものに比べ て乾燥・熟成が進んでいる）が置いてあるので、これとシェリーを頼むと楽し める。この店ではスノッブを気取って馬鹿のひとつ覚えの「ティオ・ペペ」な どと言ってはいけない。せっかく数多くのシェリーがあってセレクトできる人 がいるのだから、素直に任せてしまうのがいい。ベネンシアで空気と触れあっ た香り、口の中でたちのぼる香り、そして肉と合わせた香り、更には飲み終え たグラスを両手に包んで温め、たちのぼる香りを楽しめる。シェリーは実はか なりお得な飲みものなのだ。
生ハム以外だと、パスタ系のメニューに旨いものが多い。あとタンシチューが 旨かった……ソースはワイン系の酒をきっちり効かせたものなのだけど、マディ ラの代わりに実はシェリーを使っているのかもしれない。酸味がやや強めなの だけど、シェリーやワインと合わせるものとしては口が重くならないいい感じ のソースである。
そして僕にとって重要なスコッチ。ここはシェリーやワインのカスクで熟成さ せたシングルモルトが多く置かれているところに特色がある。タリスカのシェ リーカスクストレングスというものにはここで初めてお目にかかったが、シェ リーカスクに由来する芳香にタリスカの香りと味が負けておらず、1杯で2杯分 楽しめる酒であった。
あと特筆すべきこととしては、カウンターに座る客同士が実に楽しく会話を楽
しめる店なのである。K のきっちりしたサービスとはまた違う楽しさが、ここ
の会話にはある。便利な店として使わせてもらっているが、ホスピタリティと
いう意味では厳しい仕事をされている店なので、初めてバーで飲む、という方
にはお勧めの店かもしれない。
CUE'S CLUB
大阪市北区茶屋町6-2 水野ビル1F
06-6375-8356
新御堂筋沿いにあるショットバー。K の存在を知るまではよく行っていた。雰
囲気はまぁ悪くはない。オールラウンドのバーという感じで、モルトもそこそ
こ置いてあるしカクテルも一通りは作ってもらえる。一人でもカウンターで飲
む分にはそう悪くはない。しかし、このバーのショットバーとしての致命的な
問題は、バーテンダーが常連の人々との会話に終始していることだ。たとえば
K に行ったときは、一杯目にオーダーしたジンリッキーを飲んで僕が一息つい
たところを見計らって、松葉氏が僕の持っていたジュンク堂の袋をネタに話し
かけてきてくれた。そして酒やそれ以外の諸々の話が出て、互いの距離感みた
いなものがはっきりしてきて、寂しくなく、かと言って邪魔され過ぎず、とい
う絶妙の雰囲気になるわけだ。ところが CUE'S CLUB の場合は、バーテンダー
の二人に張りつくように常連客（若い子達が多いようなのだが）がいて、バー
テンダーの方もその客との会話に終始してしまう。僕に彼らの方から話しかけ
てきたことは、おそらくただの一度もなかったと思う。そして時々、常連客と
共にこちらに「あの人何者なんやろなぁ」という視線を向けるわけだ。もう僕
が一人で安らいだ酒を CUE'S CLUB に飲みに行くことはないだろう。誰かを連
れてくるときには、便利な店かもしれないが。
Pig & Whistle
大阪市北区曾根崎2-5 お初天神ビルB1F
06-6361-3198
この梅田以外に京都市三条、そして心斎橋に店のあるパブ。キャッシュオンデ
リバリで、ギネスドラフト、そして日本では珍しいアイルランドのキルケニー
を樽からパイントカップにサーブしてくれる。別に差別意識はないのだが、こ
ういう安くて雰囲気のいい店には必ず外国人が集まる。そして外国人目当ての
日本人女性が集まり、それに呼応するように外国人の客層も女目当ての下らん
男が多くなっていく。ウイークデイには会社帰りの若い男女で賑わっているこ
の店は、土曜の夜には一大ナンパ大会の戦場と化してしまう。僕はそれを遠目
で観ながら、出口に近い椅子のないカウンターでキルケニーのパイントをすすっ
ているのであった……見ていると実に面白い。白人の男達だけでなく、東アジ
ア系やアフリカ系、中国系と幅広い人種がたむろしていて、日本語がペラペラ
の奴も結構いるのだが、女性の前だとなぜかロスやニューヨークから来たとい
う話になっている。そして無邪気な女性達は容易くそういう男に引っかかって
しまう……いや、女性が皆そうだとは言わない。しかし愚かな男がいるのと同
様に、愚かな女性もまたいるのであった。ここの fish and chips はかなりイ
ケるから、それとビールで、多人数でも盛り上がれる店だ。店はいつも人で溢
れそうになっている。しかしここで飲む酒は実に孤独なのだ。
ROYAL HORSE
大阪市北区兎我野町15-13 ミユキビル1階
06-6312-8958・9
ここは純粋な飲み屋ではなくジャズライブの楽しめる店である。構えがゴージャ
スなので入りにくいように感じられるのだが、実際は一人の客も丁重に扱って
もらえる。ここはビッグネームが出演するので有名な店で、ドリンクメニュー
もフードメニューも充実している。しかしステージサイドの席には、水割り一
杯で3ステージを粘って必死でプレイを見聞きしようとする青年の姿があった
りして……実にいい。僕も年齢的にはちょっと行ってるけど、スピリットは彼
らの方に近い……つもりである。
Whity うめだの立ち飲み屋
大阪名物の立ち飲み屋だが、特に多いのは串揚げと酒を出す店である。曽根崎 警察の下辺りから北に走る地下街である Whity うめだには、何軒かの立ち飲 み屋があるのだけど、まず北に入ってすぐのところの店は実に珍しいものを出 す。そこはアサヒのビールを入れているのだが、ドライビールや黒と共に、小 数だけ生産されているというアサヒスタウトを出すのである。僕はアサヒのビー ルというのが個人的には嫌いなのだけど、このスタウトだけは例外だ。その味 はギネスのスタウトにも負けない。この店から更に北に行ったところの店はサッ ポロのビールを入れているのだが、ヱビスの生やギネススタウトを出してくれ る。ちゃんとギネスは冷え過ぎていない温度で出してくれるところがニクい。
大阪市北区角田町2-8 ホワイティうめだノースモール2
06-6312-1967
Whity うめだに入って右に折れた通りにあるイタリア料理屋。パスタ中心のよ
くある店だが、パスタは手打ちで腰があるし、パスタ以外のフードメニューが
安いのに実に旨い。ワインも数は少ないがイタリアの安くて旨いものを置いて
いる。大阪ヒルトン最上階にあるラウンジで一度イタ飯を食べたことがあるの
だが、そこはフランスワインしか置いてなくて、シャンパンを頼んだら、サー
ブするボーイが誇らしげな顔で「ドンペリでございます」などとほざきやがっ
た……そういう金と見栄にまみれた店とは大違い。安くて旨い店である。以前
はパスタを頼むと必ずフランスパンを一切れ皿の縁に置いて出してくれていて、
ソースを味わう上で実に心憎いケアだった（ヨーロッパではそういう風にサー
ブするところが多い）のだが、あれは是非復活していただきたいなぁ……
SUBWAY
これまたどこにでもあるサンドウィッチ屋である。最近は大分日本人向けになっ
てきたのだけど、以前はアメリカのシステムをそのまま持ち込んでいて、「ター
キーブレストを6インチのハニーウィートで、オイル抜きで他全部入れて下さ
い」という感じでオーダーしていたのだけど、この間ふらっと入ってこんな風
にオーダーしたら、横のカップルに「何だこいつ」みたいな顔をされてしまっ
た。今はパンのサイズも M と L って言うんだなぁ……知らなかった。梅田界
隈だと茶屋町、HEP NAVIO、そして Whity うめだ等に店があるのだけど、今は
どの店も混んでいる上にお子ちゃまが騒いでいることが多いので、入ることは
少なくなってしまった。
STARBUCKS
お馴染みのスタバだが、出すコーヒーがエスプレッソ系中心なのと、全面禁煙 なのが好きでよく入る。しかしこのスタバもまたお子ちゃまが騒がしいので、 静かなところを探すのに苦労させられる。今は西梅田の某生命保険会社のビル の横、そして空港を利用する際には伊丹空港内や関西国際空港内のスタバを利 用している。
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Last modified: Sat May 25 01:50:11 JST 2002