Finger tip slice

パンがなくなったので仕込んでいたのだが、たまにはちょっと変わったものを焼こう、と、人参を擦りおろしたのがまずかった。手元にある下ろし金はスライサーがついているのだけど、下ろし金を洗っているときに、指の先端をスライスしてしまったのだ。

このような怪我は今迄にも何度かしたことはあるのだけど、とにかくまずやっかいなのが止血である。止血さえできれば、今は医師でなくとも入手可能なハイドロコロイドというのがあるので、予後はいいことが多いのだけど、血が滴ってなかなか止まらず往生する。とりあえず、昔風のバンドエイドをキツく巻いて圧迫して、血が収まったところではがし、ハイドロコロイドを貼る。これで、あとは1、2日毎にこれを交換していればよろしい。

しかし……痛いなぁ。きっと誰かが見ていたらその人もイタいんだろう、きっと。

煮〆スパイラル

なべスパイラルに懲りて、昨日は煮〆を作った。京いも(と書くと京野菜のように思われそうだけど、実際は宮崎などで作られているサトイモの仲間で、見た目は丁度キャッサバに似ている)と人参、大根などを、昆布のだしを利かせて醤油、味醂、砂糖を張り込んで煮込んだ。非常に美味しくいただいた、のだが……

鍋の底に残った煮汁をペロリと舐めてみると、実に美味しい。これをだしで伸ばして味を整えて……と、気付くとなんと、また雑煮になってしまっているではないか!新たな連鎖、煮〆スパイラルの到来である!

自分で料理ができない人はこういうこともないんだろうけれど……なまじ料理ができるとこんなことになって、豊かなんだか貧乏性なんだか、自分でももうよく分からない。

自分は……だから

昔から、馬鹿を相手にすることがちょくちょくあって、その度に discommunication というのを感じさせられるのだけど、そういうときによく耳にする言葉が、標題の言葉である。

たとえば、『WWW ページでの個人情報公開について考える』を公開した当時、このコンテンツに関する批判……と本人は思っているようなのだけどその実あからさまな不満の意思表明……を多数受けたことがある。そのほとんどに書かれていたのが、

私や私の周辺の人々はこのような被害に遭っていないんだから、このような問題表明は無意味である
というものだった。これは、そうだな……あしなが育英会の募金活動をしている前で、
私や私の周辺の人々はこのような被害に遭っていないんだから、このような活動は無意味である
と唾を吐くのに等しい。たまたま事故に遭っていない人が多数派だとしても、交通事故に遭って命を失う人は確実に存在するし、その影響で就学に支障を来す人もいて、そういう人のためには保護が必要になる、という、しごく当たり前の現実を理解できないが如く、たまたま被害に遭っていない人が多数派だとしても、ネット上の不適切な個人情報の取り扱いで不利益を被る人が確実に存在し、その影響で日常生活や人間関係にまで及ぶ不利益を被る人もいて、そういう事案がこれ以上増加することを防ぐためにも、個々の個人情報管理が必要になる、というロジックが理解できないのである。まぁ、哀しいことに、そういう人に限って、ネット上で不倫を暴露されたりとか、理不尽な誹謗中傷の標的になったりとか、そういうことがあって(自らの個人情報管理を徹底していないのだから当然の成り行きなのだけど)、web で情報発信することをやめてしまっているのが現状だったりする。

今日は、たまたま、東京のいわゆる「公設派遣村」に関するブログにコメントしたところが、お決まりの「自己責任論者」が「こいつらは努力しないから云々」と書き込んでいて、まぁ二三やりとりがあって、相手の日本語がブッ壊れている(言葉が壊れているということは思考が壊れているということで、それはその言葉を発している輩の相手をすることが時間の無駄だということなのだけど)ので、「馬鹿の相手をするのは時間の無駄だ」とコメントして放置したのだが、そいつがこういうことを書いたのだった。

馬鹿と罵られた自分が食っていけるのに、食っていけないこいつらは馬鹿以下ではないか
……ああ、イタい奴だなぁ。

まぁ、繰り言になってしまうけれど、この輩は「たまたま食えている」だけのことであって、こいつが食えていたとしても、諸々の事情で職を失ったり経済的に破綻したりする人は確実に存在して、その影響でその日の暮らしにも支障を来す人もいて、そういう人のためには保護が必要になる、という、しごく当たり前の現実を理解できない……ということになるわけだ(ああ、もはやテンプレートだな、これぁ)。本当に、馬鹿には進歩というものがみられない。死ねばいいのに。

がんとワクチンに関するメモ

備忘録も兼ねてメモしておくことにする。

がんとワクチン、というと、おそらくほとんどの人が、いわゆる丸山ワクチンを連想するだろう。丸山ワクチンは、「結核患者にがんの罹患者が少ない」という経験則に則って、BCG から結核菌を除去したものとして作製されたものだけど、実はこれとは違うがんのワクチンが、先月から実際に臨床の現場で使用されるようになった。

この場合の対象は子宮頸がんである。子宮頸がんは、比較的若い女性でも発症することがあり、場所柄、女性の生殖機能にも直接関わるがんであるが、このがんとヒトパピローマウイルスとの間に関係があることは、ちょっと前から知られていた。このヒトパピローマウイルスへの感染を抑制する目的で、アメリカでは 2006 年にメルクの GARDASIL というワクチンが認可されているが、メルクの 100 % 子会社である万有製薬が日本で GARDASIL の認可を得る(2007年12月)のに先立ち、グラクソ・スミスクラインの Cervarix が同年9月に承認されており、この Cervarix が先月日本国内で発売されたのだ。

僕はパピローマウイルスというと「いぼ」のウイルスだという認識だったのだけど(勿論これは間違っていない……乳頭腫 papilloma という「いぼ」の原因になるのがこのウイルスである)、子宮頸がんや陰唇がん、尖形コンジローマ、あるいはオーラルセックスによって咽頭がんや舌がん、口腔がんなどの原因になることもあるという。おそらくこの発がんに関しては、単純にウイルスの作用だけではなく、自己免疫機構との複合効果が大きく関わっていることは想像に難くない……メディアなどでも有名になった Tree man こと Mr. Dede Koswara の皮膚異常も、このヒトパピローマウイルスと自己免疫機構が関わっているといわれているからだ。

今回の Cervarix の発売によって、過去のデータ通りにいけば、ワクチン投与者は 80 % の確率でヒトパピローマウイルスによるがんの発病を抑制できるといわれている。ワクチンとしては、この予防率はかなり高いといえるのだけど、不思議な程に、メディアはこのワクチンのことを取り上げない。特に女性の方々には、ぜひこの Cervarix という名前を覚えておいていただきたい。そして、このワクチンの恩恵を少しでも多くの女性に享受していただきたいと思う。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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