ということで、まず WAV 形式でセーブしておいてから Cubase に取り込む。Nomad Factory BBE Sound Sonic Sweet に収録されている D82 Sonic Maximizer を立ち上げると……ふむ。やはりこの手のアナログ音源には劇的に効果がありますな。かかってるかどうか分からない位にかけるのがコツなのだが、操作パネルの ON/OFF で比較すると、効果は一目(一聴)瞭然である。低音も少し足してやって、そこに軽くコンプをかけると、埋もれていた楽器のひとつひとつが浮き出してくる。右のアコギと左のエレキ、そして左のパーカッションが不自然でない程度に明瞭になるようにコンプで調整する。
FX チャンネルに SIR2 を立ち上げて、EMT-140 のインパルス応答ファイルを読み込む。本物のプレートエコーと違って、いじることのできるパラメータはプリディレイ位しかないのだけど、前後に色々細工をして、プレートっぽい音(パーカッシブな音の直後に、リリースの遅いコンプみたいに立ち上がっていく感じ)の残響音を作る。このチャンネルへのセンドを調節して、エコーの量を決めていく。トータルエコーの後付けというのはかなり乱暴な業なのだけど、テレビ用でとにかくエコーがかかっていないので、残響音を吟味さえすればちゃんと乗ってくれる。
The Beach Boys というと、いわゆるロックンロールや The Pet Sounds のイメージを持たれる方が多いのかもしれないけれど、彼等の 6/8 拍子のバラードには名作が多い。1963 年のアルバム "Surfer Girl" に収録されている "Your Summer Dream" もそんな曲のひとつである。
以前から、この曲をカヴァーしたいと思っていたのだけど、彼等のインストゥルメンタルの名曲 "Summer Means New Love"(浜田省吾がまだ愛奴というバンドを組んでいたときのデビューシングルである『二人の夏』にこの曲のメロディーが引用されている)とだぶって仕方ない。"Your Summer Dream" のオケは極めてシンプル(まだ Brian Wilson がスタジオミュージシャンを使い出す前の時期だから、この曲のドラムはデニスが叩いているのではないだろうか)なのだけど、どうしても "Summer Means New Love" みたいなストリングスを入れたくなって、よせばいいのにオケを作ってしまった。