どこからが改竄なのか

ホワイトハウスでは、各種の嘆願や署名をオンラインで行えるようなシステムを公開しているのだが、そこに妙な嘆願が載ったことがネットで話題になっている。

https://wwws.whitehouse.gov/petitions#!/petition/east-sea-false-history-our-textbooks/FLmJCBz9

WE PETITION THE OBAMA ADMINISTRATION TO:

The East Sea - a FALSE history in our textbooks!

We are teaching our children a FALSE history in classrooms:

 1. As a result of gruesome military expansionism, Japan changed “East Sea” (the original name of sea bordered by Korea, Russia, and Japan) to “Sea of Japan” in 1928

 2. Korea was liberated in 1945, but Japan still refuses to return “East Sea” to its original identity.

 3. Our veterans were the major force defeating Japan in World War II. We helped Korea to regain its freedom.

 4. However, we are still teaching our children a FALSE history that was manipulated by the invader who attacked “Pearl Harbor”.

Please join us and sign this petition to correct a FALSE history in our textbooks. Our children have right to learn a TRUE history!

Created: Mar 22, 2012

……はいはい、またこれですか、というような話なのだけど、今回ばかりはちょっと勝手が違う。

Wikipedia 日本版におけるエントリ「日本海」、英語版におけるエントリ "Sea of Japan" を参考のためにリンクしておく。日本版・英語版の双方の Wikipedia にはちゃんと「日本海呼称問題」 "Sea of Japan naming dispute" なんてエントリもあるので、これにもリンクしておこう。

上に引用した嘆願は、もともと在米韓国人から出されたものだ、という話なので、一見、この嘆願が本当に「子供に正しい歴史を教えてやりたいんだ!」という思いから出てきたように見えそうにも思える。しかし、この裏の戦略は、アメリカの教育システムにおいてこの嘆願が認められれば、これが de facto standard として機能してくれる……というところなのではなかろうか。学校で「東海」って教えてるんですよ! 学校で教えてるんだから、これが「正しい」に決まってるじゃないですか!……という状況にしたい、ということなのだろうか。

日本が「日本海」という名称の正当性として訴えていることは案外シンプルで、「日本海」と国際的に呼び始めたのは日本でも日本人でもないんだ、ということに拠っている。1602年にイタリア人 Matteo Ricci が作った中国の世界地図に、国際的な刊行物としては初めて「日本海」の名が記されている。朝鮮において、これ以前の文献に「東海」という記述が出てきているのは事実らしいのだが、要するに日本の主張は「国際的な刊行物で最初に『日本海』という記述が出てきて、それ以来 world standard になっているんだ」ということなのである。

おそらく、韓国の戦略における最大の失敗は、「日本海」の名称が普及したのは、日本の軍拡に伴う「文化侵略」だったのだ、と主張してしまったところであろう。これに対して日本側の反論としては「いや、明治維新のはるか何百年も前に、日本以外の国の刊行物で、日本人でない人々の間で、この名称は既に使われているんだ」と言うだけのことである。日本の軍拡をプロモーターとして援用したがために、その時間的な束縛で自分の首を締めてしまっていることに、どうやら彼らは気がついていないようである。

そんなわけで、歴史「改竄」とも言えるようなこの手の話は、国際的にはあまり取り上げられていないわけだけど、de facto standard というものは、決して馬鹿にしたものでもないので、なんだかなあ……と思っていたのだが、これに対抗する署名集めが既に始まっている、という話を聞いたのだった。

https://wwws.whitehouse.gov/petitions#!/petition/sea-japan-authentic-history-our-textbooks-we-are-teaching-our-children-authentic-history-so-why/qYTnXVc5

WE PETITION THE OBAMA ADMINISTRATION TO:

Sea of Japan -the authentic history in our textbooks! We are teaching our children the authentic history, so why change?

We should definitely keep the Sea of Japan as it is now.

 1. Contrary to the Korean claim that Japan changed “East Sea” to “Sea of Japan” in 1928, the Sea of Japan has always been the Sea of Japan, since the beginning of time.

 2. South Koreans are under heavy communism influence because of communist North Korea, and have forgotten about the massive American blood spilled to defend them from the North Korean invasion aided by Russians and Communist Chinese during the Korean War in the '50s. Now they want the American forces out. Their extreme ethnocentricity blinds them and they want to rewrite history per their stories. That is plain wrong.

Please join us and sign this petition to stop FALSIFYING history in our textbooks. Our children have right to keep learning a TRUE history!

Created: Apr 13, 2012

僕はこれでもリベラルな方だと思っているのだけど、今回に関しては、まあ署名に協力しておきましょう、ということで、署名しておいた。それにしてもなあ……韓国人の皆が皆、ナショナリズムに盛んなわけでもないんだろうけれど、VANK みたいな話もあるしなあ……ああ、やだやだ。

一番罪深いのは

以前、拙 blog エントリ『「まりん」、虐待、そしてエゴ』を書いた後、U のところに、某猫譲渡団体のメンバー複数から、

「Thomas って人のブログ、削除してもらえませんか?」

という申し入れがあった。なんでも、表向きの理由は、「まりん」を保護した人物をこれ以上刺激したら、猫相手に何をされるか分からない……ということだったらしいけれど、その本音は「内輪の恥を晒されたくない」ということなのは明白だった。U も、この件に関しては完全に頭にきていたようで、「私が Thomas にそんなことを要求するいわれはないんだ」と突っ撥ねた。

この騒ぎの少し前のこと。「まりん」を保護した人物のしでかした不祥事の詳細が伝わってきた。なんでも、この人物は、小学校の事務職員だったのだが、在職中に書類操作で学校の金を横領していたのが発覚した。当然免職になり、更に警察が立件に向けて動いているところだ……というのだ。どう考えても、同情の余地はないのだけど、それに加えて、保護している猫を手放す気も一切ない、ということらしい。

そして、この「まりん」を保護した人物、なんと U に「まりん」を返せと言ってきた。僕も呆れたが、U はさすがに、これは一言物申さねばならない、と思ったらしい。某猫譲渡団体の周辺の人々が、「U さん、お願いだから仲立ちになって話に参加してくれる?」と頼まれたのに応じて団体代表の家に赴き、このまま「まりん」を保護した人物が居座っていたら、この団体自体の信用に関わるんだから、除名するなり何なりすべきだろう、でなければ、団体自体があの人物に加担していると思われても仕方ないんじゃないか、と、皆揃っているところで発言したのだ。

それに対して、この団体の代表は何と言ったか:

「私はあの人を退会させません。マザーテレサ(この代表なる人物は、何かにつけてマザーテレサの言葉を手前勝手に引用するのだけど)も「愛の反対は憎しみではなく無関心です」と言っています。カトリックのくせに、人を切り捨てればいいなんてことをいうあなたは偽善者です!

偽善者と罵られた U とこの代表を前に、周囲の人々は誰も何も言わなかった。請われて話をしに来てこの始末だというのに、である。

……これを聞いて、僕はほとほと呆れ返った。団体の猫の保護活動に関与させない、ということと、路上で死に行く人々に見て見ぬふりをすることとは、似ても似つかない行為であって、そもそも、某猫譲渡団体の代表を含めた面々が、件の「まりん」を保護した人物の抱える問題に向かいあっていない、つまり「見て見ぬふりをしている」からこそ、こういう話になるのではないか。偽善者なのはこの団体に関わり、U に責めを向けようとしている奴等全員の方だろう。そもそも、彼等は、「まりん」を保護した人物が抱える問題を共に担う覚悟があるのだろうか。自分に泥のはねが来ないときだけ「よしよし」とやっていて、自分が少しでも痛みを負うことになったら、とたんに掌を返すことになるのではないか。

しかもこの代表なる人物、ちょっと前に洗礼を受けたのだが、U はこの代表の代母である。何をどうしたら、自分の代母に、それもカトリックの信者が、「偽善者」なんて言葉を向けることができるのか。もう何から何まで、支離滅裂の無茶苦茶である。

憤る僕と対照的に、U はもうすっかり醒めていた。

「彼女があんなことを言って、そして周りにいた人達が皆黙っていた、ってことは、あそこに居た人達が、皆、何が起きても彼女を支えて、揉め事にも責任を持つ、ということなんでしょ。私はとてもじゃないけど、そんな責任持てないから、もう関わらん」

それ以来、U はこの某猫譲渡団体との関わりを絶ったのだった。それでも、一度代母を引き受けたからには、その人が少しでもいい状況になるように祈り続けるし、折々に「元気ですか」と声をかけ続けるんだ、と、U は、この団体代表への年賀状などを欠かしたことはない。しかし、それに返事が返ってきたことは、それ以来一度もなかった。

そして1年半近く経った先日。僕はこの記事を発見したのだった。

http://mainichi.jp/area/aichi/news/20120302ddlk23040279000c.htmlウェブ魚拓のバックアップ

なにせ、先の騒ぎのあったときからの話だから「あーいよいよですか」と思っただけなのだけど、この人物の blog:

http://blog.goo.ne.jp/inochi-harmonyウェブ魚拓のバックアップ
を見ると、逮捕・拘留されたであろう日の直前まで、何事もなかったかのように猫のこと、あるいは誰かと天麩羅を食いに行ったとか……そんなことが書かれている。

実は、僕は密かに「あの猫達はどうなったんだ?」と思っていたのだが、それから数日してのこと……

http://yaplog.jp/sora_neko/archive/1158ウェブ魚拓のバックアップ
http://yaplog.jp/sora_neko/archive/1159ウェブ魚拓のバックアップ

上リンク先にはこんなことが書かれている。

保護主について
言いたい事は山程ありますが
彼女には 過去に 何度か腹立たしく
悔しい思いをさせられて来て

何度も何度も ぶちまけてやりたいと思ってきました

今回も そうです
丸2日間 ろくに眠っていません
はぁ。U が目前で偽善者呼ばわりされたのに見て見ぬふりをして、しかも彼女が1年半前に既にこういう事態が起きる可能性を散々警告したのに、それも見てみぬふりをして、挙句の果てが、あーやっぱり某問題人物のせいにするんですか? ここにはっきり書いておくけれど、アンタラも某代表も、皆共犯なんだよ。この18頭がこんな事態になったのは、他の誰でもない、アンタラのせいなんだよ。都合のいいところだけでいい顔をして、その挙句にね。恥を知れ。

我慢しない

最近、何事に対してもすっかり嫌気がさしてしまって、ここの更新もゆっくりになっているわけだけど、やはり、最近話題のこの動画に関してはコメントしておかなければならないだろう。

最初に断っておかなければならないけれど、僕はこの手の「何が何でも天下り禁止」という意見には賛成しかねる。というのも、僕が独法の研究所から民間の研究所に移籍するときに、それが天下りなんじゃないか、ということで散々疑われたことがあったからだ(期限付きの研究職で移籍して何が天下りなの? って話なのだけど)。僕のような「特殊技能者」の場合は、その職能で職場が決まることが多いわけで、こういう人間が官民の間で自由に行き来できない、ということは、研究者は死ね、と言われているようなものだ。官から民に行く者が皆馬鹿みたいな月収や待遇や退職金を貰っているなどと、現状を見聞きもしない連中にオートマチックに規定されたらたまらない、という話なのだ。

しかし、だ。この野田氏の過去の演説と現在の見解とのあまりにもあまりな齟齬に関しては、これは当然違和感を感じて然るべきであろう。そもそも、マニフェストが現状にマッチしていませんでした、という話になったら、それは当然オープンな場で組み直されるべきだし、それに関しては国民の審判がなされるべきなのである。それを、聞こえないふり、で押し切ろうというのは、これはあまりにひどすぎる。

もう、我々は、黙っていることをやめるべきなのだろうと思う。東日本大震災後、復興も、それ以前の問題である放射能汚染に関しても、一向に明確な道筋が示されない。本来だったらこれは国家浮揚の一大チャンスであって、復興事業を適切に立案・運用するだけでも、その経済効果は極めて大きいはずだ。そして、雇用、特に復興が進められる地域での雇用に、これは直結できるわけで、本来だったら、雇用保険が切れる……などと青息吐息の人々でハローワークが麻痺状態になる、なんてことは、あり得べからざる話なのである。

我々は、もっとデモや座り込みやハンストをすべきなのだろうと思う。勿論、その行為を目的化すること(反原発関連ではそういう人をよく見かけるけれど)は避けなければならない。そういう「手練の活動者」が暗躍することのない、活動に関してのド素人の集団が、個々の生活に密着した生の声を上げるべきなのだろうと思う。統率されていないそれの効力なぞ知れたものだ、と「手練の活動者」達は言うだろうけれど、我々の日常の苦悩を、できる限り生々しく表出すること、そして為政者に、それが己の次の選挙の得票に直結しているのだ、という恐怖心を煽るものであることの方が、はるかに効力を発揮するに違いない。不慣れでもいい。もう我慢するのは、やめにしようではないか。

旨みが何かを考えないのか

以前ここに書いたけれど、僕はアセスルファムカリウムやスクラロースを使った食品を口にしないことにしている。これは、それらの甘味料の味が受け入れ難い、というのが第一の理由だけど、もうひとつの理由として、近年「カロリーオフ」の名のもとに、付帯価値を生むべく企業努力をしている結果のように思われているこれらの甘味料の使用が、実は食品のコストダウンの最終手段である「砂糖を使わないことによるコストダウン」のためのものであって、そこには実は付帯価値も、ユーザのための企業努力も、実は存在していない、という、あまり意識されていないであろう事実へのささやかな抵抗、ということもあるのだ。

これと同じように、僕はいわゆるノンアルコール飲料の類を一切口にしないことにしている。ノンアルコールビール、ノンアルコールカクテル(なぜ清涼飲料水と言わないのだろうか)、ノンアルコール梅酒(それは梅シロップなんじゃないのか?)……それらを口にしないのは、僕が酒を愛しているから、というのが第一の理由なわけだけど、酒造各社がそのようなノンアルコール飲料を売る理由が、酒への愛の背信行為だけに留まらないからでもある。

考えてみていただきたい。たとえばビールを見てみよう。ビールの税率は、1キロリットル当たり 222000 円、ロング缶1本あたりに換算すると111円である。この税率が、ノンアルコールにするとゼロになる(当然だ)。ゼロになるということは、多少ビールより安くしたとしても、ノンアルコールビールにはがっつりと儲けの幅が発生することになるわけだ。

あまりに単純な話で、僕はこういうことを口にする必要すらないことだと思っていたのだけど、ノンアルコールビールを飲む、という行為は、メートルを上げてささやかながら社会に貢献していた分を、バッカスに対する背信行為に精を出す酒造各社の懐に入れてやっているのだ……ということを言うと「え?」と聞き返されることがある。こういう意識をしていない人というのが、存外多いということに、今更ながら驚かされているのだ。なぜ、こういうちょっとしたことを自分の頭で考えない人がこう増殖しているのだろうか。本当に、厭になってくる。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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