2ちゃんねるバースト

ちょっと前のことになるが、いきなり blog へのアクセスが10倍近くになって仰天したことがある。このサイトは(当然のことではあるのだが)アクセスログを採取して、定期的に解析するためのスクリプトを走らせてあるので、その解析結果を見てみると……ん。2ちゃんねるからリンクされているのか?

『探偵!ナイトスクープ』で登場したセキセイインコの話が2ちゃんねるで話題になった際に、誰かが僕の以前書いた『レイテ島からのハガキ』に関する聞き書きにリンクしたらしい。そこから飛んできた人々によるアクセスの急増だったわけだが、アクセス元のリンク URL を解析すると、ちょっと面白いことが分かった。

以前は、今回のような2ちゃんねるからのアクセスというと、referer には *.2ch.net、つまり2ちゃんねるのサーバーのアドレスがちゃんと残っていたものだったのだが、今回のアクセス結果を解析してみると、実はその大多数が、いわゆるまとめサイトからのものだったのだ。つまり、今回その2ちゃんねるのスレッドを読んでいる人々のかなりの割合が、直接2ちゃんねるを読んでいるのではなく、まとめサイトの内容でそれを読んでいる、ということらしい。

いつだったか、この間まで衆議院議員だった片山さつき氏が、あるまとめサイトがなくなるかもしれない、というので存続を Twitter でうったえて話題になったことがあった。このときにも、あー国会議員センセイはお忙しいのかしらん……と思ったのだが、そもそもこの手のサイトの情報は二次情報に過ぎない。一次情報に至るためのインデクスに使用するならまだしも、二次情報にそんなに皆が依存するというのは、どう考えても健全な状況だとは思われない。だって、そこに書いてあることは本当に書いてあったと、一体何処の誰が保証してくれるというのか? primary な情報に触れることなくその二次情報を使用して、後からそれがいい加減な代物だったら、結局は使用者が責任を負わざるを得ない。二次情報というのは所詮はその程度の代物なのである。

しかも、一次情報だと言ったって2ちゃんねるは2ちゃんねるである。いや、だから、その前の primary source に触れるならいいんですよ。しかしねえ。ハム速がどうこう、って、そんな人が国会に携わってるってなぁ、あまり気持ちのいいものじゃないんですけどねえ。

……と、話がそれたけれど、それにしても、存続の危機とか言われながらも、2ちゃんやその周辺の情報を日常的に触れている人というのがこれ程多いものなのだなあ、と思わされたのであった。いや、それだけなんですけれどね、本当に。

愚問

先日のこと。とある中学3年生から相談を受けた。イオンがよく分からない、というのである。

調べてみると、今年の中学3年生というのは、どうも悪いタイミングでこの学年になってしまったようである。この学年から、あの悪名高きゆとり教育が完全に終了し、新しい指導要領に沿ったカリキュラムに全面的に移行しているとのことで、脱・ゆとりに合わせて、イオンに関する項目が大幅に増強されているらしい。

えー、でもたしか、これって移行措置とかいうのがあるんじゃないか……と、もう少し調べてみると、移行措置の段階ではイオンの単元に入れられていなかった事項、たとえば原子の構造のようなことが、今年になってから増えているらしい。だから、この分野に関しては、去年までに増して学ぶ事項が増えているということになるらしい。

うーん。原子の構造ねえ。原子ってのは原子核と電子からできていてだな、原子核は陽子と中性子からできているんだ、これは教わったよな……と話しても、何やら寝呆けたような顔をしている。

「あー。ひょっとして、『中性子って何のためにあるんだか分かんねー』とか思ってないか?」

と聞くと、果たしてその通りだ、と言う。参ったなあ。こんなことも教えないのかよ。

「あー。陽子って、プラスの電気を帯びているんだろ? だったら、同じプラスの電気を帯びたものが集まったら、反発する力がはたらくよな。だから、陽子だけではくっついていられないだろう?」
「はあ」
「ところが、陽子と中性子の間には、核力と呼ばれる強い力がはたらいている。これは電気的な力の数百倍の強さで、陽子と中性子を引きつけている。だから、中性子が仲立ちになることで、原子核は一体になっていられるんだ」
「……」
「この核力が、中間子という素粒子によるものだということを理論的に予測したのが湯川秀樹という人で……って、あー、本当に習ってない?」
「……はい」

こんな調子である。ゆとり教育で呆けているのは生徒だけではないということなのか? ノーベル賞シーズンと前後してこの単元を習うという話だから、そういう話をするのが教師の仕事なんじゃないのかね? ったく、お粗末な話である。

しかし、こんな話はまだ序の口なのであった。この子が持っていた問題集に載っている問題が、まーひどい代物だったのだ。以下に概略図を示す:

denki-eidou.png

上の図は、電解質の水溶液で濡れたろ紙の上に、赤色と青色のリトマス紙が載っていて、その両端には金属製のクリップを経由して直流電圧が印加されている。2枚のリトマス紙の中央には、細く切ったろ紙(上図の黄色の部分)が置かれていて、この細く切ったろ紙には塩酸、もしくは水酸化ナトリウム水溶液がしみこませてあるらしい。この装置(とか言うのも嫌になるような代物だが)を作動させてしばらくすると、どちらのリトマス紙のどちら側(中央の黄色いラインから、右か、左か)の色が変わるか、というのが、この図で示される問題である。

「ほー。電気泳動ってわけか。でさ、君はこれ、学校の実験でやってみたことあるか?」
「はい」
「……うまくいかなかったろう?」
「そうなんですよ。全然うまくいかないんです」

どうして、中学や高校の理科の先生は、こういう愚問を生徒に出題する前に、自分で検証してみようともしないのだろうか。こんなもの、そこらの文房具と理科室に転がっているもので装置を組めば費用もかからないだろう。こんな愚問を得意気に出題している時点で、自分が無能な教師だと喧伝しているようなものなのに、馬鹿だからそういうことも理解できないのだろう。

水素イオンや水酸化物イオンというのは、たとえば DNA の構造解析などで対象とされる物質と比べて、極めて拡散し易い。だから、こんな装置を組んだって、電気泳動による移動がはっきり見える前に、下のリトマス紙にしみこんだ電解質の拡散の方が速く進行するから、こんな実験がうまくいくわけがないのである。どうしてもこれでやってみたいのなら、たとえば全体を電解質を溶かし込んだ寒天で固める、等の対策でもしない限りは、そんな絵に描いたようにうまくいく筈がないのである。

いくら無能な教師だって、塩橋というものを一度位は見たことがあるはずだ(ないとは言わせませんぜ)。なぜ塩橋は中身を寒天で固めているのか。固めなければならないのか。分かるでしょう? ったく、どうしてこんなアホな問題のために、俺の貴重なプライベートの時間が浪費されなきゃならないんだよ。

「Thomas さん、あのー……」
「ん? ああ、あのさ、おそらく、ゆとり教育が終わって、新しい内容で問題を作るのに、まだ先生とかも慣れていないんだろう。だから、ああ、この問題は、イオンが電気的な力によって動くということを言いたいんだな、と、無能な教師の意図を、どうか汲んでやってはもらえないだろうか」
「は、はい……」

こうやって、無能な教師は結局は生徒や受験生に甘えているようなものなのだ。いい加減にしてもらえないだろうか。

ICONIA TAB A200 のその後

Acer ICONIA TAB A200 の root 化に関して書いた後、このサイトへのアクセスが倍程に増えた。アクセス解析をすると、かなりの数、ICONIA TAB A200 の root 化に関する検索の結果からのアクセスがあることを確認している。

で、今、僕の手元にある ICONIA TAB A200 がどうなっているか、というと、root 化した後に、CM10 Jellytime Ported to a200 を導入して、OS を ver. 4.1.2 (Jelly Bean) にアップグレードしてある。kernel は、Mr. Lance Poore がリリースしている kernel を、goo.im で公開されているバイナリを利用して入れている。これで、kernel は Linux-3.5.0 ベースのものということになるわけだ。オーバークロックにも対応しているので、クロックは最大で 1.5 GHz になっている。

Jelly Bean に関しては不満はほとんどない。あえて言うならば、Adobe が正式な flash plugin のリリースを終了したことが不満と言えないこともないけれど、これは Adobe が現在も開発者向けに公開している flash installer を用いて手動でインストールすれば、とりあえずは今迄通りに使うことができるのを確認している。

あと、こういうことをしていると、当然、バンドルされていた ATOK やマカフィーは使えなくなっているわけだが、これに関しては OpenWnn Plus と Avast! Mobile Security を入れている。OpenWnn を探していて発見した「日本語フルキーボード For Tablet」を入れて、ようやく画面上での日本語入力もまともにできるようになった。

そうそう、そう言えば一つだけ、明らかに動作しなくなったものがあったんだった。ゲーム代わりに入れていた「エクタン」は Jelly Bean 上では動作しないようですよ。今のところ、動作しないソフトというのはこれ以外は確認していないのだが、まあこれもいずれは Jelly Bean に対応するんでしょうねえ。しないなら、もう使わないというだけの話だけど。

というわけで、僕のタブレットは至極快調である。

非常に悪質な書き込み

この blog にはコメントが付けられるようになっている。こういうシステムになっていると、よくあるのが、便所の落書き的な書き込みや、宣伝目的と思われる書き込みである。

このところ、あるひとつのサイトの宣伝が何度となく書き込まれている。その内容は、

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……というようなものである。この http://www.bb-dd.net/、もっとはっきり書くと、
ショップの名称 ビビッド
ショップの概要 ビビッド ブランド品割引オンラインショップ
店主の名前 坂井 徹
所在地 〒980-0002
宮城県仙台市青葉区小田原6-2-1
TEL 022-221-2987
FAX 022-221-2987
……ここだが、もう今月に入ってから数回、コメント欄に妙な書き込みがされている。このショップの関係者が書き込んでいるかどうかは判然とはしないのだが、複数回、このショップの URL が貼られていることだけは事実なので、ここに晒すことにする。

落語で感じる日本語のギャップ

昨日、NHK 新人演芸大賞 落語部門、というのをテレビで観ていた。この結果自体は先月末に既に報道されていたわけだけど、最近は落語を鑑賞する機会も減っているので、これ幸いと観ていたわけである。

しかし、観ているうちに、どうも気になって仕方のないことがいくつかあった。観客は皆笑っているけれど、これ、ちゃんと分かって笑っているのだろうか? と首を捻るようなところがいくつか目についたのである。

立川談志が亡くなったとき、彼が地方講演で演じていたときの映像を NHK が流しているのを観たのだけど、この映像の中でも、描写の内容に関係なくへらへら笑う客に「ここ、面白いところですかね?」と鋭い言葉を投げかける(しかし客は、その言葉の意味も理解できないのであった)場面が出てくる。落語は古典になりかかっている芸能であるが故に、どうしても、事前にある程度知らないと本当の意味が分からない部分が出てくることがある。それを鬼の首でもとったかのように指摘してスノッブを気取る気など毛頭ないのだが、やはりその内容によっては、たとえばまくらで説明しておくとか、そういうケアが必要だと思うこともないではない。今回気になった、というのは、つまりはそういうことなのである。

たとえば、『癪の合薬』という噺がある。持病の癪が起きたとき、やかんを舐めるとそれが治まる、という奇癖(?)を持つ若い女性が出先で癪を起こし、たまたま通りがかった禿頭の武士に女性の妹が懇願し、その頭を女性に舐めさせて癪を治める、という噺である。当たり前のようにこの噺を演じていて、ネットでもそれを評論している連中(「連中」でたくさんだよ、単なる消費者風情が何を評論家を気取っているのかね)がいるわけだけど、最大前提として求められる「禿頭を『やかん頭』と称すること」は、果たして何も説明しなくとも万人に通ずることなのだろうか? 僕にはどうにもそうとは思えないのだが。

庶民のカタルシスの爆発、とでも言うような『かぎや』でもそうだ。殿様(と言ってもこれはおそらく旗本クラスなのだろうけれど)の家来が手入れの行き届いていない刀を抜く場面で出てくる「抜けば錆散る赤鰯」という文句が、昔の剣劇映画などでよく弁士が用いた「抜けば玉散る氷の刃」を知っていることが前提だということを、どれだけの人が知っているのだろうか? 加えて言うと、何故錆びた刀が「赤鰯」なのだろうか?(おそらくは、鰯の銀の皮が剥け、赤い身が露出するところから、「抜き身が赤い」のと「剥き身が赤い」のとを引っかけてこう言っているのだろうが)皆分かっているとは到底思い難い。

今回『癪の合薬』を演った桂二乗も、『かぎや』を演った春風亭昇吉(昇太の弟子が古典かあ、そういうものなのですかねえ)も、そして彼等の噺に関してあれこれネット上で書いている連中も、こういった噺の下敷になっている大衆芸能や古典に関して、果たしてどれ位「自分のもの」として持ち合わせているのだろうか。「自分のもの」になっているならば、それと社会の現状との齟齬は感じる筈だし、そこは折り合いをつけなければならない。知らない奴ぁ分かるまい、とスノッブを気取っているようでは、噺家も客もロクなものではないと思うのだけど。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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