先のエントリに書いた件だが、その後不正な書き込みも収まって、やれやれ、という感じではある。で、次にどうしようか、となるのが、コントロールリストの件である。
たとえば中国からのアクセスを全面的に禁止するためには、中国国内で使用されている IP address のリストが必要になる。もちろん one by one ではなくて、いわゆるクラスとして記述されているリストがあれば良いわけだけど、これはボランタリーに供給してくれているサイトが存在するので、今回はそこからいただいている。
で、apache に食わせるためのアクセスコントロールリストを生成するのに、以前は半手動で行っていた。まあせいぜい週に1回位の更新で間に合うし……と思っていたのだが、一度面倒がってやらなくなってくると、忘れた頃に書き込みをされて厭な気分に……の繰り返しだったのだ。
そこで、今回はちゃんとスクリプトを書いた。まあ大したものではない。wget でリストを取って AWK 等で整形してファイルに落とすだけだから。これ位書けずに Linux を使い続けている筈もないわけだし。ただし、fugenji のサーバは BSD 系の OS 上で動作しているので、一応そこだけは注意して書いて、テストをして……よしよし、ちゃんと自動取得・自動生成されますね……で、あとは cron で定時動作させるだけだ。ちょっと考えたが、一日1回更新することにした。週1でもいいのだが、まあ大した重さでもないし、動かすのは少なくとも日本人がほとんど活動していない時間帯なので、負担になることはないだろう。
さあ、あとは何日か log を観察して、問題があればそれに合わせて整えるだけだ。どうなりますかねえ……
実はこの blog は標的にされている。いわゆる SPAM ポストをやらかすサイトが、僕がここを更新するやいなや SPAM ポストをやってくるわけだ。本当に厭なのだが、ここを構成しているスクリプトを更新する時間がなかなかないので、アクセス制限のリストがどんどん膨張していくことになる。
しかし、さすがに限界が見えてきた、ということで、中国からのアクセスを全て禁止したのだけど、アクセス制御リストを更新しないでいると、新たな IP address を踏み台にして SPAM ポストをやらかす。そして最近増えてきたのが、インドのサイトである。さーどうしたものか……と考えたわけだが、もう国単位でこの blog へのアクセスを切ってしまおう、ということで、試験的に、2017年1月末時点での中国、インド、そしてロシアの全ての IP address からのアクセスを禁止することにした。
現時点では、他にも東南アジア諸国、中南米辺り、旧東欧辺りからのアクセスを切ることを考えている。どのタイミングかというと、これらの国からの SPAM ポストがあった時点で、その IP address のある国を切ることにした。
ということで、試験的に釣りのポストをして様子を見てみることにしよう、と、これを書いているわけだ。あと、もしも「自分はここの国に住んでいるのでこの IP class は開けて欲しい」というのがあるようでしたらメール下さい。個々のケースに関してチェックした上で外します。
『[改訂第7版]LaTeX2ε美文書作成入門』が目出度くリリースされた。僕は紙にするか PDF にするかでまだ迷っているのだが、リリースに伴う TeX Wiki のフォーラムにおける質疑等を見るにつけ、考えることがあるわけだ。
『美文書』には伝統的にインストールメディアが付属されていて、今回の版でも DVD が付属されている。これを楽しみにされている人も多いようだし、実際、例えば大学などの情報教育関係で集中的にインストールを行うために重宝している方もおられるのだろうと思う。しかし……だ。もし僕だったら、おそらくこの DVD をやめてしまうんじゃないだろうか、と思うのだ。
この手の書籍で扱っているのは、現在進行形で改良が進んでいるフリーウェアなわけだ。しかし、次の版が出るまでには最低でも2、3年かかる。今回の第7版も、第6版が出てから3年2か月がかかっている。その間に、システムには少なからぬ変更が行われるわけだ。
おそらく、本を出す側が DVD を付属させる本音はこうだと思う。revise され続けるシステムに付随する質問が五月雨式に繰り返されるのに対応するのは大変だ。だから、ある version を DVD に封じ込めて、その中のシステムに関してのみ責任を負えば、手間も少なくなるし、自力で revise 起因のトラブルに対応できないユーザーにとってもその方が利益になる……まあ、そういうところだろうと思うのだ。
しかし、当然のようにトラブルは発生する。そのおそらく大半は TeX Wiki のフォーラムに持ち込まれる。検証、解答が行われ、その解答が資産化されて……めでたしめでたし、になるかと思うと、実のところ、あまりなっていない。それは何故かというと、実に単純な理由で、付属 DVD を使う人のうちの結構な割合が、技術情報を自力で探すことの不得手な人だからである。
僕は、おそらくここをお読みの方々が御存知の通り、revise されたものはすぐにでも導入しないと気が済まない方の性質なわけだ。だから当然、何か起きたら on my own risk として対処する。フォーラムをお騒がせすることもないとは言わないが、9割方の問題は、フォーラムの過去のポストを検索したり、英文の document を読んだり、いくつかの可能性を考慮した検証実験(と言う程大袈裟なものでもないんだが)を行ったりして対処するわけだ。おそらく僕の日常使用している環境(Debian 上で、Debian が供給しているパッケージではなく、CTAN などで配布されている /usr/local/ 以下に入れる texlive をインストールして使用している)は世間でも結構な少数派なんだろうけれど、仕事を含めたほとんどの状況に、実際これを道具として使っている。つまりはそうできるよう、道具を整えられているわけだ。
しかし、DVD を使用している人達は、おそらくこうはいかないのだろう。それを非難するつもりは毛頭ない。しかし、そういう人達も結局はフォーラムで help を出すのだから、「黙ってこれを使えば安心」というのはもはや幻想と化しているのではないか、と思うのである。では、どうしたら良いのか。
texlive にしても、角藤氏の W32TeX にしても、インストーラ付きの distro なのだから、結局は online の文書中にリンクがちゃんと張られていれば、そのインストーラーを初心者がダウンロードすることはできる。複数の archive をダウンロードしなければならないのなら、メタインストーラみたいなものを用意して online で供給した方が現実的なのではないか。読者の DVD の中身は revise し難いが、online な文書は用意に revise できる。こちらの方が、結果的に供給側としても楽なのではなかろうか。
この方式の良いところは、フォーラム等に上がってきた「迷えるものの声」をそこにすぐに反映させられることである。勿論、そういう五月雨式な状況から解放されるための DVD なのだろうと思うが、結局は五月雨式に問題を寄せられるのだったら、それを逐一反映させて、後はここ見て下さい……の方が結果的に皆楽になるんじゃないだろうか。昔と違って、情報教育用の端末だって今日日 network に接続されているのだろうから。
最近サボっている『TeX Live を使おう──Linux ユーザと Mac OS X ユーザのために──』は、実はそういうつもりもあって最初に作ったのだった。ただ、plain な HTML でちょこちょこっと書いた代物で、複数のスタッフで内容を整えるような代物ではないし、何より僕が勝手に書いただけの代物だ。だからって言うわけではないんだけど、付属 DVD とインストールに関する解説を本の方に載せるのではなく、その部分を online に独立させて運営した方が、結果的には楽なんじゃないのかなあ……と、僕は思うんですけどね。どうなんでしょうか。
東大が女子学生向け家賃補助 月3万円、100室確保
東京大は14日、来春入学する地方出身の女子学生らを対象に、大学近くにマンションなど約100室を確保して貸し出す取り組みを新たに始めると発表した。対象者には毎月3万円の家賃支援を最大2年間行う。
教養課程を過ごす駒場キャンパス(東京・目黒)まで通うのに自宅から90分以上かかる女子学生も含む。保護者の所得制限は設けない。東大は女子学生の割合が全体の約20%で一層の受け入れ拡大に取り組んでいる。
また、来年3月の一般入試の合格発表時、本郷キャンパス(東京・文京)で受験番号の掲示板への張り出しを再開すると明らかにした。張り出しは工事のため2013年春を最後に見送っていた。
一方、17年度春の入学者を対象にした推薦入試の出願者数(受取数)が前年度と同じ173人だったと発表した。全10学部で計100人程度を募集し、前年度から出願者が増えたのは法、経済、文、教養の4学部。理系学部で出願者の減少が目立った。
推薦入試は多様な学生の獲得を目指して始まり、学部別に書類選考と面接やディスカッションをし、1月の大学入試センター試験の結果も踏まえて合否を決める。河合塾教育情報部の富沢弘和部長は「条件の厳しさに加え、最近は京都大や大阪大なども推薦入試を新設、拡充しており、競合相手の増加も伸び悩みの要因では」と指摘する。
2016/11/14 21:54 日本経済新聞
……はいはい、またお得意の日本式に歪んだ affirmative action ですか……と、かつての男子苦学生としてはむかっ腹が立つわけなんだが、この話に関しての世間の風評を探ってみて驚いたのは、世間には東大に男子寮だけが存在している、と思っている人が実に多いようなのだ。今朝のフジテレビ系列の『とくダネ!』でも、コメンテーターの深澤真紀氏が訳知り顔で「東大は白金に女子寮があったんですけどなくなって、今は男子寮だけなんです」みたいなことを仰っていたが、いやそれは明らかに事実誤認ですよ。
そもそも、今の東京大学には男子寮も女子寮も存在しない。あの有名な駒場寮は2001年に潰され、残っていた豊島寮(男子寮)と白金寮(女子寮)も2010年9月で閉寮になっている(参考:東大の web サイトから「豊島・白金学寮について」)。
じゃあその後はどうなっているのか、というと、追分・・豊島・三鷹の三つの国際学生宿舎なるものがそれに代わっている(参考:東大の web サイトから「学生宿舎・アパート インデックス」)。ちなみにこれらの定員を調べてみると、
- 追分:150 名(男性 114 名、女性 36 名)
- 豊島:200 名(男性 160 名、女性 40 名)
- 三鷹:605戸・入居者の約25%を女子
と、こうなっている。繰り返すが、現在の東大には男子寮も女子寮も存在しない。存在するのは男子・女子共に入居できる国際学生宿舎なのだ。
この状況下で、女子だけ殊更に優遇されるというのは、これは明確な affirmative action であろう。それも、あまり賢くない、あまり実情に沿っていない代物だろうと思う。東大側の事情として、女子学生が増えないという問題に対して何かしたい、というのがあるのだろうけれど、居住環境問題というのは全ての学生に対して最大の経済的問題として重くのしかかっているわけだ。このような affirmative action は、優秀な男子学生を遠ざけるだけの結果しか生まないと思う。
まあ、個人的には、私は東大があまり好きではないので、どうぞ男子苦学生諸君には、京大や私の母校である阪大に来ていただきたいと思う。こんな東大に拘る必要なんて、何もないと思うしね。