現存する Windows で使えるディストリビューション

現時点において Microsoft Windows で使えるディストリビューションとしては、

があります。ただし、これらが皆あらゆるケースで使えるわけではありません。

まず MiKTeX は欧米ではひろく使われていますが、日本語の処理で必要な pTEX等が収録されていません。proTeXt も MiKTeX から派生したものですので、同様の問題があるかと思われます。

W32TeX は角藤亮氏が作成しているディストリビューションで、1990年代から Windows 上での数多くの使用実績があります。日本語環境もきっちり収録されています。W32TeX は、

  1. 複数のアーカイブ(ファイルを束ねて圧縮したもの)から必須のものと必要なものを選ぶ
  2. 必要なファイルを配布元からダウンロード
  3. PC 上で展開・インストール
  4. Ghostscript などの周辺ツールをインストール
という手順で環境を構築するように作られていますが、これらの作業を自動化した TeX インストーラ3 (https://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~abenori/soft/abtexinst.html) が阿部紀行氏によって公開されており、簡単にインストールできるようになりました。

TeX Live は1996年に Sebastian Rahtz6 によって始められた、現在使える TEX関連のシステムの大多数を内包した巨大なディストリビューションです。どれ位巨大かというと、私の手元の Windows 端末上にインストールされている TeX Live 2020 が記憶デバイス上に占める容量が 6.6 Gバイト、インストールで使用される DVD イメージの状態で 3.4 Gバイトという大きさです。

網羅する範囲が広い分、このような巨大なディストリビューションになっていることはかつては問題視されていて、Linux 等ではよりコンパクトな teTeX というシステムがひろく使われていました。しかし、記憶デバイスの大容量化が進み、このような容量があまり問題にならない状況になってきた2006年、teTeX のメンテナーであった Thomas Esser は teTeX 開発の中止、そして以後は TeX Live を推奨するとのコメントを発表しました。

TeX Live にはかつては日本語に対応したシステムが内包されていませんでしたが、2010年の pTEX/ pLATEXのマージ以降、日本語を処理するシステム、フォント7、ユーティリティ等もあらかたマージされた状態です。現在の日本語を扱えるシステムで最も新しい LuaTEX-ja もマージされています。また、LATEXユーザの間で統合環境としてひろく使われている TeXworks も収録されていますので、TeX Live をインストールするだけでこれらをすぐに使うことができます。




2020-05-05