結局、Windows も

恐ろしい事態が発生した。Windows を HDD の先頭のパーティションに入れていたのだが、これがブートしなくなってしまった。見ると、どうも ntfs を Linux で扱っていたときに、パーティションに関する情報が壊れたらしい。さあ、どうするか……観念した。まだ Linux からこのパーティションを扱える段階で重要なファイルのバックアップを取り、ちょっと前にとった Linux 側のバックアップと合わせて、shannon 上の全部システムの総入れ替えを行なうことにしたのだ。

で、さっきようやく Windows の復旧が終わり、デフラグをかけているところである。僕は Windows 固有のロールバックシステムやインデックスシステムを全く信用していないので、これらをすべて停止させて HDD の不要なファイルをすべて削除した。ユーティリティのインストールが終了するまでは、仮想記憶も切って、ページファイルも削除した状態にしてあるのだが、この状態でシステムはどの程度 HDD を食っているだろうか。ちなみに前にも書いたけれど、shannon のシステムは Windows Vista Home Basic X64 である。

答は……なんと28 GB。上に書いたようなことをしていないと、default では 100 GB 近くも HDD が消費され、しかもロールバックやインデックスに関わる部分は常に書き換えられているから、フラグメントがそりゃあ無残な状態になっているはずなのだが……世間の人達は、本当にこんな状態で皆システムを使っているのだろうか? 僕にはちょっと信じられないのだが。

latex2html(まとめ)

今更ではあるのだが、この blog の関連エントリが TeX Wiki にリンクされているようなので、一読してインストール・使用ができるように、まとめを作成しておく。

当方が UNIX 系の環境をメインに使用しているので、ここでは Linux や Mac OS X 等の OS を前提として書く。Microsoft Windows を使用されている方は、北海道教育大学旭川校・物理学教室・阿部ゼミ半公式ページ で公開されている『Windows に LaTeX2HTML をインストールしよう』を参照されるといいだろう。

latex2html を使用するにあたっては、まず TeX / LaTeX が問題なく使用できる環境を整える必要がある。当方は Linux (Debian GNU/Linux sid) 上で TeX Live 2011 を使用しているが、tlptexlive を追加していても、MacTeX 等を使用されていても、おそらくあまり変わらないプロセスで使用できると思う。

これに加えて、latexhtml は、プレインテキストで記述できない数式などを画像として取扱うために netpbm を使用するので、事前にインストールする必要がある。最大前提として perl、そして日本語を扱うので nkf 等も必要になるのだが、これらに関してはほとんどの distro では最初から入っていると思う。

さて、まずはこれから何をどうするのか、だけど、

  1. latex2html 本体と、日本語化パッチのアーカイブ取得
  2. 上記2アーカイブの展開
  3. configure, make, make install
  4. 個人設定ファイルの設置・設定
という手順で作業を行っていく。以下、順に説明する。

まず本体および日本語化パッチのアーカイブだけど、日本語化パッチの開発者である、新潟工科大学の竹野茂治氏のページにアクセスする。index ページから TeXLaTeX2HTML について ……と辿っていくと、

"LaTeX2HTML (Japanese)": http://takeno.iee.niit.ac.jp/~shige/TeX/latex2html/ltx2html.html
というページに行き着く。ここでは latex2html-2002 以降に関する網羅的な情報が書かれているのだけど、現時点での最新版を入れるために、このページ中『LaTeX2HTML 日本語化パッチ開発版のページ (Japanese)』を見ることにする。

ここには、現時点で最新の latex2html-2008 に適用するための日本語化パッチが公開されていて、オリジナルの latex2html-2008 のアーカイブにもリンクが張られている。ここからまず、latex2html-2008.tar.gz と、現時点での最新のパッチである l2h-2K8-jp20110708.tar.gz を取得する。

上記2アーカイブを同じ path に配置して、本体 → パッチ の順(逆でもおそらく大丈夫だけど念の為)に展開すると、latex2html-2008 というディレクトリが生成されている。ここに入って ls すると、

  • l2h-2K8-jp1.10b2.13.patch(以下 jp1 patch と称す)
  • l2h-2K8-jp2.1b1.13.patch(以下 jp2 patch と称す)
と、2種類の patch が存在することがわかる。jp1 patch は、日本語を取扱う際に nkf を使用する仕様になっている。これに対して jp2 patch では、日本語のコード変換を行わない。この差は何か、という話だが、アーカイブと共に公開されている文書:README.tech.jp-20110708 に詳細な記述があるので、そちらを御参照いただきたい。

ざっくりした話だけ書いておくと、jp1 patch は全ての文字コードに対して対応可能だが、いちいち nkf を介して処理が行われることになり、後で出てくる設定ファイルで適切な文字コードの設定をする必要がある。jp2 patch は、EUC-jp や UTF-8 で文書を扱う限りにおいて、あまり面倒な目にあうことはない。僕は現在 UTF-8 ベースの日本語環境を使用しているので、ここでは jp2 patch を適用することにする。

patch の適用は、単純に、

$ patch -p1 < ./l2h-2K8-jp2.1b1.13.patch
とすればよい。これでディレクトリ内のファイルに対してパッチが適用される。

次に configure だが、注意する点は:

  • --prefix
  • --with-texpath
  • --with-kanji
の3オプションを適正に設定することである。prefix は latex2html の本体である perl スクリプトがインストールされる場所、texpath は latex2html に関わる TeX / LaTeX 関連ファイルがインストールされる場所、with-kanji は使用する文字コードを設定するわけだが、これらを明示的に指定しておく方がいいだろう。

まず prefix だが、default は /usr/local になっている。この場合、

  • [prefix]/bin: 実行形式のファイル
  • [prefix]/lib/latex2html: ライブラリ等
のようにインストール場所が決まる。ひとつ注意しておかなければならないのが、prefix で指定する path の文字列に "l2h" や "latex2html" が(大文字、小文字のいずれの場合でも)入っていると、
  • [prefix]/bin: 実行形式のファイル
  • [prefix]/: ライブラリ等
となってしまう。考えられるパターンとしては /usr/local/l2h や /home/foo/latex2html 等に入れようとする場合があるだろうけれど、この場合には注意すること。

texpath は TeX / LaTeX 関連のファイルが置かれる場所で、これは default は /usr/local/texlive/2011 内になってしまう。これに抵抗のない方も多いのかもしれないが、今回のようなユーティリティのファイルは /usr/local/texlive/texmf-local 以下にインストールされることをお薦めしておく。

kanji オプションは文字コードで、default は EUC-jp である。僕のように UTF-8 ベースの環境で使用する場合には、このオプションで明示的に UTF-8 を指定しなければならない。

以上から、僕の場合の configure のオプションは:

./configure --prefix=/usr/local --with-texpath=/usr/local/texlive/texmf-local/tex/latex/latex2html --with-kanji=utf8
となる。

configure が終われば、そのまま make → sudo make install でインストールが行われ、ls-R の更新等も自動的に行われる。これでインストールは終了である。

あとは、ソースのディレクトリにある dot.latex2html-init-jp を home にコピーすれば良いのだが、これも latex2html で使用する文字コードに合わせる必要があるので、

$ cat dot.latex2html-init-jp | nkf -w > ~/.latex2html-init
のようにコピーを行った後、適宜、設定ファイルを編集していただけばよろしい。ちなみに僕はほとんどそのままで使用している。

元の木阿弥

今日は時間があったので、環境のリフレッシュということで shannon の再インストールを行った。再インストールといっても、/home はもともと別パーティションにしてあるし、めぼしいものは皆バックアップされているので、そう面倒な作業でもない。

ところが、作業中にふと気付いた……あれ、sudo の挙動が変わってるなあ。/etc/sudoers を見ると、

Defaults        env_reset
で環境変数の持ち越しが抑制され、
Defaults        secure_path="..."
で sudo したユーザに新たな path が指定されるようになっている。へー。

いやね、分からないでもないんですよ。これ、一応はセキュリティの対策……のつもりなんでしょうけれど、でもねえ。環境設定で、

alias sudo="sudo env PATH=$PATH"
と alias を指定されたら、もう意味がないような気がするんだけど。

まあ、これは思うに、本当に secure にしたいんじゃなくって、 insecure にならないようにしましたよ、この上で alias で環境変数持ち越してトラブったら、それはこちらのせいじゃないですからね……と、/etc/sudoers が語っているような気がしてならない。世はなべて、責任回避に懸命なんだなあ……と思うと、何とも嫌になる話であった。

hot pepper

このエントリは、最近あまり使わなくなった Iceweasel(Debian 版 Firefox)で書いている。というのが、さっき update した Google Chrome で flash 関連が使えなくなったためだ。

そもそも、これの発端は先月……そう、もう先月になってしまったのだが、先月23日に Adobe が「今後は Linux 版の flash plugin はリリースしませんよ」宣言をしたことに端を発する。Adobe の roadmap によると、

Linux: Adobe has been working closely with Google to develop a single, modern API for hosting plug-ins within the browser. The PPAPI, code-named "Pepper", aims to provide a layer between the plug-in and browser that abstracts away differences between browser and operating system implementations. You can find more information on the Pepper API at http://code.google.com/p/ppapi/.

Because of this work, Adobe has been able to partner with Google in providing a "Pepper" implementation of Flash Player for all x86/64 platforms supported by the Google Chrome browser. Google will begin distributing this new Pepper-based Flash Player as part of Chrome on all platforms, including Linux, later this year.

For Flash Player releases after 11.2, the Flash Player browser plug-in for Linux will only be available via the "Pepper" API as part of the Google Chrome browser distribution and will no longer be available as a direct download from Adobe. Adobe will continue to provide security updates to non-Pepper distributions of Flash Player 11.2 on Linux for five years from its release.

Flash Player will continue to support browsers using non-"Pepper" plug-in APIs on platforms other than Linux.

つまり、今後、Linux での flash plugin は google の PPAPI(コードネーム "Pepper")ベースでフォローしていく、ということである。ついさっき update した手元の Google Chrome には /opt/google/chrome/PepperFlash/ というディレクトリが出来ていて、その中には libpepflashplayer.so というプラグインが入っているのだが、どうもこれがちゃんと機能していないらしい。

僕の手元で flash が死ぬと、実は結構あちこちで困ることになる。ファイル転送用に使っているサービスでは、ファイルのアップロードに flash が必要だし、地震速報の受信用に使っているプラグインも flash を使っている。おなじみのニコニコ動画も flash だし……うーん、これは結構困ることになるわけだ。

Apple などが flash を駆逐したくてしたくて仕方がない、という話があったけれど、今この瞬間においては、とりあえずないと困るのだ。Adobe 版の最終バージョンのプラグインを入れている Iceweasel でとりあえずしのいでいるものの、今後のことを考えると、はなはだ不安な状態だ……ということで、ブラウザを Chromium に変更。前からこうしようと思っていたのだけど、やはり私企業の供給するものは信用できないと思ってしまうのだった……

【後記】某掲示板で、about:plugins で NPAPI を有効、PPAPI を無効にしたらどうか、という書き込みを見て、about:plugins をチェックしたところ、まさにこれだったようだ。PPAPI が使いものになるまで、これでしのぐことにして、再び google-chrome-unstable に戻した。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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