携帯用に購入した ThinkPad X61 上で、久々に XP を使ってみているわけだけど、うーん、びみょーだなぁ、と思わされている。
まず、フォントに関して。ある必要性から、大量のフォントをインストールしてあるのだが、フォントを入れた途端に起動が無茶苦茶遅くなった。これはフォントキャッシュと関係あるのかな、ということで、フォントキャッシュを削除し、新たに作成したキャッシュファイルを read only にしてみたのだけど、正直言って状況はあまり変わっていない。本質的に、フォントが多ければそれだけメモリやディスクが消費されるわけで、今以上(認識される)メモリを増やすためには、OS を 64 bit 化するしか手はないのである。
次にシンボリックリンクに関して。僕は TeX をよく使うわけで、時々だけど Windows 上で TeX を使う場合もある。だから TeX Live(もうすぐ pretest が出るけれど)を入れたいわけだけど、フォントを有効に使うためには、シンボリックリンクを使いたいわけだ。Windows のフォントを TeX に認識させるとき、特に日本語名のフォントファイルを認識させるときには、コピーして rename するのではなく、英語名のシンボリックリンクを作って対処したいわけだ。ところが、Vista 以降の Windows にはシンボリックリンクを作成する MKLINK というコマンドがあるのに対し、XP はシンボリックリンクを利用することができないのである。久々に XP を使っていて、すっかりこのことを忘れていたのを思い出し、あーそうだっけどうしよう、という状況なのである。
で、昨日辺りから、しばらく目を向けることを控えていたヤフオクや amazon を見始めているわけだが……むー、Windows 7 と 8 とでは、8 の不人気具合がある意味圧倒的な状態なんだなあ。あるフリーウェアを使えば、8 の悪名高い Metro インターフェイス改め Modern UI を 7 以前のような感じに変えられる、ということが、どうもあまり知られていないらしい……ということは、つけいる隙があるうちに買っておけ、ということなのだろう。
ただし、今の HDD は64 bit OS を入れるのには明らかに小さ過ぎる。SSD への換装も考えたが、信頼性の問題もあるしなあ…… HDD にするとしても、回転数をどうするか……などと、また悩み出しているわけだ。どうしたものかねえ。
先日、ThinkPad X61 の HDD パーティションをいじっていたら Windows XP が起動しなくなった、という話を書いた。手元に Windows XP Professional のメディアがなかったので、ヤフオクで Dell のパソコンに付属していたインストールディスクを購入して、今週に入ってからインストール作業を行っていた。
まず、先日買った「轟音」DVD ドライブを接続して、そこに入れたインストールディスクからブートしてインストール作業を始めようとしたのだが……
インストールディスクを見つけられません
というメッセージが出る。へ? 油汗がたらーっと背筋を伝った。
この原因は、BIOS での SATA ディスクの扱いを AHCI モードにしてあったからだ(まあ今時これが普通だろう)。Windows XP が出た頃にはこんなものはなかったので、BIOS レベルで IDE 互換モードにしておかないと、インストーラはハードディスクを探し出せなくなってしまうわけだ。それに気付いて、慌てて BIOS を再設定する。
インストール自体はあまり手間もかからずに終わったわけだが、インストール終了時点では、XP には sp1 すら当たっていない状態である。うーん、とりあえず Microsoft Update かなあ、とアクセスしてみると、自動的に「Internet Explorer 8 を使いましょう」というページにリダイレクトされる。あーうぜー、じゃあ IE8 入れるか? と考えるが、実は IE8 のインストーラはサービスパックの当たっていない XP では起動することすらできない。ではとりあえず SP2 辺りから……と、ダウンロードしようとするが、悉く「Internet Explorer 8 を使いましょう」ページへリダイレクトされる。まさに無間地獄である。頭にきて、SRWare Iron をインストールしてみるが、これもサービスパック無しの XP では起動できない。
で、どうしたかというと、さくっと Linux で再起動して、Linux 上の SRWare Iron で、 Microsoft のサイトから、必要なものを全部パッケージ化した(開発者向けとか管理者向けとかいって公開されている)インストーラをダウンロードした。ついでなので sp3 もダウンロードしておくことにする。これを Windows のパーティションにコピーして、Windows で再起動してからこのインストーラを起動すると……はいはい、目出度く sp3 まで当てられた。
しかし、このままでは面倒なことこの上ない。まさかこんな状況があるとは予想していなかったので、Linux のカーネルには古い IDE のドライバは組み込んでいない。だから、起動するたびに BIOS で SATA の動作モードを変更しなければならないことになる。まあ、Windows のセットアップが一段落したところでこれには対処することにして、まずは Microsoft Update をかけると……おお、130 近くものアップデートがかかる。これは放置して寝ることにしよう、ということで、この日は就寝する。
翌日、アップデート(Microsoft の常で、アップデート後でないとできないアップデート、というのがいくつかあるので、結局は何度か Microsoft Update を起動しなければならないのだが)をかけ終えたところで Kaspersky をインストール。さて、ここからどうするか。
幸いなことに、lenovo は中国企業とは思えない程にサポートが手厚い。特に ThinkPad に関しては非常に手厚く、XP 時代から最新の Windows 8 に至るまで、各種ドライバやユーティリティ、マニュアルを公開している。この中でまず入れる必要があるのは、ThinkVantage System Update である。ThinkPad にはドライバやユーティリティを集中管理するソフトがあるので、これを入れるわけである。
かくして、ThinkVantage System Update を経由してアップデートを行い、無線 LAN なども問題なく使えるようになったわけだが、肝心の AHCI に関わるものが見当たらない。困ったなあ、とググると、インテル マトリクス・ストレージ・マネージャ・ドライバー (Windows 7 32bit/XP/Vista 32bit用) を入れる必要があることが判明。早速アーカイブをダウンロードしインストール。その後、C:\DRIVERS\WIN\IMSM\PREPARE にある install.cmd を起動してシャットダウンし、BIOS を AHCI モードに切り替えてから再起動すると……ほっ。ようやくちゃんと起動した。起動初期は、IDE 周辺に軒並リインストールがかかるのでやかましいことになるのだが、これで問題なく XP が使えるようになった。
あとはフォントと 「win 高速化」での高速化、CTRL を CAPS キーにアサインすること、それと ccleaner と defraggler あたりを入れて、これで第一段階の作業は終了である。はー疲れた。しかし、AHCI で引っかかるとはなあ。びっくりしましたよ。
ThinkPad X61 だが、実はひとつ問題が残っている。GNU Parted でパーティションの変更を行ったために、Windows XP Professional が起動しない(起動中にブルースクリーンに落ちる)状態になっているのだ。
僕の買ったこの X61 にはリカバリディスクは付属していなかった。それは購入時点で確認していたので何も問題はない。Lenovo は ThinkPad のドライバはほぼ全てを未だに入手できるように整えているし、ThinkPad にはドライバの管理ソフトがあるので、まずはそれだけ入れればいい。しかし、ふと思い返してみると、僕の手元には Windows XP のインストールディスクは1枚もないのだった。
U の Dell のノートが XP だったよな……と見てみると、これは Home Edition だった。うー、では買うしかないか、と、ヤフオクで PIN なしのインストールディスクを数百円で購入した。届くのはおそらく水曜辺りなので、その晩辺りに再インストールを行うつもりである。
しかしなあ。64 bit (EM64T) 端末に 32 bit OS をインストールするなんて、と思っていたのだけれど、32 bit の XP ってディスク全然食わないのね。HDD を買い換えて Windows 7 でも入れようと思っていたのだけど、これはしばらくはこのまま使い続けることになるかもしれない。
……いや、今回の話の本筋はそこではないのだ。X61 と一緒に購入した DVD マルチドライブの話である。本来ならば、この X61 は ウルトラベース X6 と呼ばれるドッキングベイがオプションであって、それに DVD ドライブを付けたものを接続して使うのが本来の姿なのだが、今回はケチって、I O DATA の DVR-UN18GLV なるディスクドライブを購入した。1000 円程で買えたのだから、まあ安いと言えば安いし、スペック自体も悪くはない……持ち運びに関してはほぼ絶望的だが。
この DVD ドライブが来たときは仰天した。まずデカい。X61 の台に使える位デカいのだ。そして電源が外付けの AC アダプターで、これまたゴツい mini DIN コネクタで本体と接続するようになっている。バスパワー? いやいや、そんな気の利いたものではないのだ。ちなみに本体裏側の mini DIN コネクタの反対側には、スライド式の電源スイッチが付いている。
どうしてそんなものを買ったのか、と聞かれそうだが、まずは安かったこと、そしてこの DVD ドライブが FireWire でも接続可能だというのが、これを買った理由である。ひょっとしたら、U が書き込みに使うようなこともあるかもしれない……と、要らぬスケベ心がはたらいたのだ。もっともこれは僕の勘違いで、FireWire は DVR-UEN18GLV でないと使えないのだが。
このドライブが到着して、まず最初に GNU Parted でのパーティション変更、そして Debian GNU/Linux のインストールを行ったわけだが、この作業を行い始めて仰天した。このドライブの動作音が、まあそれはそれは凄まじいのだ。あまり凄いので、録音してここで公開しようかと思ったのだが、ノイズを綺麗に録音するのは意外と難しいのでやめておく。まあでも、出始めの DVD ドライブのノイズ、というのは、多くの方は聞いたことがあると思うのだが、このドライブの音は、むしろ洗濯機の脱水のときの音などに近いかもしれない。それ位うるさいのだ。
昨夜も、食事の後に GNU Parted でパーティションの拡大(Linux の / が 30 G 近くなってきたので、他から融通して拡大した)を行っていたのだが、U がぼそっと、
「……うるさいなあ」
確かに、これが夜に動いていると、少なからぬ罪悪感を感じてしまう。やはりケチらずに、スリムドライブを入れたウルトラベースを購入すべきだったのだろうか。しかし、まさかこんな轟音だったとは、僕も思いもしなかったので。
ようやく ThinkPad X61 のセットアップが完了した。キーボード(ASCII 配列のものに交換してある)で ESC キーが遠かったので F1 キーと入れ替えたり、と、いくつかの try and error みたいなことはあったのだが、基本的にはすんなりと構築できて、この文章も X61 上で書いている。しかし、思い返してみるに、もともと僕はこのような端末を買うつもりはなかったのである。
去年の秋に、android 端末である Acer ICONIA TAB A200 を購入して、出先の書き物にはこれを使ってやろう、と思っていたのだった。しかし、Bluetooth のキーボードを購入しても、このタブレット端末で書き物をし仰せることは、ついにただの一度もなかった。えーそんなの慣れないだけでしょ、情弱じゃーん、とか言われそうなのだけど、長く込み入った文章を書くのに、SKK 以外の日本語変換で書くのは耐え難いストレスを感ずるのである。
android 上で SKK や Emacs、あるいは TeX が使えない、というわけではない。しかしそれらはほとんどハードウェアキーボードを装備した端末上で使う為に作られたもので、android のタッチスクリーン端末でそれを使用しようとすると、「〜キーを押しながら*キーを押す」というような場合や、いわゆるエスケープシーケンスの扱いがどうもちゃんとできないようなのだ。シフトキーを多用する SKK も、CTRL キーや ESC キーを多用する Emacs も、どうもタッチスクリーン端末とは相性がよろしくない。
そして、自分でも意識していなかったのだけど、僕は自分の書き物用の環境を構成するもののかなりの割合を、自分でカスタマイズしてビルドしていたのだった。Emacs もそう。SKK もそう。そして SKK の辞書もそうである。こういう細々したことができないと、それだけでもうかなりのストレスになるのだった。いくら android が Linux の一派であるにしても、こういうところを自分で管理する上では、gcc やライブラリの入った Linux 端末を使う方がどう考えてもいいわけで、世間の標準に自分を合わそうとしたこと自体が愚かだったのだ。そもそも、そんなものに合わせる必要は何もなかったのだ。
世間では、タッチスクリーンこそが最上のインターフェイスであるかのように宣伝されている。丁度 Microsoft が Windows 8 で動作するタブレット端末 Surface を宣伝しているところだし、ひところの iPad ブームは過ぎたかもしれないが、僕が今回導入したような時代錯誤的なインターフェイスを導入する人は多くないのかもしれない。しかし、今こうやって使っていて、Debian GNU/Linux と XFce が動く端末上で、キーボードとマウス(X61 の場合はトラックポイントだけど)を使ってものを書く方が、どう考えても効率が高いのだ。指で触れることが、他のインターフェイスに勝る部分もあるかもしれないけれど、物を書くということ……それは「記号化」とでもいうような行為なわけだけど……において、フィジカルに指で触れることより大切なことは山のようにたくさんあって、タッチスクリーンというインターフェイスは、その辺りに特に手当てをしてくれるというわけではないのだ。
こういうことは、GUI に世間の目が集まったときにも感じたものだった。新たな道具の可能性を模索することを否定する気はさらさらないのだけど、僕にとって道具は手段なので、それを使い分けることにも、見た目が古いものを使うことにも、何の躊躇いもないのだ。だから僕は、少なくともあと何年かは、今のような環境で物を書き続けることだろう。