あーなんかスッキリしないかなぁ

マメが

今日は、ネットワークが死んでいるのもあるので、せっかくだから楽器の練習を、とベースを弾いていたのだが、しばらくサボっていた報いで指にマメができた。右の人差し指と中指にできるのはいつものことなのでいい(これが硬くなった状態がいいのだ)のだけど、今回はベースを弾いて二十数年、初めて左の人差し指にマメができた。これはよろしくない。悪い癖がついている証拠である。

普通はマメは潰さない方がいいのだけど、今回は潰した。右手のマメが血マメだったのもいつものことだ。

こまめに練習を継続して、早く指を固めなければならない。今までのツケは、払わずに済ますことはできないのだ。まあ、何事も一緒ですよ。

Demo for Christmas

僕は曲を書くとき、メロディーを後回しにすることは少ない。メロディーと詞を並列して考えて、それにアレンジを施すということが普通なのだけど、今回はどうもメロディーが降りて来ないので、オケのラフスケッチを先に作ってしまった。先ほど、ほんの10分ほどでラフミックスをしたものを出しておくことにしよう:

20091210.mp3

このままだと某竹内まりやの某曲に似た部分があるので、フックは後で作り直す予定。まぁ第一段階のラフはこんな感じなんです。

なぜ Dimension が必要なのか

実は今日はうれしいことがひとつあった。前から探していた Roland™ Dimension D の代替 VST であるWOK VDIMENSION VSTを見つけ、入手したのだ。これでようやく自分の録音の大きな制約をはずすことができる。

……などと書くと「そんなエフェクタがなければ音楽も作れないのか」とか何とか言われそうなのだけど、この Roland™ Dimension D というのは、プレートエコーと並んで僕が長年使いたくて、でも使えなかったエフェクトで、これなしにはとにかく空間構築ができないのだ。今日はその理由も含めて、この Roland™ Dimension D の話を書いておくことにしよう。

Roland™ Dimension D ……オリジナルの型番で言うと SDD-320 ……というのをご存知ない方も多いと思う。それも道理で、もともとこのエフェクタはスタジオで使用されるものだったし、未だに「知っている人は知っている」エフェクトなので、もし中古市場に出ても即効で買い手がついてしまう。だから、どこかに陳列されているのにお目にかかることはまずないし、これを読まれている方が知らないとしても無理もない、と思う。

で、これは何なのか?という話なのだけど……世間に普通にあるエフェクトで言うと、コーラスなどに近い、というと分かりやすいかもしれない。ただし、コーラスとこの Roland™ Dimension D が決定的に違うのは、前者の出音がゆらぎを伴うのに対して、後者はあまりゆらぎを感じないように、音を空間的に拡げるように作られているところだ。これに関しては、実際の音を聴いていただかないと分かってもらいようがない。

で、ここに三種類の音源を用意した。以下、聴いていただきたい。

これは、Fender Rhodes(俗にローズピアノと呼ばれる電気ピアノ……最近はアフラックの CM ソングである『まねきねこダックの歌』で使われているのが有名なのかな)の Stage 2 と呼ばれるタイプをシミュレートした音源でちょろちょろっと弾いているのだが、最初のものが弾いたそのまま、次が WOK VDIMENSION VST を通したもの、そして WOK VDIMENSION VST と IK Multimedia Classik Studio Reverb Plate(プレートエコー……巨大な鉄板に音を振動として与え、鉄板の振動を拾うことで得られる残響を用いたリバーブ……を再現したヴァーチャルエフェクト)を通したものである。Fender Rhodes というのは、そのままで聴くと意外にもズンベラボーとした感じの音なのだけど、Dimension を通したものは、一転して空間を満たした感じに拡がっているのがお分かりいただけると思う。これに更にプレートエコーを加えると、更に空間を強くイメージさせるような音になる。

Dimension を70年代の終わりに開発した Roland™ は日本の企業だけど、この音は、アメリカのスタジオシーンを発信地として世界中に受け入れられた。それまでのマルチトラックレコーディングにつきまとっていた閉塞感を打破し、80年代の音を空間描写に富むものとして僕たちに印象付けたのは、ひとえにこの Dimension のおかげだと言っても過言ではないだろう。オリジナルの Dimension は BBD (Bucket Bridge Device ……微細な FET 間で電圧のバケツリレーを行うことで信号を遅延させるアナログ素子)を使ったばりばりのアナログ機器なのだが、未だに市場に出ると誰かがさっくり買ってしまうのは、とにかくこの音がミックスダウンにおいて不可欠なものとされているからだ。

僕ももちろん、この Dimension の音に魅せられた一人なのだが、SDD-320 はさすがに持っていない。Roland 自身がこの SDD-320 をシミュレートしたものが、ハーフラックサイズのマルチエフェクタである BOSS SE-50 のプリセットに入っているのだけど、こちらの方は中古で即買いした(この SE-50 はその他にもヴォコーダーとして使えるプリセットがあったりするので、その価値を知っている人にとってはマストアイテムのひとつである)。ただ、最近は僕も Cubase 上で VSTi(いわゆるヴァーチャル音源とかソフト音源とか呼ばれるもの)の利用頻度が上がってきたので、わざわざエフェクトループを組むのが大変で、かなり困っていたところだった。今回のこの音源も、実際には Cubase 上で Applied Acoustics Systems の Lounge Lizard EP-3 という VSTi を立ち上げて演奏しているのだが、以前だと SE-50 を通す時点でノイズの混入が避けがたかった。そういう意味でも、今回の WOK VDIMENSION VST の導入は、僕にとっては画期的なことである。

本当は松本明彦氏の開発したプラグインが Windows に移植されるのを待っていたのだが、こちらの方が進んでいない(勿論進んでいないことを非難などできない……欲しいなら自分で作るか金を出せ、というのがソフトの世界の掟なので)ようで、日々代替になるものを探していたところであった。とにかくこのエフェクトが得られるだけでも、僕にとっては有難い。制作時間が確保できるのが今から楽しみである。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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