latex2html (2)

昨日に続いてこの話を。

latex2html だけど、思ったよりちゃんと変換をしてくれる。ルビを使っているとその部分がうまく変換されない(HTML はルビを扱えるのだけど)、というのと、OTF パッケージを使用している場合に変換がうまく行えない(これは想定の範囲内だった)、ということはあるけれど、たとえば論文とか、何かのソフトのドキュメントとかを変換するのには、たしかにこれは重宝しそうである。

……などと思っていたら、例の TeX フォーラムの質問者が、「文字化けがまだ解消されない」と書いている。よくよく聞いてみると、\documentclass に article を設定していると文字化けが生じ、jarticle を設定していると文字化けが生じない、という。

あー、なるほど。おそらくこの人は、TeX / LaTeX レベルのことしか見えなくなってしまっているに違いない。日本語の HTML の文字化けのかなりの割合が、charset の不適切な設定に起因する、ということは、僕にとっては基本的な経験則なのだけど、ほとんどの人にとってはそうではないのだろう。

質問者が提示してきた2種類の LaTeX document から DVI ファイルを生成してから、latex2html で HTML ファイルを生成して比較をすると……ああ、やっぱり。article を指定した方の LaTeX document から生成した HTML ファイルには、

<META HTTP-EQUIV="Content-Type" CONTENT="text/html; charset=UTF-8">
がない。これが、質問者が「文字化けする」と言う原因に違いない。

HTML において META タグで charset を明示することは must ではないはずなのだ。たとえば、僕の手元の HTML document では全て META タグで charset は管理しているのだけど、万が一これが欠落していても、それで確実に文字化けする、ということはないはずだ(誤った charset を明示していたら、ほぼ確実に化けると思うけれど)。まあでも、質問者の言う「文字化け」の原因は、これ以外にはちょっと思いつかない。

latex2html に charset を指定する META タグの生成を強制するためには、~/latex2html-init 内に、

$charset = "UTF-8";
と明示しておけばよい。一応その旨回答しておいたけれど……うーむ。META タグでの charset 設定がないと確実に文字化けする環境だったら、たしかにここでハマる可能性はあるかもねえ。ただし、複数種類のブラウザで検証していたら、このことには早々に気付きそうな気もするけれど。生成された HTML document の diff をとってみる、とか、思いつかないものなのだろうか……いや、責める気は毛頭ないですよ。確かにハマるかもしれないからね。

latex2html

僕は普段は HTML document は一からテキストエディタ(ほとんどの場合は Emacs)で書く。テンプレート代わりに使えるファイルがいくつか手元にあるのを使うことはあるけれど、この場合も例によって例の如くマクロや統合環境のようなものは使わない。この blog は少々楽をさせてもらっているけれど、これにしたって各エントリ内のタグは全て手で書いている。

TeX / LaTeX で書いた文書を HTML 化するとき、あるいはその逆のときには、変換用のフィルタをいくつか書いてあるので、これをその都度モディファイして変換処理をする。だから、latex2html の存在は(おそらく登場したばかりの頃から)知ってはいるわけだけど、あまり使うことがなかった。

昨日のことだけど、毎度おなじみの TeX フォーラムで、latex2html に関する質問が放置されているのに気付いた。このサイトに集まっている人々は(voluntary なものだから誰かを責める気はないけれど)自分達の興味があれば trivial なネタに溢れんばかりの情熱を注ぐのに、自分の興味のないものに関しては放置する傾向が強い。まあ、最近の patch の状況とかもあるだろうしなあ、と、丁度いい機会だったので、自分でも調査がてら install してみることにしたのだった。

latex2html の開発状況は、2002 年までは比較的活発だったようだが、現時点では 2008 年にリリースされたバージョンが最新である。日本語で書かれた文書を処理するためには、新潟工科大学の竹野茂治氏が作成・公開されている patch を適用する必要がある。

これはおそらく Google のせいだと思うのだけど、「latex2html 日本語」などのキーワードでググると、検索順位の最上位に来るのは:

http://takeno.iee.niit.ac.jp/~shige/TeX/latex2html/ltx2html.html
である。ここを斜め読みしていると読み飛ばしてしまうのかもしれないが、上記 URL の文書内に、『開発版の日本語化パッチのページ』:
http://takeno.iee.niit.ac.jp/~shige/TeX/latex2html/current/l2h-current.html
という文書へのリンクがされていて、こちらの方で latex2html-2008 に適用するための patch が公開されている。

これを書いている時点で、上記リンク先で公開されているアーカイブを展開すると、2種類の patch が出てくる。

  • l2h-2K8-jp1.10b2.13.patch
  • l2h-2K8-jp2.1b1.13.patch
というファイルなのだけど、jp1 の方は nkf をフィルタとして使うように書かれていて、jp2 の方は日本語のコード変換をしないように書かれている。竹野氏の書かれている文書によると、いわゆるシフト JIS を使うシステムの場合、nkf を通さないと変換がうまくいかないケースがあるので、この2種を同梱されているようだ。

手元の端末に l2h-2K8-jp2.1b1.13.patch を適用・インストールを行った際のログにリンクしておく。まあ、他には特に注意すべきことはないと思うのだけど……先の質問を書かれた方は未だうまくいかないと書かれている。うーん。こちらでは呆気なく使えるようになってしまっているのだが……

着メロを作る

先回書いた着メロの件について。

前にも同じようなことを書いたけれど、僕が着メロを「作る」というのは、多くの場合、気に行った曲のイントロ部分を抜き出して、携帯での着メロとしての再生に特化したリマスタリングを行ったファイルを作ることである。

一例として、以下のふたつの mp3 ファイルを示す:

……まあ、何をやっているかは一聴瞭然であろう。要するに、原曲のダイナミックレンジをコンプとリミッターでがっつり潰しているだけの話である。当然だけど、このような処理を施したサウンドファイルは音楽作品としての鑑賞には耐えない(いやこっちの方がいい!という方は、早めに耳鼻咽喉科に受診されることをおすすめする)。こういうことができて(最大前提として、こういうことに使う音楽の原盤をちゃんと購入・所有していて、個人の楽しみを超えた行為……ファイルの授受とか……がない上で)あとはサウンドファイルのフォーマット変換に関して若干の知識があれば、基本的にはどんな音源でも着メロにすることができる。

僕はこういう行為には何らオリジナリティがないと思っているので、これは単なる操作だとしか思っていない。世間では「リマスタリング」という言葉を耳目にしただけで噛み付いてくる妙な輩がいるのだけれど、僕はそもそも自作曲を自分で演奏・録音するので、こんなところでオリジナルティを主張する気もないし、その必要もないのだ。だから噛み付くだけ無駄というものである。

しかし、この「何でも着メロ」、もちろん著作権侵害がないように細心の注意を払うべきであるが、それ以外にも問題がある。どうも、着メロに適した曲とそうでない曲があるようなのだ。たとえば、以前僕は James Brown の "GET UP I Feel Like Being Like A SEX MACHINE [Part 1]" を着メロにしていたことがある。冒頭部の喋りをカットして、JB が One, two, three, four... とカウントするところからにしてあったのだけど、いきなりこれが鳴るのは非常に神経によろしくない。

で、少しは違うものにしようと思って、四人囃子の "Lady Violetta" にしてみたのだが、これが SEX MACHINE に負けず劣らず心臓に悪いのだ。

電話を待っていて、これが鳴り出すというのは、本当に神経によろしくない。僕はこれのせいで(いや、僕は本当にこの曲は好きなのだけど)電話恐怖症になってしまい、正直言って今もその影響から抜け切れていない。

自分で音源を作って使うこともある。手抜きをして誰かのカバーで……ということもあるのだけど、これも曲を選ばないと同じことになる。例えば……

これは、原曲を聴き返しもせずに打ち込んだ、吉田美奈子の "Monster Stomp" の冒頭部である。本当はクラビで弾いているところは松木恒秀氏のカッティングなのだけど……いや、そんなことはあまり関係がない。これも着メロにはあまり向いていないようだ。いい音楽だからといって何でも着メロにできるというわけではない、ということのようである。

本当に Windows は厭になる

前にも書いたけれど、今迄使っていた PHS の電池が死んだので、U が使わずに持っていた Windows Mobile 端末を貰い受けて使い始めた。一応カスタマイズがそこそこできるのだけど、そこは Windows、やはり厭なことがてんこ盛りである。

Windows Mobile 用のユーティリティというのは、ネットで探せばそこそこ入手できるのだけど、まず僕が入手したのがレジストリエディタである……そう、Windows なだけに、細かい設定を行う場合にはレジストリを触る必要があるのだ。しかし、Windows Mobile にはセーフモードがない。だから、うっかりマズい設定をして起動しなくなってしまったら、ハードリセットして、はい、やり直し、である。僕の場合は、画面表示を VGA に切り替えた状態で SIP (Software Input Panel) を使用できるようにしようとしていて、2度、この事態に陥ってしまった。

そういうことが起きても泣きをみないように、挿してある SD カード内にディレクトリを切って、リストアに必要な一切合財を突っ込んである。まあ、アーカイブを拾ってくればいいものは、ここに入れ忘れてもまた拾ってくればいいのだろうけれど、僕の場合は着メロも自作のものを使用しているので、これもちゃんと保管しておかなければならない。

僕は着メロというものを購入したことがない。音楽は非圧縮フォーマットで iPod Classic に入れてあるものしか聴かないし、MP3 や AAC のファイルに金を出すという神経が理解できない。第一、自分で着メロのレコーディングから行うこともあるんだから、そもそも購入のしようがないのである。

今回も、手元に用意してあった着メロ用のサウンドファイルをインストールしてみたのだけど、端末のスピーカーがショボいので、ダイナミックレンジの広いサウンドファイルでは、呼び出し音としての鳴りが不足している。うーむ。というわけで、Cubase を立ち上げる。世間で言うところのデジタルリマスタリングというのをするわけだけど、まあ、このご時世、こういうことは猿でもできることである。

オリジナルの音源を出発点として、お決まりのコンプとリミッターで音圧を上げてみる。が、これでもまだ足りない。FM 放送をカセットテープで録音した位の飽和をさせて、更に中音域をパラ EQ でがっつり持ち上げて、どうにか鳴りのいい音源ができた……と、ふと、手元のプラグインを見直してみると、BBE の L82 Loudness Maximizer で、まさにそういう飽和をかけられることに気付く。改めて、これを使って作成し直したものを端末にインストール。

こういう処理は、普段、自分の音源をマスタリングするときにもやっているわけだけど、そういうときと今回のような処理では、根本的な思想が違う。リミックスとかしてる人々にとってはごく当たり前のことなんだろうけれど、Hi-Fi なものが鳴らないメディアというものは、そのメディアに非があるのであって、メディアに歩み寄って音源を変えるというのは、どうにも筋違いと思えてならない。音楽をトータルアートとしてではなく、生活の中でのアイコンとして使うための「加工」なわけだけど、基になるものよりも情報量を減ずるということに、どうにも罪を感じてしまうのだ。

まあ、こんな感じでセットアップした端末は、普段は小説を読むための電子書籍端末と化していることが多いのだけど、それ以外でも一通りのことができるようにしてある。SSH で任意のサーバと接続できるし、コマンドプロンプトも使える。しかしなあ……やはり、本気で道具として使うには到底用が足りない。せめて android か、いっそ iPhone に切り替えるべきなんだろうけどねえ。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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