奥村氏の TeX Q & A で出ていた質問について。
質問者は、数式モードで \mathcal 字体を使いたいらしいのだが、調べているうちに、この字体の "T" に、下端に棒のあるものとないものがある、ということに気付いたらしい。以下にその二者を:
![mathcal-old.png](./image/mathcal-old.png)
![mathcal-new.png](./image/mathcal-new.png)
問題の部分を拡大して赤で囲んだものを以下に示す。
![mathcal-oldT.png](./image/mathcal-oldT.png)
![mathcal-newT.png](./image/mathcal-newT.png)
この違いは、実は Knuth が(彼の言うところによると、最後の)Computer Modern Fonts の改良をした結果である。詳細に関しては彼の書いた:
http://www-cs-faculty.stanford.edu/~knuth/cm.html
およびその試訳:
http://www.fugenji.org/~thomas/texlive-guide/knuth-message.html
を御参照いただきたい。
TeX Q & A での質問者はあっさり引っこんでしまったようだけど、この筆記体大文字というのは、結構悩ましいところかもしれない。演算子等にこういう記号を使うときには、やはり好みを反映させたいだろうからだ。
実は、このような筆記体大文字のフォントを手近で探すと、Microsoft Office にバンドルされている Monotype Corsiva や、Mac OS にバンドルされている Apple Chancery(以前は dfont 形式のファイルしか入っていなかったようだが、10.6 と 10.7 では TrueType フォントが入っているのを確認済)を見つけることができる。そして、これらの T はいずれも下棒が付いているのである。
![mathcal-old.png](./image/monotype-corsiva.png)
![mathcal-new.png](./image/apple-chancery.png)
だから、TeX に対して原理主義的でないのならば、実はやり様があるはずなのだ。Knuth だって、あくまで Computer Modern Fonts の話をしているわけだし……しかし、この辺のフォローはなされているように思えないので、ここに書いておく次第である。
11月に入ってから、毎朝、Adobe のページをチェックするのが日課になっている。具体的に書くと:
http://get.adobe.com/jp/reader/otherversions/
このページなのだけど、毎朝チェックしては、まだなのか……と思いつつ日々を過ごしているわけだ。
こうなったのは、以下の文書が公開されたことに端を発する:
http://www.adobe.com/jp/support/security/bulletins/apsb11-24.html
ここしばらく、僕は(そして、世間の Linux ユーザのほぼ全てが)Adobe Reader ver. 9.4.2 を使っているわけだけれど、上の文書にあるように、この ver. にはセキュリティの脆弱性がある。僕の Linux 端末は、そこそこセキュリティに関しては武装されているし、Linux が標的になること、特に PDF を利用した Linux への攻撃が行われる可能性は低いと思われるのだけど、やはりあまり気持ちのいいものではない。だから、ver. 9.4.6 へのアップデートを早いところしてしまいたいわけだ。
現時点で、Linux 版の Adobe Reader ver. 9.4.6 は、英語版のみ公開されている。英語版の Adobe Reader 上で日本語を扱うのは問題なく可能(日本語フォントのセットを別途組込む必要があるけれど)なのだけど、今迄日本語版を使っていたこともあって、可能なら日本語版にしておきたいなー……と思い、待っているのだが、日本語版の出る気配が一向にない。もういい加減ケリをつけておくべきなのかもしれないのだが、11月7日以降、毎朝 Adobe の web サイトや ftp サーバをチェックしては溜息をついているわけだ。
……しかしなあ。時間の無駄だし、精神衛生上もあまりよろしくはない。もういっそ、英語版にさくっと切り替えてしまおうかしらん。
私用メモ。Inspiron 1501 の CPU 冷却用ファンは Sunon GB0507PGV1-A。