薄ら寒い (4)

ついに、東海テレビは「ぴーかんテレビ」の打ち切りを内々に決めたらしい。

「ぴーかん」打ち切り 東海テレビ、不適切テロップで判断

2011年8月11日 09時58分

東海テレビ放送(名古屋市東区)が情報番組「ぴーかんテレビ」で、「怪しいお米 セシウムさん」などの不適切なテロップを放送した問題で、同局が番組の続行は困難と判断したことが分かった。今後、スポンサーなどと番組終了に向け最終調整に入る。

この問題では、フジパングループ本社(同市瑞穂区)、流通大手のイオンリテール東海カンパニー(同市中村区)などが不快感を示し、スポンサーを降りる企業が相次いだほか、視聴者から1万4千件を超える苦情のメールや電話も殺到した。

同局幹部は「過去の放送事故の事例を鑑みても番組を続行することは困難」としており、打ち切りは避けられないと判断した。

中日新聞

まあ、スポンサーがつかないからこれ以上放送出来ない→打ち切り、という理屈は分かる。しかし、まだ東海テレビは勘違いをしてはいないだろうか。前にも書いた通り、これは打ち切れば済む話ではない。その辺を勘違いしていると、これは「東海テレビ排斥運動」という最悪のかたちに発展してしまいかねない。皆厭だろうとは思うけれど、局関係者は一刻も早く、自分達の何がどう悪かったのかを総括するべきだ。そうしない限り、このネガティブなイメージは払拭し得ないと思うのだけど。

【追記】東海テレビの浅野碩也らは、今夜八時から記者会見を行う、とのことである。一週間経ってしまった今日、というのは、あまりに遅過ぎだと思うけれど、どうするんだろうか。まさか画像を作成した本人を晒したりしないだろうな……今あの社員が晒されたら、家族も含めて危険だろうから、管理側としては(あの社員がしたことはともかくとして)個人を特定できるようなことは絶対に避けねばならないだろう。さて、どうするのか。まあ、こういうときに腹を切るために、社長ってのは普段から高い給料貰っているんだけど。

初めて言った

今日、ある意味で画期的な発言があった。菅直人首相が、初めて自らの口で退陣の意向を明言したのである。

菅首相、退陣を明言

これまで辞任などの言葉を使わなかった菅総理が、ついに退陣を明言しました。退陣条件となっていた特例公債法案と再生可能エネルギー法案の今月中の成立に見通しがついたことを受けたもので、民主党内の関心は代表選に移っています。

「私自身が内閣総理大臣として身を処すことが当然必要になる。新しい代表が選ばれたときには、私の総理という職も辞するという、そして新たな総理を選んでいただくと」(菅首相)

これまで「辞任」という言葉を使わなかった菅総理。10日の委員会では、退陣条件の2つの法案が成立したときには、速やかに民主党の代表選挙の準備に入らなければならないとした上で、「身を処す」「職を辞する」などの言葉を使い、ようやく退陣を明言しました。

特例公債法案は民主党などの賛成多数で、10日夕方、委員会で可決。11日の本会議で衆議院を通過する見込みです。

残るもう一つの退陣条件である再生可能エネルギー法案についても、民主・自民の参院国対幹部の間で26日までの成立を目指すことで合意し、修正案の民・自・公3党の協議も10日、始まりました。

総理退陣の環境整備が事実上整い、民主党内の関心は代表選に移り始めました。代表選の日程について執行部は、今月末を軸に実施する方向で調整を始めています。

こうした中、「菅降ろし」の旗振り役を担ってきた小沢元代表が、党所属議員およそ140名を集め勉強会を開きました。

「本当に2年前に民主党が唱えた国民主導の政治、政治主導の政治なのだろうかという疑問が問いかけられているのではないかというふうに思っております」(民主党 小沢一郎元代表)

10日は、菅政権への批判や代表選に向けた自身の考えなどには一切触れなかった小沢氏、しかし、今後も定期的にこの勉強会を開いていきたいとしており、代表選に向けた布石の一つと捉えることができます。

菅総理の月内退陣が現実味を増す中、お盆明けにも代表選をにらんだ動きが活発化しそうです。

(10日16:54, TBS News i

上引用元の動画を見てもらえればお分かりかと思うけれど、おそらく初めて、菅直人は自らの口から「総理という職も辞する」と明言したのである。

これには実は伏線がある。午前中に開かれた衆院決算行政監視委員会中、公明党の東順治議員の質問における、

「……やはり、国民の前でですね、そろそろ明言をなさった方がいい。このように思いますがいかがですか」

という問に対して、それらしいニュアンスのことを発言していたのだ。

首相、退陣の意向明言 「2法案の成立時に実行」民主、28日代表選へ準備

2011/8/10 13:30

菅直人首相は10日、自らの退陣条件に掲げていた赤字国債発行法案と再生エネルギー特別措置法案が今月下旬に成立するのにあわせて、退陣する意向を固めた。同日午前の衆院決算行政監視委員会で「2法案が成立したときには私の言葉をきちんと実行に移したい」と明言した。民主、自民両党は10日の参院国会対策委員長会談で2法案を26日までに成立させる方針で一致。民主党は後任を選ぶ代表選を28日にも実施する方向で準備を進めた。

首相は午前の決算行政委で「やるべきことはやっているという意味で残念とか悔しいという思いはない」と述べた。首相(総理)と民主党代表を別の人が担う「総代分離論」は「こちらは譲るがこちらは譲らないということはない」と否定。民主党代表選や首相指名選挙の日取りは「私の方から日程的なことを申し上げるのはあまり適切ではない」と言及を避けた。

退陣条件の一つである赤字国債発行法案については、10日午後の衆院財務金融委員会で与党と自民、公明両党などの賛成多数で可決。11日に衆院を通過する見通しだ。

自民党の脇雅史参院国対委員長は10日午前の党参院議員総会で「参院に送られれば粛々と処理する」と強調。その後、民主党の羽田雄一郎参院国対委員長と会い、19日の参院審議入りで一致した。24日にも成立する公算が大きくなった。

もう一つの再生エネルギー特措法案を巡っては、自民党が10日午前の総合エネルギー政策特命委員会で修正要求案を取りまとめた。政府のエネルギー基本計画の見直し結果などを踏まえ、3年後の抜本的な見直しなどを盛り込んでいる。

民自公3党は10日午後の政調会長会談で、修正協議に入ることを確認する。複数の民自幹部は、修正合意を経て26日には成立するとの見通しを示した。民主党は修正要求に柔軟に応じ週内の衆院通過をめざしている。

2法案の処理が円滑に進めば、31日までの今国会中に民主党代表選を経て新首相が選出される。28日に両院議員総会を開いて新代表を選ぶ案が出ている。ただ、2法案の成立時期が会期末近くにずれ込めば改めての退陣表明にとどまり、新首相の選出は次の臨時国会になる可能性もある。

枝野幸男官房長官は10日午前の記者会見で「首相が説明してきたことがスムーズに実現されるよう、内閣としても官房長官としても努力したい」と述べ、首相の月内退陣に向けた環境整備を進めたい考えを示した。

(日本経済新聞)

この記事に添付された動画を観ると、この時点では「辞める」という言葉は一回も登場していない。日経はこの時点で「辞意」という報道をしたわけだけど、我々は以下の事件を忘れてはならない:

退陣という言葉を私自身は使ったことはない=菅首相

2011年 07月 6日 10:50 JST

[東京 6日 ロイター] 菅直人首相は6日午前の衆院予算委員会で、自身の進退問題について「(首相を)辞める、退陣するという言葉を私自身、使ったことはない」と述べた。

その上で、2011年度第2次補正予算案、公債特例法案、再生可能エネルギー法案の成立を「一定のめど」として「若い方に責任を譲りたい。それまでは頑張らせていただきたい、と申し上げている」と語った。自民党の石破茂政調会長に対する答弁。

そういう意味において、今回の菅直人の発言は、「辞意」と本人の口で明言したという意味で、まさに画期的なのだ。この発言に関して、我々ははっきり記憶しておく必要があるだろう。

薄ら寒い (3)

『薄ら寒い (2)』で僕は、

……うーむ、技術的な問題ではなくて、これはやはり倫理的な問題だよなあ。
と書き、sebe さんはコメントで、
放送事故の改善と、テロップの内容は別問題だと、誰もが言っているのに・・・
と書かれている。おそらく、皆さんの大多数が引っかかっているのは、このことなのではないだろうか。

セシウムさんの東海テレビ、CM打ち切り続々

東海テレビ放送(名古屋市)の情報番組「ぴーかんテレビ」で、岩手県産米のプレゼント当選者について「怪しいお米 セシウムさん」などと不適切なテロップが流れた問題で、子供服メーカーのミキハウス(大阪府八尾市)がすでに同番組へのCM提供を打ち切り、愛知県護国神社(名古屋市)もスポンサーから降りる方針を決めたことが8日、分かった。

ほかに少なくとも4社が同番組へのCM提供を当面、休止することを決定。東海テレビへのCM休止の動きはこれまで農協関連団体に出ていたが、民間企業にも拡大した形だ。

東海テレビは、問題が起きた翌日の5日から、「ぴーかんテレビ」の放映を見合わせ、アニメの再放送などを流している。東海テレビは同番組のスポンサーのリストを公表していないが、ミキハウスは毎週金曜にCM提供してきたことを認め、「打ち切りは問題の発生当日に即断し、謝罪に来た局担当者に強く抗議して伝えた」としている。

7月からCMを提供していた愛知県護国神社の臼井貞光宮司も読売新聞の取材に、「番組が再開されても協力はできない」と語った。

当面休止を決めたのは製パン大手のフジパン(名古屋市)、流通大手イオン(千葉市)、和菓子店の川上屋(岐阜県中津川市)など。フジパンは5日からCM提供を休止しており、イオンは9日から見合わせる。フジパンは「視聴者から厳しい意見が相次ぎ、CM提供を続ければ企業イメージを害する」と懸念を示した。

10年以上にわたってスポンサーとなり、番組に視聴者プレゼントも提供してきた川上屋の原善一郎社長は「CMを続ければ我々も批判の標的になる」と話した。

(2011年8月9日09時22分 読売新聞)

こういう事態になって、尚、東海テレビが事の本質を捉えられていないのだとしたら、このまま事態は悪化の一途を辿りかねない。実に憂慮すべきことである。

東海テレビの関係者は、こうは考えないのだろうか。もしあのテロップが違う画像だったとしたらどうなのか、と。二十数秒間出てしまったとしても、たとえばあのフリップに文字が打ち込まれていなければ、こんな騒ぎになる筈がない。東海テレビも、あの番組のスポンサーも、特にどうこう言うこともなく、事はそれで終わっていただろう。放送事故として、画像が二十数秒映り込んだことに関しては、誰も腹など立ててはいないのである。

では、何に皆腹を立てているのか。今更書くまでもないことだけど、報道とか、今回の情報番組のようなコンテンツの制作現場で実務に携わっている人、そしてその集合体としての組織において、「セシウムさん」的なことを書いて嘲笑っているような意識がまかり通っている、ということに、である。

だったら、東海テレビは何をすべきなのか。危機管理上……東海テレビの使っている term で言うなら「コンプライアンス上」……これは重要である。まあ、こういうときは、まず頭を下げなければならない。そして、自分達の何が悪かったのか、を示さなければならない。糾弾される前に自己批判すれば、延焼は最小限に食い止められるのだ。しかし……東海テレビは、今に至るまで尚、こんなことにすら気付いていないらしい。いや、気付いているのかもしれないけれど、有効な行動ができないらしい。そんな間にも、どんどんスポンサーは離れているわけで、こういうときに行動しない、ということは、組織の維持という観点に固執しているなら尚更、許されないことのはずなのだが。

論理的思考力を試す問題

……というふれこみで、ネット上に掲載されていた問題を以下に示す。

ここに四枚のカードがあります。

「I」 「5」 「J」 「4」

どのカードも、片面にはアルファベット、もう片面には数字が書かれています。

カードには「片面に母音(A,E,I,O,U)が書いてあれば、もう片面には偶数が書いてある」というルールがあります。

このルールが正しいことを証明するためには、四枚のうち、最低どのカードを裏返せば良い? (裏返す必要のないカードを裏返してはいけません。)

この問題の正答率は数 % だ、とこのサイトには書かれている。僕はさくっと解けた(解くと言う程でもないのだけど)けれど、皆さんはどうだろうか。

提示されている「このカードのルール」というのは、

片面が母音(A,E,I,O,U)→もう片面は偶数
というものである。これが何を言っているのか、論理学的視点で理解できるかどうか……まあ、それが全てであって、それ以上は何も必要ない。

もしこのルールが正しいならば、母音が書かれたカードの裏には必ず偶数が書かれていなければならない。では、母音でない文字が書かれたカードの裏にはどのような数が書かれているのか? ここで「母音でない文字の裏には奇数」と考えてしまっているとしたら、そこで終わりである。

たとえば、以下のようなカードがあったとする:

A 3 C 6
2 B 4 D
これらのカードは、先のルールに抵触していない。

どういうことかというと、

片面が母音(A,E,I,O,U)→もう片面は偶数
片面が偶数→もう片面は母音
は違う、ということである。もし、
片面が母音(A,E,I,O,U)←→もう片面は偶数
であるならば、
片面が母音以外←→もう片面は奇数
が成り立つけれど、矢印が片方だったらそうじゃないですよ、ということだ。これは「必要条件」「十分条件」「必要十分条件」の三者の区別ができていないと、ちょっと分からないかもしれない。

ただし、

片面が母音→もう片面は偶数
が成り立つとき、これだけは成立する:
片面が奇数→もう片面は母音以外
これはいわゆる「対偶」というやつだ。つまり、先のルールが成り立つときに言えることは、このふたつだけなのである。各々の逆、つまり、
片面が偶数→もう片面は母音
片面が母音以外→もう片面は奇数
を満たしているかどうか、ということは、分からないのである。

先の問題に戻ると、

「I」 「5」 「J」 「4」

のように表に出ているわけで、この中で「表が母音」のものと、「表が奇数」のものに注目して、その裏面をチェックしてやればよろしい。「表が母音以外」のものと、「表が偶数」のものは、裏に何がくるか、先のルールでは規定されない。だから「I」と「5」の2枚を裏返して、各々裏面が「偶数」、「母音以外」であれば、少なくともこの4枚のカード全てが、先のルールを満たしている、ということになる。

……うーん、しかし、これって中学か高校1年位でやりますよね?

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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