経歴を書く

何日か前から、僕は心に重い塊を抱いていた。厭だ。避けたい。やりたくない。しかし、やらなければならない。そして今日、覚悟を決めた。

ボールペンを取り、罫線の間を埋めていくが……あ゛ーーーーーーー!間違えた!あ゛ーもーやだやだ!

……と書くと、一体何の話なのか、と問われそうだが、実は自筆の経歴書を書かなければならない用事ができたのだ。これがもう苦痛だったらない。

昔っから、何が嫌いって、履歴書や経歴書の類を書くのが何より嫌いなのだ。この手の書類は手書きであることを要求される。誰かに代筆を頼むこともないわけではないけれど、それが代筆だとばれるのも厭だから、嫌々自分で書くことになる。しかしだな……

僕の経歴をざっと書いてみると、こんな感じだ。

  • 茨城県立水戸第一高等学校 卒業
  • 大阪大学工学部材料系 入学
  • 大阪大学工学部材料開発工学科 卒業
  • 大阪大学大学院工学研究科博士前期課程材料物性工学専攻 入学
  • 大阪大学大学院工学研究科博士前期課程材料物性工学専攻 修了、修士(工学)
  • 大阪大学大学院工学研究科博士後期課程材料開発工学専攻 入学
  • 大阪大学大学院工学研究科博士後期課程材料開発工学専攻 単位取得退学、博士(工学)

……ここまででいい加減疲れてくるわけだけど、まだまだ続く。

  • 通商産業省工業技術院大阪工業技術研究所 入所、通商産業技官
  • 省庁改編にともない通商産業省産業技術総合研究所と名称変更
  • 省庁改編にともない独立行政法人産業技術総合研究所と名称変更、同職員に職名変更
……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!と、この辺でもう書いているのが厭で厭でたまらなくなってくるのだが、残念なことにこの後も経歴は続くのであった。

正式な職名だけだったらこれだけでもいいんだろうけれど、実際には、大阪大学リサーチアシスタント、とか、某大学の非常勤講師、とかいうのもあるので、そこまで書くともう訳が分からなくなってくる。それでもコンピュータで書くなら、コピーペーストで少しは労力も減らせるのだけど、自筆ではそうはいかない。しかも僕は生来の悪筆で、しかもよく書き間違えるのだ。今回も、ちょっとした経歴の書類を書くのに、フォームを5枚も6枚も無駄にするはめになった。

まあでも、書くことが多いというのは、贅沢な悩みなのかもしれない。U にもそんなことを言われたけれど……しかし、やはりこの手の書類は苦手だ。おそらくこれは一生変わることはないのかもしれない。

今回書いたものを U にチェックしてもらっていたのだが、経歴の後にある自己紹介の部分を読んでいた U が……

「ん……『自分の長所』に『自分の短所』ねえ……」
「ああ、そこ、なんて書こうか迷ってたんだけどね」
「これさ、『自分の短所』に『字が汚い』って書いておくといいんじゃないの?」

で、提出先の担当者の方から電話があったときに、「書いといた方がいいでしょうかね」と訊いたら、思い切り笑われてしまった。やはり字が綺麗に越したことがない。

ptetex3 の時限爆弾問題

pTeXLive に移行しようとしている、という話を書いたけれど、これのそもそもの原因が、ptetex3 の make がどうもうまくいかなくなったからであった。


=================================
Applying patch file ltpatch.ltx
=================================
(/var/tmp/ptetex3/share/texmf-dist/tex/latex/base/ltpatch.ltx)
) )
Beginning to dump on file latex.fmt
(format=latex 2010.10.26)
5493 strings of total length 76081
45419 memory locations dumped; current usage is 144&43167
3273 multiletter control sequences
\font\nullfont=nullfont
\font\OMX/cmex/m/n/10=cmex10
\font\tenln=line10
\font\tenlnw=linew10
\font\tencirc=lcircle10
\font\tencircw=lcirclew10
\font\OT1/cmr/m/n/5=cmr5
\font\OT1/cmr/m/n/7=cmr7
\font\OT1/cmr/m/n/10=cmr10
\font\OML/cmm/m/it/5=cmmi5
\font\OML/cmm/m/it/7=cmmi7
\font\OML/cmm/m/it/10=cmmi10
\font\OMS/cmsy/m/n/5=cmsy5
\font\OMS/cmsy/m/n/7=cmsy7
\font\OMS/cmsy/m/n/10=cmsy10
3633 words of font info for 14 preloaded fonts
566 hyphenation exceptions
Hyphenation trie of length 151382 has 4043 ops out of 35111
143 for language 34
133 for language 32
12 for language 31
127 for language 30
76 for language 29
71 for language 28
248 for language 27
66 for language 26
116 for language 25
68 for language 24
7 for language 23
194 for language 22
756 for language 21
117 for language 20
26 for language 19
35 for language 18
229 for language 17
147 for language 16
6 for language 15
31 for language 14
113 for language 13
145 for language 12
265 for language 11
60 for language 10
63 for language 9
19 for language 8
21 for language 7
12 for language 6
5 for language 5
21 for language 4
235 for language 3
207 for language 2
88 for language 1
181 for language 0
No pages of output.
Transcript written on latex.log.
Error: `pdfetex -ini -jobname=latex -progname=latex -translate-file=cp227.tcx *latex.ini' possibly failed.
fmtutil: /var/tmp/ptetex3/share/texmf-var/web2c/latex.fmt installed.

###############################################################################
fmtutil: Error! Not all formats have been built successfully.
Visit the log files in directory
/var/tmp/ptetex3/share/texmf-var/web2c
for details.
###############################################################################

This is a summary of all `failed' messages and warnings:
`pdfetex -ini -jobname=latex -progname=latex -translate-file=cp227.tcx *latex.ini' possibly failed.
make: *** [stage6] エラー 1
……と、こんな調子である。

pteTeX wiki の記事『動作報告/132』によると、これはどうも「マクロが5年以上前のものですよ……古過ぎやっちゅーねん」と文句を言われているらしい。ptetex3 を公開している土村展之氏は、2009年06月10日にこの問題を知り、

時限爆弾を1年先延ばししました。それまでには ptexlive に移行していただけるよう整備したいと思います。
と書いている。しかし、その先延ばしした時限爆弾が、もう作動しているということなのであろう。

この問題のために ptetex3 で babel を make することができない。pTeXLive では正式にはまだ babel を実装できていない。北川弘典氏のε-pTEXは最新版の pTeXLive に対応しておらず、その辺の依存性に起因すると思われるコンパイルエラーが出て、結局 babel が使えないのだ!

これは正直言って困った。どうしたものか。いや本当に困ってるんですよ。時間があれば自分でどうにかするんだけど、今はとあることで時間を食われているのでこれに専念できそうにないしなあ。ううううう。

pTeXLive を使う

今年の冬から春にかけて、『誰も教えてくれない聖書の読み方』新共同訳ガイドを作成するのに、pteTeX3 が実に役に立ってくれた。特に babel を入れた多国語同時処理環境は非常に強力で、ギリシア語を書く時などこれなしにはできなかったと言ってもいい。

しかし、だ。『LaTeX 2ε美文書作成入門』でも紹介・収録されていた pteTeX3 は、残念ながらもう時代遅れになったと言わざるを得ない。現在はpTeXLiveに開発が移行している状況なのだ。ということで、僕も pTeXLive 環境に移行しよう……と思っていたのだが、うーん……babelが使えない……困ったなあ。この辺を参考にちょこちょこやっているのだけど、どうもうまくいかない。最新版の pTeXLive とこの e-pTeX の間を自力でどうにかする時間はないしなあ。まあ、時間ができたときに何とかするしかなさそうだ。

Thomas は如何にしてメールを読み書きするか

最近の世間の「標準的なメールの読み書きの環境」というのが、僕にはどうもよく分からない。仕事の場合だと、いわゆるグループウェアを使わされることが多いだろうし、プライベートの場合だとMozilla Thunderbirdのユーザが多いのだろうか。そうそう、Mac ユーザの方々は Mail.app という完成度の高いソフトがバンドルされているから、他を使う必要性はないかもしれない。

僕の場合は、なにせ1990年代初頭からずーーーーーーっと同じソフトを使っている。かつて阪大で NeXT を使っていたときは Mail.app も使っていたのだけど、普段は端末エミュレータがあれば全て用が足りるように環境を整えていたので、GNU Emacs上で動く MUA を使い続けている。一番最初はrmail、そしてすぐにMH-Eを使い始めたのだけど、何かの雑誌で読んで使い始めたMewを、結局今に至るまでずっと使い続けている。

Mew の何が便利かというと、発送元アドレスからどのフォルダにメールを移すか、というのを推測してくれて、それが結構頭がいい。そして、メールを読み書き・送受信する際に、キーボードからマウスに手を伸ばす必要が全くない。とにかく、キーボードだけで全ての操作が行えるのである。勿論 Emacs のマクロとして実装されているから、カスタマイズも広い範囲で可能だし、PGP / OpenPGPGNU Privacy Guardを使ったメールの暗号化も簡単にできる。今から何も予備知識なしで使い始める、という人は、おそらく Emacs のキーバインドを覚えるだけでも苦痛を感ずるかもしれないけれど、Emacs を使っている人間としては、これ以上に便利な MUA というのをちょっと思いつかない、という位に便利である。

あと、これは UNIX 系の OS を使っている人なら皆やっていることかもしれないけれど、メールアカウントを複数管理するのに、アカウントに対応するユーザを登録しておいて、そのユーザのアカウントに su して Emacs → Mew を起動する、という手があって、僕はこの十年程、専らこれでメールを管理している。これだと、たとえば Microsoft Windows を使っている場合も、メールを読み書きするためのコンピュータを決めてやって、あとは周囲の Windows 端末にTera Termを入れておいて、SSH でリモートログインするだけでいいから至極便利である。どこからでも同じ環境でメールを読み書きすることができるのだ。

僕は前から「文字だけの環境の利便性が見直されてしかるべきだ」と思い、また機会があるたびに書いているのだけど、こういう人がもっと増えてきてもいいのではないか、と思う。これで、static な IP address を個人がもっと使えるようになれば、家のメールを地球の裏側から読むことだって、そう難しいことではなくなるのだけどなあ……実際、ドイツやフィンランドに行ったとき、僕はそうやってメールを読み書きしていたもの。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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