相も変わらず聖書関連の書きものをしているのだけど、あーそう言えばこんなものあったなぁ、と興味深く聖書を読み返す日々である。
『誰も教えてくれない聖書の読み方』(ケン・スミス 著、 山形浩生 訳、 晶文社、 2001年)にも書かれている有名なものに、こんなのがある。
サタンがイスラエルに対して立ち、イスラエルの人口を数えるようにダビデを誘った。
歴代誌上 21:1
主の怒りが再びイスラエルに対して燃え上がった。主は、「イスラエルとユダの人口を数えよ」とダビデを誘われた。
サムエル記下 24:1
この旧約聖書の異なる2箇所は、同一の内容が書かれていなければならないのだけど、片方の主語は「サタン」、もう片方は「主」=「神」。こういう不可解な記述は、実は聖書を読んでみるとあちらこちらに転がっている。
『誰も……』に引用されている部分でおそらく最も笑いを誘うのはこれだろう。
エリシャはそこからベテルに上った。彼が道を上って行くと、町から小さい子供たちが出て来て彼を嘲り、「はげ頭、上って行け。はげ頭、上って行け」と言った。エリシャが振り向いてにらみつけ、主の名によって彼らを呪うと、森の中から二頭の熊が現れ、子供たちのうちの四十二人を引き裂いた。
列王記下 2:23-24
……いや、本当に、こう書いてあるんですよ、聖書には(上引用部はいずれも新共同訳から引用)。そういうものなのですよ、聖書というのは。これが受容できるかどうか、を、僕はカトリック信者の教条主義に毒されているかどうかの判断にしばしば用いているのだけど、世の中にはこういうことに脊髄反射的拒否反応を示すカトリック信者のなんと多いことか!受洗して30年以上、祖父の代から3代続いたカトリックとしては、こんなこと位でキャンキャン吠える連中にはさっさと消えていただきたいと思うのだけどね。
最近、ちょっと旧約聖書の記述を整理している(これに関しては後で web で公開する予定)のだけど、ちょっと引っかかるものを見つけてしまった。
日本語の聖書というのは何種類か存在するのだけど、カトリックや一部プロテスタントにひろく使用されているのは「新共同訳」と呼ばれるものだ。これは財団法人日本聖書協会というところが編纂・発行しているものである。この「新共同訳」が出る前に、日本聖書協会は口語訳と文語訳の聖書を出している。また、プロテスタントでも福音派等の先鋭的な人々で、この日本聖書協会の訳に不満を持つ人々は、日本聖書刊行会(現 いのちのことば社新改訳聖書センター)訳、いわゆる「新改訳」というのを使っていると思う。
で、僕が引っかかったのは、以下の記述である。
- (新共同訳)重い皮膚病にかかっている患者は、衣服を裂き、髪をほどき、口ひげを覆い、「わたしは汚れた者です。汚れた者です」と呼ばわらねばならない。
- (新改訳3版)患部のあるらい病人は、自分の衣服を引き裂き、その髪の毛を乱し、その口ひげをおおって、『汚れている、汚れている。』と叫ばなければならない。【第三版訂正個所】患部のあるそのツァラアトの者は、自分の衣服を引き裂き、その髪の毛を乱し、その口ひげをおおって、『汚れている、汚れている』と叫ばなければならない。
- (口語訳)患部のあるらい病人は、その衣服を裂き、その頭を現し、その口ひげをおおって『汚れた者、汚れた者』と呼ばわらなければならない。
- レビ記 13:45
どうして「らい病」(この記述は歴史的経緯によるものであることをご理解いただきたい)をわざわざ「重い皮膚病」と書き直す必要があるのか。これって「臭いものに蓋」しているだけじゃないんだろうか。聖書は何千年も前に書かれたもので、現在の視点で見たら不適切な記述があって当然なのだけど、だからといってそこを「書き直す」というのは、どうなんでしょうねぇ。僕がカッコで書いたような断りを入れて、該当記述を残す方が文献としては本来あるべき姿なんじゃなかろうか。
どうも、最近、え?こんなこと分からんの?みたいな発言をしてしまうことが多くて困る。普通にできるはずのことが出来ない人というのが、僕の予想を超えて世の中には多いものらしい。
標記の件だが、チャイなんて簡単なものだと思っていたのだけど、わざわざフォートナム・メイスンのフレーバリー・ティー(ええ、たしかに「チャイ」という商品がありますけどね)を買わないとチャイを淹れられない、などという人も存在するらしい。あーそう言えばいましたね。ベンツ乗るのにシルバーなんて愚の骨頂、みたいなことを誇らしげにブログで書いていた、かなり太めの女性。また逮捕されたようだけど、彼女はシルバーがドイツのナショナル・カラーだという「基本」も知らなかったらしい。まぁ世の中、そういう手合いが増殖しているんでしょうな。
さて、チャイ(正確には、ここで言っているのは「マサラ・チャイ」という)だけど、そもそもインドで貧富の別なく飲まれているんだから、そう特殊なものが必要なわけではないのだ。必要なのはこんなところだろうか:
- 茶葉(いわゆるセイロンで結構、贅沢するならアッサム等でもいいだろう)
- シナモンスティック(ちょっと大きな食材店にはあるものだけど、タイ食材を扱う店で安価に入手できることが多い)
- クローブ(ホール、普通に市販されているもので一向に構わない)
- しょうが(これもいわゆる土生姜で構わない)
- カルダモン(ホール)
ここで重要なのはカルダモン。おそらく「うまくチャイを淹れられない」という方はこれが抜けているのだと思う。


僕が今使っているカルダモンはこういうもの。東急ハンズなどで入手できる。以前は明治屋や成城石井などでも入手できたのだけど、最近このホールのカルダモンを置いている店はどんどん減っているようである。数百円で購入できるので、見かけたら買っておくことをお薦めする。
作り方……こんなもの書かなきゃならんのかね……
- ミルクパンに牛乳を入れる。焦げるのを防ぐ目的で牛乳は等量の水を加えるのが一般的らしいけれど、濃厚なものをお望みの方は水なしで。
- シナモンスティックは手でねじって軽く砕いて入れる。二人分で3本位が目安か。
- クローブは頭をほんの少し火で炙ると香りが立つけれど、煮出すのでその辺はあまり神経を使う必要はない。二人分で5個位が目安か。
- しょうがは水洗いして、皮は剥かずにスライスしたもの(強く香りを出したい人は更に細切りしてやるとよい)入れる。二人分で4枚が目安か。新鮮なしょうがは牛乳を凝固させることがあるので、その場合はやや控えめに。
- カルダモンは、緑の表皮を剥いて、中の黒い粒を包丁で軽く刻んで加える。二人分でホール3個が目安。
- ミルクパンを弱火にかけ、スパイスの香りを牛乳に移していく。この際、砂糖は絶対に加えないこと。
- 十分に香りを移したところで茶葉を入れて軽く沸騰させ、抽出する。茶葉の量はティースプーン(人数プラス1)杯より多めにし、時間もやや長めにとる方がよい。
- 抽出できたところで、精製度の低い砂糖(三温糖やきび糖、茶色いざらめなどがいいだろう)をたっぷり加えて完全に溶かし、火を止めて、茶漉しで漉しながら注ぎ分ける。
ちなみにカルダモンは健胃作用と匂い消しの効果が非常に強いスパイスなので、肉料理、特に煮込み系の料理などに利かせるとすっきりしてよろしい。特にカレーは、カルダモンの利かせ具合が味と胃へのもたれ具合に直結する。たとえば、僕はインドやネパールのカレーを食べることが結構あるのだけど、良心的な店は大概カルダモンをケチらず使っているものだ……だから、そういう店のカレーは食べた後に胸焼けしたりすることがない。そういう意味でも、このスパイスの香りは一度意識して味わうことを是非お薦めする。
斬ってしまった……というのは、ルパン三世の石川五ェ門のせりふだけど、google で検索をかけているときに、思わずこのせりふを口にしたくなってしまうことが多い。検索で引っかかってくるそういうものの中には、僕の精神世界を逆撫でするようなものがあったりして、思わずカチーンときて、心の平安を取り戻すのに苦労するはめになることも少なくない。
最近印象に残っているのが、18禁ゲームのタイトルである。いや、なぜ僕(18禁どころか、そもそもコンピュータゲームというものをしないのだから……今年でコンピュータ使い始めて30年、そんなもの飽きちゃいましたよ)がそんなものに到達するのかがとんと分からないのだが、嘘だと思う方は、是非以下の話をご一読いただきたいのである。
僕はカトリックなので、いわゆる千年王国に関わるような話は信じていないのだけど、fundamentalism などに関わる文章を書く関係で、黙示録やその周辺の文書に関する情報を探すことがある。で、先日、たまたま「メギドの丘」というキーワードで google で検索をかけた。メギドの丘というのは「ハルマゲドン」という言葉がそもそも表すものといわれている(黙示録 16:16 に「汚れた霊どもは、ヘブライ語で「ハルマゲドン」と呼ばれる所に、王たちを集めた。」とある)。で……検索結果の一番上に何が来ていたか、というと、これだ:
『君が呼ぶ、メギドの丘で』
……いや、別に自由なんですよ、そういう名前の18禁ゲーム作るのは。ええ、自由なんですけど……何とも薄ら寒い気分になるわけですよ。
まぁ、それでも黙示録なんてのは別にまだいいのだ。つい何日か前に受けた衝撃に比べれば……そのとき僕は「秘蹟」というキーワードで検索をかけていた。「秘蹟」というのは、カトリックに代表されるクリスチャンにとって、神と人をつなぐ大切なものなのだけど、google の検索結果を頭から見てみると……
『イマジン秘蹟』
?何これ?ラノベ?はぁ。シリーズ化されてるんですか……い、いや、これ位で何がどうということも、な、ないんですよ。ええ。くじけず検索結果を見ていくと……
『秘蹟神姫アルカナセイバー』
?何それ……
「戦うW変身ヒロイン触手淫辱アドベンチャー」
だぁ?あーやめてくれませんかねこういうのに「秘蹟」って。なんだかこう、痴漢を捕まえてみたら自分の親と同じ名前だった、みたいな気分になってくる……
というわけで、最近はおちおち検索もかけられない。なんとも厭な世の中になったものだ。