TeX Live 2011 に IPA フォントがマージされた

一昨日の深夜から動きがあったのだけど、とうとう TeX Live 2011 に IPA フォントと IPA フォントを使うためのフォントマップがマージされた。とりあえず、いつも使っている Linux、Mac OS X、そして確認のために Microsoft Windows 上でもチェックしたのだが:

  • ipam.ttf
  • ipeg.ttf
  • ipaexm.ttf
  • ipaexg.ttf
と、それらを使用するためのフォントマップがインストールされる。今迄の TeX Live にバンドルされていた日本語用フォントはたしか和田研フォントだったはずだから、まさにこの進展は画期的である。

ごくたまにだが、Windows 上で TeX / LaTeX を使う必要があるので、今までは W32TeX を入れていたのだが、今日、ついに、これも TeX Live 2011 に replace した。こんな日が来るとは思っていなかったのだが。

何が問題だったのだろう

北川弘典氏が「TeX Live 2011 への追加日本語パッチについて」というページで公開されている TeX Live 2011 日本語拡張パッチに関して、どうも不可解な現象が起きている。

実は、これまで、このパッチを使いたいと思いつつも使えない、という状態が続いていた。正確には、

と今まで公開されているうちの、tl11supp-110726.tar.xz から tl11supp-110825.tar.xz に関して、日本語拡張版のバイナリ生成がうまくいかない状態だった。

幸いなことに、TeX Live 2011 の pTeX / pLaTeX はちゃんと動作するので、『TeX Live を使おう ―― Linux ユーザと Mac OS X ユーザのために ――』で公開しているようなことをして、今まで使っていたわけだ。

で、先日、tl11supp-111023.tar.xz が公開されていることに気付いた。まあ今回もダメなのかなあ……と、駄目元でビルドを試みたら、何と、さっくり成功するではないか?

こうなってくると、「じゃあ何故駄目だったんだ?」ということが気になってくる。poppler 周辺とか dbus 周辺とか、何か所か(このビルドの直近に改変したシステムの箇所)に当たりをつけてみたけれど、未だに原因は判然としない。今、tl11supp-110825.tar.xz のビルド(中断することは既に確認済)の各プロセスの標準エラー出力をリダイレクトして、詳細に問題箇所を特定する作業を始めているけれど……それにしても分からない。何が問題だったのだろうか?

北杜夫死去

作家・北杜夫さん死去 「どくとるマンボウ」など

大河小説「楡家(にれけ)の人びと」やユーモアに満ちたエッセー「どくとるマンボウ」シリーズで知られる作家の北杜夫(きた・もりお、本名=斎藤宗吉=さいとう・そうきち)氏が死去したことが26日分かった。84歳だった。

東京生まれ。父は歌人の斎藤茂吉。旧制松本高校(現信州大)時代にトーマス・マンに熱中、東北大学医学部在学中に同人誌「文芸首都」の同人となる。1958年から翌年にかけて船医として水産庁調査船に乗船。その経験に基づいたエッセー「どくとるマンボウ航海記」がベストセラーとなり、一躍人気作家となった。

60年、第2次世界大戦のドイツを舞台に、精神病患者をガス室に送り込もうとするナチスの作戦に抵抗する医師たちの姿を描いた「夜と霧の隅で」で芥川賞を受賞。64年には精神科医だった祖父・紀一に始まる斎藤家3代をモデルとした代表作「楡家の人びと」を発表して、純文学作品として高く評価された。

作風は幅広く、「船乗りクプクプの冒険」「さびしい王様」などの児童文学も話題になった。ほかの作品に、日系ブラジル移民の苦闘を描いた「輝ける碧(あお)き空の下で」や松本高時代を振り返った「どくとるマンボウ青春記」がある。91年の「青年茂吉」に始まる父・茂吉の評伝4部作では大仏次郎賞を受賞している。96年日本芸術院会員。

40歳の頃から躁鬱(そううつ)病にかかり、その症状をエッセーなどでユーモラスに描いた。

兄の故斎藤茂太さんは精神科医でエッセイスト、長女の斎藤由香さんもエッセイスト。

2006年1月、日本経済新聞に「私の履歴書」を連載した。

(日本経済新聞、2011/10/26 9:30)

いつかこういう日が来ることは分かっていた。この何年かの氏の衰弱ぶりは知っていたので……しかし、僕のアイドルの一人が、また世を去ったことは、哀しい。

もうかなり前のことになるけれど、文芸作品の愛好者であったある女性に好きな作家を聞かれ、北杜夫の名を挙げたところが、

「私は嫌いです。あんな甘ったるいもの」

と言われて寂しい思いをしたことがある。それがいいんじゃないか……と言っても、彼女には通じなかった。まあ、トマス・マンもヴィスコンティも嫌いだったらしいから、まあある意味徹底しているのかもしれないけれど。

中高生時代に、気心の知れた友達の間では「北 term」がちゃんと通じていた。「鬱勃たるパトス」と言って、ちゃんとその集団内では通じるのである。まさに、北杜夫自身が松本高校で過ごした日々の記憶のように、僕の中高時代の記憶の中に、今も北杜夫の存在は欠かせない。感傷にふける余裕もない日常の中だけど、これを書いている間位は、この感傷を存分に噛みしめたいと思うのである。

tlmgr に起因するトラブル

TeX Live は、tlmgr というオンライン・アップデータを使って簡単にアップデートができるようになっている……のだが、このアップデートが、しばらく使っているとうまくいかなくなることがある。

その原因になっているのは、多くの場合は tlmgr それ自身である。tlmgr がパッケージの更新をし切れない場合が生じることがあって、その場合にはそのパッケージは強制的に除去され、次回以降のアップデート時に、

skipping forcibly removed package ********
というメッセージが表示されるようになる。これを無視してそのまま使い続けていると、どうも何かおかしいなあ……という話になってくるわけだ。

これに対処するためには、当然だけど、除去されたパッケージを再度インストールしてやればよろしい。しかし、そもそもパッケージの更新が失敗した原因は tlmgr にあるのだから、まず

$ sudo tlmgr update --self
として tlmgr を更新する。それから、
$ sudo tlmgr update --reinstall-forcibly-removed --all
とすることで、除去されたパッケージが再インストールされる。

tlmgr による更新を前提とした TeX Live の使用を敬遠されている方は、おそらくこういうことを体験されていると思う。インストールツリーになるだけ手を加えずに、いつでもクリーンインストールできるようにしておくのも手なのだけど、とりあえず、更新がうまくいかないんだ、という方は、これをチェックされるといいかもしれない。

Profile

T.T.Ueda
Tamotsu Thomas UEDA

茨城県水戸市生まれ。

横山大観がかつて学んだ小学校から、旧水戸城址にある中学、高校と進学。この頃から音楽を趣味とするようになる。大学は、学部→修士→博士の各課程に在籍し、某省傘下の研究所に就職、その2ヵ月後に学位を授与される(こういう経緯ですが最終学歴は博士課程「修了」です)。職場の隣の小学校で起こった惨劇は未だに心に深く傷を残している。

その後某自動車関連会社の研究法人で国の研究プロジェクトに参画、プロジェクト終了後は数年の彷徨を経て、某所で教育関連業務に従事。

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