で、そのことを blog に書こうとして、ふと思ったのだ:「いがらっぽい」ってどういう意味か、と。いや、辞書に書いてあるような意味……たとえば「喉が刺激に弱くなっている」とか「不快な刺激を感ずる」とか……は分かるのだが、そもそも「いがらっぽい」という言葉の由来は何なのだろうか。存外、人はこうして日本語を知らないものである。
僕の場合は、初めて買ったレコードは……そう、レコードだった。45 RPM のドーナツ盤というやつだ。まあここまではいい。何を買ったか話すと「えー Thomas さんがそれぇ?」と大抵言われるのだ。まあ確かに、今の僕の音楽嗜好だとこれは想像し難いかもしれないのだけど、僕が初めて買ったレコードは SALON MUSIC の『デュエットに夢中 (WRAPPED UP IN DUET) / Muscle Daughter』なのである。
SALON MUSIC というユニットは、カテゴライズが非常に難しい存在なのだけど、とりあえず、僕がこのドーナツ盤を買った頃やそれ以前の括りで言うならば、おそらくニューウェイヴ(それ以降の彼らを知る人々から猛攻撃を受けそうだけど)ということになるんだろう。今になって顧みるに、この時期に、まさかホンダの CM に彼らが起用されるなどとは誰も思わなかったろうし、それを実現させた人々はまさに先見の明があった、と言うしかない。
僕のように、自分で多重録音で音楽を作りたい、と考えていた人間にとって、SALON MUSIC の存在はとにかく憧れだった。アナログ・オープンリールの 8 tr. や 16 tr. を使って、プライベート・スタジオで音楽制作、なんて話を雑誌で読んでは、悶絶せんばかりの羨望を感じて溜息をついていたものだ。